【DAY1】ゆず、Kアリーナ横浜こけら
落とし公演初日は原点とも言うべき2
人きりのステージで2万人を沸かす

『YUZUSPECIALLIVE2023HIBIKIinK-ArenaYokohama DAY1BLUE✕FUTARI

2023.09.29(fri) Kアリーナ横浜
神奈川県・横浜市に開業したアリーナ会場「Kアリーナ横浜」のこけら落とし公演として3日間に亘って開催された『YUZUSPECIALLIVE2023HIBIKIinK-ArenaYokohama』。9月29日(金)「DAY1BLUE✕FUTARI」は、北川悠仁と岩沢厚治による弾き語りライブ。9月30日(土)「DAY2RED✕ALLSTARS」は、フルバンドによるステージ。追加公演の10月1日(日)「DAY3BEAUTIFUL✕FUTARI&ALLSTARS」は、弾き語りとフルバンドスタイルを合わせた特別ステージ――各日で異なる内容が繰り広げられた。まずは初日の9月29日(金)「DAY1BLUE✕FUTARI」の模様をレポートする。
ゆず
横浜みなとみらい地区で開業したKアリーナ横浜が掲げているキーワードは、“すべては「音楽」を楽しむために”。約2万人を収容する音楽専用のアリーナ会場は、世界最大級なのだという。ある程度想像はしていたが、実際に到着してみると本当に広くて大きい。「ものすごい会場が誕生した!」という実感は、ゆずのライブ開演直前の恒例となっている「ラジオ体操第一」の時に改めて噛み締めた。初日公演のイメージカラーであるブルーのTシャツを着た観客がラジオ体操を一斉に元気いっぱいにする風景の躍動感がとんでもない。早くも爽やかな熱気が会場内に漂い始めていた。
北川悠仁
オープニング映像とSEが流れる中、ついにステージに登場した北川と岩沢。アコースティックギターを持ち、ゆっくりと前方に歩み出た2人が花道の最先端で掲げた拳にエネルギーが満ち溢れている。彼らが最初に届けたのは、会場から近い伊勢佐木町の路上でライブをしていた頃から歌っていた「シュビドゥバー」。ゆずの原点の風景を彩った曲をマイクを通さない生の声、生のギターの音を響かせる様に、いきなり激しく心を動かれてしまった……。そして力強くギターをストロークし始めた彼らが続いて披露したのは「そのときには」。コロナ禍に突入した2020年に制作されたこの曲が有観客ライブで届けられるのは、今回が初。「新型コロナウイルスが収束した、“そのとき”にしたいこと」をテーマに、ファンから寄せられたSNSのメッセージの全てに目を通して制作された曲が、観客の手拍子、歓声、歌声と共に躍動するのも感慨深いものがあった。
岩沢厚治
「みんな元気だったか? このコンサートでどんなことをやろうかいっぱい考えました。答えはシンプルだった。俺たちの音楽を、想いを、歌をこの広い会場に響かせること。そして君たち1人1人の想い、歌声をこの会場に響かせること。それでつけたタイトルが『HIBIKI』です」――北川のMCの後、様々な曲がさらに届けられた。観客の大合唱を浴びながら北川と岩沢が心底嬉しそうな表情を浮かべていた「栄光の架橋」を経て、「始まりの場所」「遊園地」「境界線」「イコール」「眼差し」も披露されたが、2人が交わすハーモニー、ギターの音色に観客の歌声や手拍子が合流していく。北川が先ほど語った『HIBIKI』の意味が、まさに具現化されていた。そして弾き語りライブならではのリラックスした雰囲気も、楽しい見どころだった。「次の曲は路上時代からずっと僕たちが……ずっとじゃないな。たまにしか歌ってない(笑)。路上時代によく歌っていたラブソングをお届けしたいと思います」と北川が言ってスタートした「する~」。「選曲した理由は《する~》を、今日のライブのイメージカラーの《ぶる~》にして歌いたいから」という旨が途中で明かされた。10歳未満、10代・20代、30代・40代、50代・60代、70代以上……各年代の観客による《ぶる~ ぶる~ ぶる~ ぶる~ ぶる~》が響き、照明の青色具合が微妙に変化する遊び心が楽しい。路上ライブにも通ずるアットホームなムードが生まれていた。
