L→R 松井博樹(Key)、戸田達也(Ba)、Ray(Vo)、實成 峻(Dr)、中村達也(Gu)

L→R 松井博樹(Key)、戸田達也(Ba)、Ray(Vo)、實成 峻(Dr)、中村達也(Gu)

【BLINDMAN インタビュー】
自信作なので、
より多くの人に
届くといいなと思っている

ギターソロは曲の中で
意味のあるものにしたい

続いて、『OUTBURST』のギターについてうかがいたいと思います。今作でギタリストとしてこだわったり、大事にされたことは?

いかんせんBLINDMANはギタリストと作曲者とプロデューサーとエンジニアが全部同じ人なので(笑)、例えばギターソロを録る際には当然音色にこだわるわけですけど、そこで“ミックスしやすい音にしよう”とか考えてしまうんです。自分の理想のトーンとかよりも、“このオケに乗った時に、ちゃんと混ざりつつ抜けのいい音にしよう”という方向になってしまうんですよね。つまり、プロデューサーの指示に従って、ギタリストが弾いているんですよ(笑)。

個人的にはエッジィ&リッチなバッキングトーンがすごく魅力的だと思っていまして、特に「A Man in Wonderland」の出だしのギターリフの音は最高です。

実はそこだけギターが違うんです。あとの5曲は全部同じだけど、「A Man in Wonderland」の最初の4小節だけ、ちょっと古いレスポールJr.を使いました。そして、あえてオンマイクの音は入れずに、ルームマイクの音だけにしたんです。出だしを今どきっぽくない音にして、全体が入った瞬間からパッと広がって、ちょっとモダンになるということを意図的にやりました。その狙いにハマッてもらえたみたいで嬉しいです(笑)。

やりますね。レスポールJr.以外はどんなギターを使われたのでしょう?

メインのレスポール・カスタムです。

えっ? ハムバッキングPUでこんなにエッジィな音します? ハムバッカーとシングルコイルの中間のような質感なのでP-90かなと思いました。

そこを狙ってはいるんです。僕自身、P-90の音が好きなんですよ。なので、ハムバッキングでも、とにかく出力の低いものをチョイスしていて。で、アンプはマーシャルのJCM-800。まさに80年代のギタリストが出していた音という(笑)。

いいですね(笑)。クリーントーンもレスポールでしょうか?

はい。クリーントーンの時は普通にリアとフロントのミックスにして、ギターのボリュームを絞っているだけです。アンプをいじった記憶はないですね。今のメインギターを使うようになったのが2007年で、今のアンプになったのが2009年で、そこから1回も変わっていないんですよ。あのギターとアンプには絶対的な信頼があって、レスポールもその後5本くらい買いましたが、メインが変わったことは1度もないです。前作はP-90をめっちゃ使ったんですよ。レスポールJr.を多用したし、フェンダーのアンプを使った曲もあるくらい変化をつけたけど、思ったほど聴いた感じでは変わっていないと思って(笑)。結局は人だと思って、今回は「A Man in Wonderland」の出だし以外はもう全部メインのレスポール・カスタムとJCM-800でいきました。

自身のトーンを持っているというのは、ギタリストとして大きな魅力ですよね。ということは、バッキングではドライブエフェクターは使わない?

GALNERYUSのSyuくんが作ってくれたクリーンブースターを通すくらいですね。かなりローゲインで、ライヴであの音で弾いたらすごく弾きづらいと思うけど、リズムギターに関してはコード感がはっきり出て、エッジが立つところで収めるようにしています。もっとモダンなメタルだと全部100みたいになっていることがあるけど、50とか70があることで100が映えるじゃないですか。僕はギターに限らず全部の楽器をそれが伝わる音にしたいし、CD全体の音色に関しても極端に潰しすぎないようにということを、今回のミックスではすごく意識しました。

バンドの息遣いを感じ取れるサウンドが光っています。そして、テクニックと歌心を併せ持ったギターソロも本作の大きな聴きどころです。

テクニカルなところに関しては、それで評価されるのは本当に上の1番か2番くらいの人だけですよね。僕は幸いこの世界に長くいて、ギタリストの友達も多くて、ものすごい人がいっぱいいるわけですよ。だから、テクニックで勝負しようという気持ちはあまりない。ギターソロは曲の中で意味のあるものにしたい気持ちもありますしね。うちのバンドは今どきのこういう音楽にしてはギターソロが短いと思うんですよ。テクニカルな人はソロが長くなる傾向があると思うけど、僕はコンパクトにまとめたいんです。

ということは、ギターソロは事前に作り込むタイプでしょうか?

いえ、ソロは作曲しません。

そうなんですか!? 緩急の効かせ方が絶妙なソロが並んでいますので、構築されたのかなと思いました。

僕の中では、それが基準として普通になっているんだと思いますね。16歳くらいの時にイングヴェイ・マルムスティーンを知って10代の頃はめっちゃハマりましたけど、一貫して好きなのはゲイリー・ムーアとマイケル・シェンカーなんです。そのふたりが自分の中で圧倒的に強かった。なので、彼らの緩急のバランスみたいなものが僕の中で基準になっているような気がします。

アドリブでこういったソロを弾けるということに圧倒されますし、「Destiny」のように速弾きでも緩急をつけているのはさすがです。さて、『OUTBURST』は良質な楽曲が揃っていて、ギターの聴きどころも満載という注目の一作になりましたね。

ありがとうございます。自信作なので、より多くの人に届くといいなと思っています。新しい作品ができたし、やっとライヴも普通にできる状況になってきたので、次はライヴですよね。まだうちのバンドは全国的なツアーとかをするのはちょっと難しいと思っているので、大都市を中心にできる限りライヴをしたいと思っています。聴く人の人口が減っているのは事実だと思うので、そういう中で魅力的なパッケージのイベントとかを地方でもできるといいなということも考えています。まだ少し先になると思うけど、今後はライヴも精力的にやろうと思っているので、ずっと応援してくれている人はもちろん、少しでもBLINDMANに興味を持ってくれた方はぜひ僕らの音楽を体感しに来てほしいですね。きっと楽しんでもらえると思います。

取材:村上孝之

ミニアルバム『OUTBURST』2023年9月20日発売 Walküre Records
    • WLKR-0073
    • ¥2,640(税込)
BLINDMAN プロフィール

ブラインドマン:1995年にセッションイベントを機に結成。98年春にデビューアルバム『Sensitive Pictures』をリリースし、初の全国ツアーを展開。01年にキングレコード のNEXUSレーベルより3rdアルバム『BLINDMAN』を発表するが、03年3月末に解散宣言し、メンバーは個々の活動へ。04年10月に実質2年のブランクを経て、バンドの再結成&活動再開を発表。その後もメンバーチェンジを繰り返し、16年6月に現在の布陣となる。20年初よりコロナ禍のため、予定されていたライヴの延期、中止を繰り返す中、7月にソーシャルディスタンスを図りつつ昼夜2公演のワンマンライヴを鹿鳴館で敢行。同年11月には通算11枚目のオリジナルアルバム『EXPANSION』をリリースする。そして、23年9月にはセルカバー2曲を含む全5曲入りのミニアルバム『OUTBURST』を発表。BLINDMAN オフィシャルHP

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