BABYMETALがメタラーの鋼鉄魂をとろ
けさせ「ちょ待ってちょ待って!」

 欧米5カ国をサーキットしたワールドツアーからの凱旋単独公演となった前日のライヴの興奮もさめやらぬ14日、BABYMETAL幕張2Daysの2日目の公演が行われた。天候は前日同様晴れ。8月が戻ってきたかのような厳しい残暑の中、熱心なファンがグッズを求め早朝から容赦なく太陽が照りつける屋外の売り場に列を作っている。

 この日もファン層の多様化はハッキリと見て取れた。初期のライブでは、さくら学院からのアイドルオタク系のファンとメタラーから彼女たちに興味を持った層に2分化されていたが、今ではそれ以外の音楽のファン、コスプレイヤー系の人々など、本当に多種多様な層に支持されるようになった。女性、若いファンも増えた。親子での参戦も数多くなり、幼い娘にBABYMETALのコスプレを施した親の姿もある。ジャンルや世代を超えた多くのファンの目に、厳しい真夏の海外遠征を乗り越えた3人の姿はどう映ったのだろうか? 会場に入ると、この日もビッグ4と呼ばれるスラッシュメタル四天王(メタリカ、スレイヤー、メガデス、アンスラックス)の楽曲をBGMに早くもヒートアップしている。曲がメタリカの『Creeping Death』からスレイヤーの『War Ensemble』にチェンジすると、客席は異様な盛り上がりを見せる。見ると2階席で2本のルミカライトをドラムスティック代わりにエアドラムのパフォーマンスをするファンがいる。このドラミングが非常に上手く、気づいたファンが騒いでいたのだ。

 曲は再びメタリカの『Master of Puppets』に変わり、ギターソロに合わせて観客がシンガロングを始めたところで客電が消灯。わき上がる大歓声。『BABYMETAL DEATH』のイントロに乗せてバックドロップの巨大スクリーンに映像が流れる。長い修行の旅を終え、日本のファンの前に帰ってきたBABYMETAL。2日目のライヴがいよいよ始まった。

 神バンドが奏でる重い旋律の中、舞台中央の真っ白なスモークの中から3人が登場する。ステージ上を狭しと激しく駆け回り客を煽るSU-METAL、YUIMETALそしてMOAMETALの3人。スクリーンに映し出された3人の表情は皆自信に満ちあふれている。ひと夏の経験が少女たちをここまで大きく成長させるのか。そんな感慨が心中にわき起こる。

 2曲目は『君とアニメが見たい~Answer for Animation With You』。ファンには意外な選曲と映ったのか、どよめき、そして大歓声が場内を包む。思えば昨年10月のLOUDPARKでも2曲目に同曲を持ってきて意表を突いた。しかし観客の反応は昨日よりも明らかに良い。3曲目『メギツネ』が始まるとフロアは早くもお祭り状態だ。まだ序盤とは思えない興奮度に、ファンは最後まで保つのか? と余計な心配をしたくなる。女心の葛藤を歌った同曲、SU-METALの表現力は明らかに以前よりアップしている。数々の経験を経て、ボーカリストとして徐々に成熟していくのがわかる。

 さあ、ここからは神バンドのソロタイム。前日とは一部メンバーが入れ替わっての演奏。両方観ることができたファンはラッキーだ。ソロの間も休むことなく盛り上がるフロア。この辺もBABYMETALファンの素晴らしいところだ。続いてダークでメランコリーなSU-METALのソロ曲『悪夢の輪舞曲』。狂気に満ちた難しい同曲での彼女の表現力も、この夏を超えてひときわ輝きを増した。

 一転、YUIMETALとMOAMETALの可愛らしい『おねだり大作戦』が始まる。この落差の大きな2曲を同時に楽しめてしまうのもBABYMETALの魅力だ。細分化に細分化を重ね、結果何とも重苦しい閉塞感が支配するようになってしまったヘヴィメタルというジャンルの中で、これだけ振り幅の大きな様々なエッセンスをメタル内外から取り込んだ幕の内弁当のような楽しさ。これこそがBABYMETALの楽しさ、そしてメタルに精通した欧米のファンをも夢中にさせた最大の要因なのだろう。


