清原果耶×小関裕太、舞台『ジャンヌ
・ダルク』インタビュー~「舞台には
いつか挑戦してみたいと思っていた」
(清原)、「舞台は苦しいけれど、楽
しい」(小関)

清原果耶が初舞台・初主演を務める舞台『ジャンヌ・ダルク』が2023年11月から12月にかけて東京、大阪で上演される。
演出を白井晃 、脚本を中島かずき(劇団☆新感線)、音楽を三宅純が手がける本作は、2010年に堀北真希主演で初演され、2014年に有村架純主演で再演、今回が3度目の上演となる。神の啓示を受けたとしてフランス軍に従軍し、イギリスとの戦いで勝利をおさめたが、19才で火あぶりにされた人物ジャンヌ・ダルクをモチーフに描かれた歴史スペクタクルを、総勢100名にのぼる出演者で立ち上げる。
ジャンヌを演じるのは、これが初舞台となる清原果耶。彼女の命運を握ることになるフランス王シャルル7世を演じるのは小関裕太。さらにりょう岡田浩暉、福士誠治、深水元基らオール新キャストで、新たな『ジャンヌ・ダルク』をつくりあげる。
清原果耶と小関裕太に話を聞いた。
7年前、白井さんの演出で舞台を知った(小関)
――清原さんは初舞台にあたり「舞台に挑戦してみたいという気持ちは、このお仕事を始めてからずっとありました」というコメントを出されていましたが、どうして舞台に挑戦したいと思われていたのですか? また、今このタイミングで挑戦された理由もお聞かせください。
清原 このお仕事を始める前にミュージカルの習い事をしていて。そこで歌ったり踊ったりするのが好きだったので、いずれ舞台にも挑戦してみたいなと思っていました。以前マネージャーさんと舞台の話をしていたときに、白井晃さんの演出が合うのではないかと言ってくれて。今回のお話をいただいたときに、これはきっとご縁が繋がったんだなと思いましたし、がんばりたいと思いました。
――小関さんは、白井さんとはミュージカル『わたしは真悟』(2016年)ぶりですね。いま白井さんの演出を受けるのは、どんな気持ちでいらっしゃいますか?
小関 はい、(前回は)21才の時でした。最初に思うのは、成長した姿というか……この7年培ったものを白井さんに見ていただきたいということです。やっとまたご一緒できる機会がきた、という気持ちで、白井さんと再び一緒に作品をつくることができるのがとても楽しみです。
――自分では言いにくいとは思いますが、ご自身としてはこの7年でどんなものを得たと思われますか?
小関 当時、白井さんにコテンパンにされたんですよ(笑)。
清原 え……!
小関 だけどそれは愛のあるもので、僕はそのときに初めて「舞台」を知れたような感覚でした。もちろんそれまでに出演した作品でもさまざまな学びがあるのですが、初めて「基礎」について考えたのがその白井さんとご一緒した作品で。それ以前と以降では、舞台を観るときも出るときも感覚が違うので、(この7年で)確実に濃厚なものを得たと思います。
――『ジャンヌ・ダルク』は3度目の上演となる作品ですが、おふたりはこれまでの公演の映像をご覧になったそうですね。いかがでしたか?
清原 映像はジャンヌを演じると決まってから観たので、ジャンヌばかりを目で追ってしまったのですが、あの強さと儚さを両立した人物像にすごく惹かれました。私がこうやって「魅力的だな」と思って観たように、初演も再演も多くの方が観られたんだろうなと感じたので、たくさんの人を導く力やカリスマ性みたいなものを、私もがんばって出さなきゃと思っています。
小関 映像を観て、これまで以上におもしろいものをつくりたい、ということを思いました。印象的なシーンは戴冠式などもありますが、やっぱりあの100人近くの人がぶわーっと走っていく演出は、僕は他に観たことがありません。そういう作品を、出る側として体験できることにワクワクしますね。
舞台『ジャンヌ・ダルク』2023年11月より上演
>(NEXT)まずは稽古までになにをしたらいいですか?(清原)
まずは稽古までになにをしたらいいですか?(清原)
――おふたりは初共演ですが、共演するとわかったときはどう感じましたか?
小関 「初舞台なんだ!」というのが一番ありました。意外でした。
清原 私は「小関さん! 先輩だ」(※ふたりは同じ事務所に所属)って。いろいろ教わろうと思いました。これまで全然お会いしたことなかったですよね。
小関 ないですね。今日が完全にはじめましてです。
――教わりたいこと、今の段階でありますか?
清原 あります。舞台の稽古初日までにしておいたほうがいいことと、小関さんはどのくらいで台詞を覚えきるかということと、マチネ・ソワレの間はなにをしているか……。
小関 けっこうありますね(笑)。
清原 なんでも聞きたいです(笑)。まずは稽古までになにをしたらいいですか?
