Billkin & PP KritがSPICEに再登場、
「A Beautiful Ride」や「Fire Boy」
など新曲を本人楽曲解説ーー『レオレ
オ、タイタメ』Vol.17

8月30日(水)にそれぞれ日本版のEPとシングルを同時リリースしたBillkin&PP Krit。2022年は『SUMMER SONIC 2022』に出演したり、初の単独公演を成功させたりと、日本での人気も確かなものにした。今年9月には彼らが再来日し、4日(月)に立川ステージガーデン、6日(水)には大阪国際会議場メインホール(グランキューブ大阪)にて、初のファンミーティング『ASIA FAN MEETING 2023 IN TOKYO / OSAKA』を開催。ライブに、質問コーナーに、ハイタッチに、と盛りだくさんの内容で大盛況のうちに終わった。そんなふたりが再びSPICEに登場! 連載『レオレオ、タイタメ』の企画としてファンからの質問を募集しながら、それぞれ2曲ずつピックアップし本人から楽曲解説してもらった。
●ファンからの質問に「僕ら自身をリスペクトしてくれてありがとう」(ビルキン)
昨年『SUMMER SONIC 2022』への出演を果たし、直後に初の来日公演『Billkin & PP Krit - Premium Live in Tokyo』を成功させたビルキンとPP。昨年はコロナ対策で声出し禁止であったが、初めてふたりを目の前にするファンたちによる歓喜が満ち溢れた公演となった。
事前にX(Twitter)で実施していたアンケートでは「今回のファンミーティングで、ファンの声援や思いはしっかりとおふたりに届きましたか?」という質問が多数寄せられていた。これに対しビルキンは「去年は声出しこそ禁止でしたが、手をあげて音楽にノってくれて嬉しかったです。表情は見えないけれど、マスクが濡れるまで涙を流しているファンを観て感動していました」と涙を流すジェスチャーを交えながら何度も説明してくれた。さらにPPは「歓声があってもなくても、ファンの皆さんからの応援は十分に伝わってきています。昨年の単独公演でも、今年のファンミーティングでも、変わらず皆さんの気持ちをたくさん受け取っています」と笑顔で答えた。
続けて「日本のファンのイメージを教えてください」というファンからの質問には、「それぞれの国で違うけど、日本のファンは独特な雰囲気があります。僕らの仕事もプライベートも尊重してくれて、ナーラック(かわいい、素敵)です」(PP)、「いろんな国のファンとお会いしてきましたが、PPも言ったように日本のファンはユニークで、僕ら自身と作品に対するリスペクトを強く感じます。(作品と役者の間に)一線を引いて見守ってくれているので嬉しいです」(ビルキン)と言う。日本ではファンの目を気にせず、のびのびと観光してほしい。
●ザ・トイズと作る曲は「自分の経験が投影されている」(PP)
PP Krit
ビルキンはEP「LOVE'S APPRENTICE」、PPは「Fire Boy」を8月にリリースしたばかり。ビルキンのEPのうち「การเดินทางที่สวยงาม(A Beautiful Ride)」と、PPの「Fire Boy」は、ともにタイのトップアーティストのひとりで、『FUJI ROCK FESTIVAL '23』にも出演していたザ・トイズ(The TOYS)が作詞作曲を手掛けている。
Billkin - การเดินทางที่สวยงาม (A Beautiful Ride) - Official MV
ビルキンの声によくなじむ、美しいメロディラインが印象的なポップソウル「A Beautiful Ride」。2022年7月にデジタルリリースされたものだが、2023年9月末時点で、タイのラジオ局Mellow Popにてリクエストランキング1位を獲得するなど、1年経っても親しまれている代表曲のひとつとなっている。
「恋愛でもなんでも、人生は旅行のようなもの。目的地にたどり着くまでに、良い日も悪い日も、嬉しい時も辛いときもあるけれど、2人でなら乗り越えていける。行先ではなく、そこまでの道のりが一番重要だと思っています」と、ビルキンがこの曲に込めた思いを語った。
またザ・トイズとの制作については「P’ (タイで目上の人に使う敬称)は、自分では表現しきれない感情を引き出してくれます。彼から出てくる作品は本当に特別で、どうやって表現したらいいのか悩んでいても必ず楽曲に落とし込んでくれるんです」、「本当にすごい」と尊敬の念を示した。
PP Krit - FIRE BOY [Official MV]
過去を振り返っている「A Beautiful Ride」に対し、PPの「Fire Boy」は、まさに今、意中の相手へ抱く葛藤が描かれている。2022年に立ち上げた個人事務所のPP Krit Entertainmentから、最初にリリースされた曲ということもあり注目を受けていた同曲。2022年11月の配信リリースから約1ヶ月でMVが1,000万回再生を突破し、日本でもオリコンランキングで最高37位を獲得している。