ゆず
タンバリンを手にした観客が開放的に踊った「タッタ」。沸き起こった観客の歌声を2人が愛しそうに噛み締めていた「友達の唄」も披露されたところで前半が終了。『ゆずが行く! オススメスポット in 横浜』が大型スクリーンで流れ始めた。2人で車を運転しながらゆかりの地を巡る姿を観ていると心が和む。この幕間映像は3日間の公演それぞれで別の内容となっていた。初日公演の映像で彼らが訪れたのは、2000年にワンマンライブを行った横浜スタジアム、2020年のオンラインライブの舞台となった帆船日本丸。地元民としての思い出や貴重なエピソードも飛び出し、観客を大いに沸かせていた。
ゆず
後半の幕開けは予想外だった。「夏色」が鳴り響き始めると、なんと北川と岩沢がアリーナ席のエリアに登場! 通路を歩きながらたくさんの人々とハイタッチを交わしていた。そしてステージに辿り着くと、ギターを手にした2人。「一緒に歌おう!」と北川が呼びかけてスタートした「サヨナラバス」を皮切りに、観客と歌声をじっくりと交わし合う場面が続いた。新しい会場の誕生を祝福する歌のようにも感じられた「贈る詩」。「BLUE✕FUTARI」というタイトルのライブにふさわしかった「青」……ゆずと観客の歌声で満たされることによって、できたてほやほやのKアリーナ横浜が音楽専用の会場としてさらに完成されていくようにも感じられた。
ゆず
ライブの佳境に差し掛かったところで繰り広げられた「響き語り」というタイトルの「はるか」「Hey和」「1」「虹」「SEIMEI」「はるか」で構成されたメドレー。「このコンサートをやると決めた時に“何をやろうか?”って思って。日々生きている中で生身の人間として何かどうしても今の俺たちが思うことをみんなに伝えたい。そんな想いで、約1年くらいかけてかな? このメドレーを作っていました」――歌い終えた直後に北川が言っていたが、それぞれの曲が連なり合い、背景のスクリーンで流れた映像とシンクロすることによって、平和を心から願う気持ちが鮮やかに浮き彫りにされていた。そして「少年」と「夏色」が披露されると、再び熱気で満たされたKアリーナ横浜。こうして素敵な音楽を楽しめる日々があることのかけがえのなさを改めて実感させられた。「夏色」のエンディングで北川はクラッカーを勢いよく発射したのだが……。アリーナ席の上をワイヤー軌道に沿って移動していたカメラに青色のリボンが引っかかってしまった! 「やっちまった! 逃げろ!」と慌ててステージを後にする2人のお茶目な姿と共に本編は締め括られた。

ゆず

「贈る詩」を歌う観客の声と手拍子に応えて行われたアンコールの2曲は弾き語りではなく、バンドによる生演奏だった。ステージ上にバンドメンバーの姿は現れなかったので、オーケストラピットなどで演奏していたのだと思う。Kアリーナ横浜でMV撮影が行われた「ビューティフル」は、あの映像を再現するかのようにダンサーチームの群舞が加わる様が幻想的だった。そして「Frontier」でもダンサーチームが参加。フラッグを使った賑やかなパフォーマンスが繰り広げられた。手にしたフラッグを観客も振りながら盛り上がる様は、まるでカーニバル。大団円という言葉がふさわしい明るいラストの曲だった。
ステージ上を巡り、あらゆるエリアの観客に何度も手を振った北川と岩沢。準備を重ねた公演が大成功した実感を噛み締めていたのだと思う。ハグを交わし、じゃれ合ったりもする姿が微笑ましい。「こけら落とし、おめでとうございます!」という生声を響かせた2人を観客の温かな拍手と歓声が祝福していた。

取材・文=田中大 撮影=中島たくみ、Masanori Naruse、藤川一輝、藤咲千明
ゆず

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