スヌーピーのオーケストラコンサート
で演出も手がける城田優、その意気込
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スヌーピーやチャーリー・ブラウンの日々を描いたコミック「ピーナッツ」の生誕70周年を祝し、2020年にスタートしたスヌーピーのオーケストラコンサート。シリーズ4年目を迎えた今年は、これまで3年連続でゲストボーカルとして出演してきた城田優が、出演に加えて演出も手がける。『ファントム』をはじめとするミュージカル作品の演出でも好評を得ている城田が、billboard classics✕SNOOPY『Magical Christmas Night』と題して届けるのは、どんな世界になるのか。12月の本番に向けて動き始めている構想を語ってもらった。
ーーこれまでのスヌーピーのオーケストラコンサートを振り返っていただければと思いますが、参加されてどんな印象でしたか。
とても楽しかったです。オーケストラをバックに歌わせていただくことも、ミュージカルではやっていますが、役を背負わず歌うのは貴重な経験ですし。何より、音楽監修をされているジャズピアニストの宮本貴奈さん、指揮の栗田博文さん、東京フィルハーモニー交響楽団の皆さんなど、一流の方々が気持ちのいい音楽を奏でられていて。子どもたちの合唱もあり、クリスマスにふさわしい、非常になごやかで温かいコンサートでした。
ーー今年は、引き続き出演されるだけでなく、全体の演出も任されることになりました。スヌーピーという誰もが知る世界的なキャラクターのコンサートを作ることについて、プレッシャーはありませんでしたか。
演じる、歌う、舞台に立つという演者としての僕はいつもめちゃくちゃ緊張しているんですけど、裏方的なお仕事をするときは、実はプレッシャーは一切感じたことがないんです。というのも、エンターテインメントというのは、極論すると、万人に受け入れられることは絶対にないと思っていますから。どれだけ自分がいいと思うものを作ったとしても、それぞれ好みが違うので、これは好きじゃないと思う人の心を動かすことはできない。その前提で作っているので、責任感はありますけど、プレッシャーはありません。
城田優
ーーでは、演出にあたってまずどんなことを考えられているのでしょう。
僕が演出するときのテーマにしているのは、ミュージカルでもそうですけど、“没入感”なんです。劇場に来た人たちにその世界に没入してもらって、日常に引き戻さないようにする。だから今回も、「ピーナッツ」の世界を作るということから考え始めました。コンセプトは、“スヌーピーたちが住んでいる森の中で開かれているクリスマスコンサート”です。舞台美術は松井るみさんにお願いしたんですけど、るみさんは、ブロードウェイ・ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』(21年)の美術も手がけておられて、「ピーナッツ」の世界は何なら僕よりご存知なので、僕が目指したい方向をお話して、大きなクリスマスツリーの下でやっている音楽会というようなイメージを考えてもらっています。そんな舞台美術のなかで演奏しているオーケストラのコンサートは、僕が知っている限りではないと思うんですけど。でも、せっかく、スヌーピー、クリスマス、という素敵な材料があるので、ショーアップして、ちょっとくらいぶっ飛んだものにしてもいいんじゃないかなと(笑)。
ーーオーケストラの方々にも、それに合わせた演出をされるんですか。
ピーナッツの音楽会に出演している人たちという設定なので、衣裳や譜面台なども色や雰囲気を全部統一してできたらなとは思っています。『ファントム』でもオーケストラの皆さんに、「ここはこういうシーンなのでこういう気持ちでやっていただければ」ということはお伝えしていて、演奏に支障がない程度にやっていただいているんですよ。楽器によってできることできないことがありますけど。今回も、オーケストラの方も含めて「みんなでやっていきましょう!」ということで、その世界観を作っていけたらと思います。
ーー楽曲についても、決まっているところだけでも教えてください。
僕が歌わせていただくナンバーとしては、スヌーピーにまつわる名曲「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」と「ジャスト・ライク・ミー」。それから、僕のオリジナル曲「LOVE&PEACE」も前回に引き続き歌う予定です。そして、ちょっと目玉になるかなと思っているんですが、サザンオールスターズさんの「真夏の果実」をセットリストに入れました。日本の裏側の国々では真夏にクリスマスを迎えますから、冬とか雪のイメージから離れてもいいんじゃないかと。「真夏の果実」をクリスマスっぽくアレンジしますので、期待していただければと思います。あと、宮本貴奈さんとの共作で、コンサートのテーマ曲もこれから作ります。これも楽しみにしていただきたいです。また、アメリカの古き良き時代のスタンダードナンバーをゲストとデュエットしたり、原作者のシュルツさんが愛するPEANTUS JAZZを大編成でお聴かせします。
城田優
ーーゲストボーカルに、兵庫公演はCrystal Kayさん、東京公演は清水美依紗さんが登場されます。お2人とも共演経験がありますが、どんな魅力を感じておられますか。
クリは10代の頃から一緒に切磋琢磨してきて、ミュージカル『ピピン』という作品でも数カ月間ともに時間を過ごし、美依紗は2、3年前に出会った頃から絶対に伸びると感じていました。2人とも、パフォーマンス能力の高さは言うまでもなく、それにプラスして人柄がとてもすばらしいので。クリスマスという聖なる夜にふさわしいハートと歌声で、客席を魅了してくれるはずです。
ーー最後に、城田さんが演出されるので、コンサートをまだ観たことのないミュージカルファンの方にメッセージをお願いできれば。
オーケストラのコンサートというと、僕はどうしても、落ち着いて聴くというイメージを持ってしまうんですけど、でも、このコンサートの音楽は、ワクワクする要素や遊び心がいっぱいあるんです。しかも今回は、その「ピーナッツ」の世界をより出そうとしているんですから。断言します。絶対に楽しめます!
衣装=橘省吾
ヘアメイク=岩田恵美
取材協力=Amazon Music Studio Tokyo
取材・文=大内弓子   撮影=石阪大輔

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