PPとザ・トイズは会話を重ねながら同楽曲をレコーディングしていた。「P’ は僕自身が伝えられない表現や気持ちを形にしてくれる、そこが一番尊敬しているところです。レコーディング本番中に歌詞を変えても対応してくれるので、自分に合っていて、とても好きな曲ができあがりました」という。
同楽曲のMVは本人もセクシーと言っていたように、PPが意中の相手に熱視線を送っている目線が印象深い。観ているこちらが照れてしまうくらいだが、なんと実体験に基づいた楽曲なのだとか。「君は火(=僕)を扱いきれる自信があるんだよね。もし僕のことが好きなら、自分自身に気をつけて。僕はビジュアルが良くて、性格も良いけど、時々悪い人にもなるからね」と誘惑している時の心情を歌っているそうだ。見た目も性格も良い自覚があるPPでさえ、相手に「手に負えない」と言われることに不安がるのかと思うと、PPの新たな一面を見れたような気がする。
●「Safe Zone」以来となるアームとの共作も
ビルキン
2人の代表作、ドラマ『I Promised You the Moon ~僕の愛を君の心で訳して』のOP「Safe Zone」は、つい口ずさみたくなるリズムと、真似したくなるかわいい振付、そしてドラマとの親和性が高く、シリーズ関連曲のなかでも1、2の人気を誇る。同曲の作詞作曲を手掛けたのは、これまで200曲以上を生み出し「T-Popクイーン」と呼び声の高いソングライターのアーム・アチャリヤ―。彼女の手にかかれば、どんなアーティストでも最大限に魅力が引き出さることから、裏方でありながら日本でも「P’ アーム(Amp)」として知られている。
PP Krit - ลังเล [Official MV]
そんな彼女と、それぞれビルキンは「ชอบตัวเองตอนอยู่กับเธอ(I Like Us)」、PPは「ลังเล(Lang Le)」で再び共演している。PPの「Lang Le」は今年2月にデジタルリリースされ、今でもSpotifyのプレイリスト『T-Pop Now』に「Fire Boy」と共にリストインし続けている。さらに言うと同プレイリストには9月13日(金)にリリースされた新曲「เส้นเรื่องเดิม(RERUN)」も上から4番目に位置付けている。
同曲はPPにとって思い出深い曲とのこと。「タイトルの「Lang Le」は悩みという意味。好きな人ができたけど、それを伝えるかどうかを悩んでいるんです。この曲はP’ アームがプロデュースした部分が大きいので、耳に残るようなかわいらしいメロディを聞いてもらいたいです」と振り返った。
Billkin - ชอบตัวเองตอนอยู่กับเธอ (I Like Us) - Official MV
2022年7月にデジタルリリースされたビルキンの「I Like Us」は、当時のSpotifyチャートで1位を獲得。MVには元BNK48のメンバーで、ドラマ『Bad Genius the Series』や映画『OMG! オー・マイ・ガール』などで主演を務めた、ジュネ・プルーンピチャヤーを迎えたことでも話題に。自信たっぷりにみえる本人とは裏腹に、少し自信なさげな演技がしっくりきて、たった4分でも応援したくなるのでMVもチェックしてもらいたい。
「この曲は(個人事務所の)Billkin Entertainmentとして初めて制作した曲ということもあって、とても大切にしています」と話すビルキン。タイ語を直訳すると「君といるときの自分が好き」という意味になり、通常の恋愛ソングとは一風違うタイトルに思える。「もちろん彼女(彼)のことは好きだけれど、違う角度から自分を見つめなおして、幸せを感じている自分が好きだと思える曲」なのだそうだ。2020年にドラマ『I Told Sunset About You ~僕の愛を君の心で訳して~』で一躍有名になり、2022年にこれまで所属していたNadao Bangkokから独立したタイミングでの彼自身の心境と重なっているのかもしれない。
タイトなスケジュールの中、一言一言を丁寧に紡いでくれたふたり。ちなみに「これまで冬の大阪しか来たことがなかったけど、夏の大阪はタイに雰囲気が似ていて心地いい」と大阪人には嬉しい話もしてくれた。近い将来また「ยินดีต้อนรับสู่Osaka(インディー トーン ラップ スー/大阪へようこそ)」と言えることを願う。
今回は音楽活動にフォーカスしたが、ビルキンは映画『The Chinese Family』で初主演を務めることが決定していたり、PPはバレンシアガ初のアンバサダーに起用されたりと、俳優やモデルとしての活躍も続けていく。これからもひとりの俳優、アーティストとして飛躍していくBillkin&PP Kritを追いかけていきたい。
Billkin&PP Krit
取材・文・撮影=川井美波(SPICE編集)

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