【MORRIE インタビュー】
いかに自分なりに
新鮮味を維持していくか?
2015年から開催してきた弾き語りライヴ『SOLITUDE』で演奏している曲の数々に新たな生命を吹き込んだアルバム『SOLITUDES I:孤絶の歌は天溶かし』。本人による緻密な多重録音とゲストミュージシャンの参加によって色とりどりの世界が構築されている。そんな本作についてMORRIEに語ってもらった。
“たったひとりでやる”ということを
やってみたかったんだと思う
2015年から開催している弾き語りライヴ『SOLITUDE』ですが、どのようなきっかけで始めたんでしょうか?
『SOLITUDE』はコンスタントにやっていて、この間113回目を演りました。きっかけは…2012年、当時はCREATURE CREATUREをDEAD ENDと並行してやっていまして、誕生日にソロのバンドを再開したんです。ソロで最後にライヴをやったのは1992年なので、20年振りに。それから年に1回くらいソロのライヴをやるようになって、数曲、戯れのようにギターを弾いていたんです。そうしたら、“ひとりで弾き語りをしなくてはならない”みたいな啓示のようなことを感じたんですよね。それで『SOLITUDE』を始めたのが2015年4月でした」
最初の『SOLITUDE』はいかがでした?
第一回目は名古屋でやったんですが、ひとりで弾き語りをするのは初めてで。ギターを弾くのも、それまでは作曲用でしたからね。練習して備えましたけど、とんでもないというか、散々な感じだったと思います。清春が観に来てくれましたけど(笑)。それ以降、コンスタントにやっていて、2019年くらいからは毎月やる感じになっていきました。
バンドでやっていた曲を弾き語りで改めて表現する面白さはありますよね?
面白さもありますけど、バンドのほうがはるかに楽です。なぜかと言えば、バンドは基本的に歌っているだけですから。仮に歌わなくても演奏は続けられるので成立するんです。でも、弾き語りはギターが止まると全てが止まる(笑)。その重圧は大きくて、最初の頃はものすごい緊張感がありました。終わったあとの疲労困憊は並ではなかったです。弾き語りのほうが未だに緊張感がありますね。
清春さんのソロアルバムでギターを弾いたことがありましたよね?
彼の1stソロアルバムの『poetry』(2004年発表)ですね。なぜか“ギターで参加してもらえますか?”と言われて。当時、僕はアメリカにいて日本では10年以上活動していなかったんですが、“本当に僕でいいの?”と3、4回訊きました(笑)。でも、レコーディングはまだいいんです。弾き直したりエディットすることができますから。でも、ライヴはそうはいかないですからね。
緊張感を求めて弾き語りを続けた感じもあるんでしょうか?
“たったひとりでやる”っていうことをやってみたかったんだと思います。“たったひとりでステージに立って何ができるか?”みたいなことが最初からテーマとしてありました。裸というか、自分のギターと歌しかないですから、より真価を問われるようなところがあって、バンドでやる時とは別種の緊張感があります。今はだいぶ回数を重ねてきたので、ギターと歌の一体化を楽しむことができるようにはなりましたが。
意義のある刺激を得られる場でもあるんでしょうか?
そうですね。ある意味“試練”みたいなところがありますね。バンドだと“試練”なんて言葉はそぐわないんですけど。
アルバム『SOLITUDES I:孤絶の歌は天溶かし』は弾き語りライヴで披露してきた曲が収録されていますが、多重録音をしたり、ゲストミュージシャンを招いて完成させたんですね。
はい。“『SOLITUDE』のアルバムを出しませんか?”ということだったので、最初は歌とギターだけ録って、ソロパートをゲストの方々に弾いてもらおうとしていたんです。でも、制作途中で“これはシンプルで味気なさすぎる。面白くないな”と思い始めて。「忘却白書」のアレンジをキーボードの秦野猛行さんにお願いしたのは結構早い段階で、そことのバランスをとる意味もありました。自分でもいろいろ音を入れてみようとシンセのパッドやパーカッションを入れているうちに、ちょっとやってお茶を濁すよりも、もっとちゃんとやろうって腹を括って、30年振りに打ち込みにのめり込みました。
過去にリリースしたソロ作品に収録されていた曲が、さまざまなかたちで再構築されていますね。
11曲中8曲はリメイクです。『Ballad D』(2022年9月発表のアルバム)がDEAD ENDのリメイクで、今回はソロのリメイクということですね。多様な音が入っているので、“全然SOLITUDEじゃない。ひとりじゃないよな?”と思ってタイトルに“S”をつけて“SOLITUDES”にしてみたら、それはそれで面白いと思いました(笑)。
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