次ページではライヴ後半戦を ここで場内は暗転。3人が姿を消すと再び神バンドの宴が始まった。欧米のステージに立つ意義をある意味フロントの3人より痛感していたバンドのメンバーたち。彼らにとってもこの夏の経験は非常に大きかったのではないだろうか。「ハイ!ハイ!」と観客を煽りながら3人が姿を現す。可愛らしいかくれんぼの始まりだ。コミカルでキュートなパフォーマンスに乗せられ、フロアでは早くもWOD(ウォール・オブ・デス)が始まる。WODはやがてサークルを描き、加速しながらグルグルと走り続けるフロア。どの顔も汗に濡れ楽しそうな笑顔だ。

 やがて場内はピアノと弦楽の厳かなメロディに包まれる。ボーカリスト・SU-METALの真髄を垣間見ることができるソロ曲『紅月-アカツキ-』。彼女の魅力をたっぷりと堪能できる叙情的な歌メロと歌詞。最近では顔の表情でも歌の世界を表現できるよう成長したSU-METAL。まだ16歳という年齢を考えると末恐ろしい。続いてはYUIMETALとMOAMETALのキュートな魅力が爆発する『4の歌』。歌詞と歌だけでなく、振り付けとその時々の表情の変化にも注目して欲しい。きっと一発で堕ちるハズだ。

 本編はいよいよクライマックス。ここからは初期の3曲のオンパレードだ。『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』でマジあげぽよになったところで、ユーロビートサウンドを取り入れた『いいね!』のイントロが始まる。フロアを覆うレーザー光線の波の中で泳ぎながら「いいね!いいね!」と親指を立てる観客。SU-METALが「セイホー!幕張!」と煽りアリーナもステージもお祭り騒ぎだ。

 そして『ド・キ・ド・キ☆モーニング』。観客ほぼ全員が「ちょ待ってちょ待って!」のフリコピを楽しむ。アイドルオタク系のファンだけでなくメタラーまでフリコピしてしまうところが何とも凄い。ある意味頑なな、彼らの鋼鉄魂(メタルハート)をとろけさせてしまう魅力。何でこんなことになってしまったんだろう? と語るメタラーは多い。

 スクリーンに流される映像。今日は本編ラストにこの曲を持ってきた。『イジメ、ダメ、ゼッタイ』。巨大なWODでぶつかり合い、ダメジャンプで力の限り跳ぶ。体力を使い果たしへたり込むファンもいる。それを尻目に格闘パフォーマンスを繰り広げるステージ上の少女たち。彼女たちの小さな身体に、どれだけの体力が秘められてるのか……。

 ネット上に流れる、ステージ袖でしゃがみ込んで酸素を吸入する彼女たちの写真を目にしたことのある者は、死力を尽くしパフォーマンスを繰り広げる3人の健気さに涙を流さずにはいられないだろう。お立ち台に上がり観客の声援に応える3人の表情は、どこまでも凜々しく輝いている。

 アンコールを求める手拍子と「We Want More!」の大合唱。長いようで短いその時間。早くアンコールが見たいと思う反面少しでも休んで体力回復して欲しいと願う自分もいることに気づく。やがて荘厳なイントロが始まり、『ヘドバンギャー!!』がスタート。観客も体力を振り絞りヘドバンし、ジャンプする。

 そしてラストナンバーは『ギミチョコ!!』。国内のみならず、多くの海外の人間をも虜にした同曲。ブレイク部分でお立ち台に上がった3人は「アーユーレディ?カモーン幕張!」「聞こえないよ~!」「スクリーム!」と煽る。わき起こるサビの大合唱。曲が終わり大歓声の中「We Are BABYMETAL!」と叫ぶ3人。前日同様2階席方向に駈けていき煽る。

 ラストには火花がスパークし、天井から無数の銀のテープが降り注いでくる中、スクリーンに流されるNY・ロンドン公演と来春のさいたまスーパーアリーナ公演のアナウンス。「新たな調べを手に入れるため」という意味深なメッセージの謎は? 今後の動向が楽しみだ。


◆セットリスト
01 BABYMETAL DEATH
02君とアニメが見たい~Answer for Animation With You
03メギツネ
04 バンドソロ
05 悪夢の輪舞曲
06 おねだり大作戦
07 Catch me if you can
08 紅月-アカツキ-
09 4の歌
10 ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
11 いいね!
12 ド・キ・ド・キ☆モーニング
13 イジメ、ダメ、ゼッタイ
アンコール
14 ヘドバンギャー!!
15 ギミチョコ!!竹崎清彦アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。

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