小関 なんだろう。ジャンヌはすごく動く役だから、やっぱり体力づくりですかね。あと、これは稽古が始まってからの話になっちゃいますけど、僕は作品に合わせて、いつどのくらい食べたら体力が持つかとかも考えるんですよ。稽古の中で、「バナナをこのくらい食べるといいかな」とか「このタイミングで食べるとよさそう」とか「今日はちょっと持たなかったかな」とかやってみて、最終的に「開演40分前にバナナ1.5本」とか。
清原 へえ! おもしろい!
小関 そうすると本番中に心配事がなくなって、波が減りますよ。
清原 ああ、私は波乗り人生なんです。ルーティンが大事ってことですか?
小関 そうだと思います。今年、舞台『キングダム』に出演したとき、僕の役はストーリーテラーでずっと喋ってるし、衣裳は重くて殺陣もあったから、波が出そうだなと思って。それで食べ物のこととかをこれまで以上にちゃんと考えるようにしたら、毎回同じコンディションでできました。これは初めての経験でした。あとは舞台って絶対飽きるものだから。
清原 絶対なんですか?
小関 100%だと思う。
清原 どんな人間でも?
小関 どんな人間でも。やっぱり毎日同じことをするので。でも実際に飽きちゃうとそういう自分が嫌になったりするから、「絶対飽きる」という前提で、じゃあどうしたら飽きないかを考えて、いくつか楽しみをつくって舞台に立つとよかったりします。持論ですけどね。
清原 どうしよう、聞きたいことがどんどん増えていく(笑)。喉は強いですか? 
小関 強いほうだと思います。
清原 喉がちょっと不安なんですよ。
小関 そっか!
清原 今日も(取材日で)いっぱい喋るから、喉にいいお茶持ってきました。
小関 がんばらなきゃいけないところは出てくるかもしれないけど、もとが通る声だと思いますので、そんなに張らなくても聞こえるかもしれないなって僕は思いました。
清原 そうなんでしょうか……。今日、小関さんと初めてお会いしてびっくりしたんです。なんてきれいな声なんだ!って。
小関 ええ、うれしい! ありがとうございます。
清原 なんか、サラサラサラッて化粧水のような。
小関 うわ、うれしい。高級な化粧水ですか?
清原 高級な化粧水です!
二人(笑)
小関 稽古期間中もなんでも聞いてください、僕で聞ける悩みだったら。
清原 はい、全部聞きます。
>(NEXT)舞台に立つことは苦しいけれど、その後の達成感が楽しい(小関)
舞台に立つことは苦しいけれど、その後の達成感が楽しい(小関)
――小関さんは10才で初舞台を踏み、そこから18年経ちました。いま舞台に立つ中でなにが楽しいですか? もしくは苦しいですか?
小関 立つことは苦しいです。でもその後の達成感が楽しいです。役者は作品ごとに試練が必ず出てくるので、そこと日々戦うんですけど、それをお客さんの視点で見ると、試練と向き合ってる人が、汗をかきながら、呼吸をしながら、目の前(舞台上)にいる、ということになる。そこには緊張感もエネルギーも生まれます。それが舞台の素敵さのひとつかなということは、ここまで続けてきて思います。自分もそういう存在になれていたら、と思っています。
――ちなみに試練って例えばどんなものか聞いてもいいですか。
小関 さっきの「毎日同じことをする」というのもひとつの試練ですし、一昨年やらせてもらった舞台では、一幕で母を亡くして二幕で好きな人を亡くす、という悲しい体験をする役だったんですけど、一日2回公演の日なんかは、マチネで亡くした相手と、ソワレでまた出会って亡くすことになりますよね。それはけっこうハードなことでした。だけどそれを乗り越えた後に見えたものは清々しくて、自分の糧にもなりました。見に来てくださったお客様の声も糧で、やってよかったと思えます。そういうところががんばれる理由かなとも思います。
――清原さんはこれから初舞台ですが、その先に自分に期待していることはあったりしますか?
清原 初舞台のときってどうでしたか?
小関 小4だからなあ。
清原 そうでした(笑)。
小関 2作目でも、出番の前にびしょびしょのティッシュを冷凍庫に入れておいて、出番が終わると凍ってる!というのが楽しかったという思い出だから……。
清原 (笑)。今はやっぱり初舞台でなにもわからないので、すべて終わったときに「やって良かったな」「楽しかったな」と思えることを目指してがんばれたらいいなと思います。
小関 ときどき初舞台で「舞台は向いてないかも」ってなる人も。
清原 いらっしゃるみたいですね。
小関 そう。だけど「3回はやれ」って聞きます。作品によって、立ってる感覚もつくる過程も違うから。3回目で舞台好きになったという人の話も聞いたことあるし。僕はたまたま最初から楽しかったから、後々大変なことがあっても「舞台は楽しいはずだから」でできたりしました。でももし万が一向いてないかもと思っても、その先に必ずなにかあるので。
清原 はい、がんばります!
取材・文=中川實穗 撮影=岸 隆子
清原果耶=ヘアメイク:牧野裕大 スタイリスト:井阪恵
小関裕太=ヘアメイク:佐々木麻里子 スタイリスト:吉本知嗣

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