堀込泰行、堂島孝平を迎え開催 NON
A REEVES主催『信州いいやまノーナ・
フェス 2023』のオフィシャルレポー
トが到着

2023年8月5日に飯山市文化交流館なちゅら 大ホールにて、NONA REEVES主催『信州いいやまノーナ・フェス2023』が開催された。本記事では、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

2023年8月5日、長野県の飯山市にある飯山市文化交流館なちゅら 大ホールにて、NONA REEVESが主催する『信州いいやまノーナ・フェス2023』が行われた。同市がNONA REEVESのドラマー・小松シゲルの地元であることから2019年に初開催され、以降は毎年恒例のイベントとしていく予定がコロナ禍を受けて仕切り直しとなり、今年4年ぶりに帰ってきたイベントである。
『信州いいやまノーナ・フェス2023』
会場はホールの1ステージのみだが、フードエリアも用意されるなど通常のコンサート仕様とは一味違う雰囲気。さらに前方エリアは椅子席ではなくスタンディングとなっていて、これは前回チケットが買えなかったという声を受けてのキャパ対策とのことだったが、まるでライブハウスのような熱気の演出にも一役買っていた。
開演時刻を迎えると、拍手の中、西寺郷太(Vo)&小松が登場。ついでバンドメンバーもステージに現れる。この『ノーナ・フェス』はハウスバンド形式で一つのバンドが演奏を続け、ボーカルが入れ替わっていくスタイル。そのため転換時間がほとんど無く、連続してライブを楽しむことができる。なお、演奏メンバーはNONA REEVES バンド。小松と奥田健介(Gt)、ベースは近年ノーナのライブを支えるTRICERATOPSの林幸治、鍵盤が冨田謙、パーカッションが松井泉、そしてコーラスに真城めぐみという、お馴染みの豪華な布陣だ。
NONA REEVES・西寺郷太&小松シゲル
漫談よろしく軽妙なトークで仕切っていく西寺に呼び込まれ、まず一人目のボーカリスト・堂島孝平が登場する。
「自分としては全力で本調子でというわけにはいかないんですけども、満足いくパフォーマンスを、トップバッターとして務めようと思いますので、何卒よろしくお願いいたします」
という挨拶の通り、開催前日に喉に不調をきたしたため、通常のライブセットではなくトーク&ライブの形式をとることがアナウンスされていたが、西寺曰く「心配して損しました」というほどの、溌剌としたパフォーマンスを披露。若干ハスキー成分が混じることはあったものの、やわらかく軽やかな歌声で歌いながら、ステップを踏んだり配信カメラに目線を向けてみたり、茶目っ気まじりのライブが楽しい。
堂島孝平
堂島孝平
CMで使われリバイバルヒットしている代表曲「葛飾ラプソディー」では、明るく人懐っこい曲調にちょっぴり哀愁を纏わせ、用意されたマイクケーブルの長さに言及してから「使わせてもらいますよ」と宣言した「Almond」では、2番からフロアへ突入。弾む曲調に乗って会場全体を巻き込んで盛り上げてみせた。再び西寺の言葉を借りれば、まさしく"プロフェッショナル・エンターテイナー"ここに在り。
堂島孝平

2番手は堀込泰行。その佇まいとまろやかな歌声によって、先ほどまでとは打って変わったチルな癒しの空間ができあがる。とはいえ、彼の訴求力たっぷりのボーカルと名手揃いのプレイヤー陣による演奏が合わさることで生まれる、穏やかながらコシのあるグルーヴには、自然と身体を揺らさざるを得ない。「ちょっと夏らしい曲を」と披露された「Ladybird」では、奥田の弾くブルージーなギターも良いアクセントとなっていた。
堀込泰行
前乗りして馬刺しを存分に堪能した話や、その後ホテルでGoogleマップで見たら家まで徒歩2日かかることを知った話など、淡々とした口調でユーモラスなことを話す堀込のMCに、会場の空気は自然とあたたかなものとなっていく。ライブは後半へと進み、サマーチューンながらあくまでゆったりとしたサウンドに酔いしれたのは、小松からのリクエストだという「クレイジーサマー」。いずれの曲もそうなのだが、抑揚の多くない中に光るメロディセンスによって、音楽としての心地よさとポップスとしての強度が両立されている。ラストは歓声に迎えられながら「YOU AND ME」を届けてステージを後にした。
堀込泰行
堀込泰行

一旦暗転した状態からそのまま演奏が始まり、少しすると西寺が登場。トリを務めるのは当然NONA REEVESだ。曲は「Disco Amigo」である。その名の通りディスコティックな曲調ながら、メロディ等にはどこか昭和の歌謡やポップスの香りも漂うのが面白い。奥田の弾く少々いなたいギターソロも良いアクセントになっている。西寺が、出会ってから30年を超えるというメンバーたちとの歩みを振り返りつつ「今年もまた飯山でこの歌を歌えるのが本当に嬉しいです」と告げ、客席からのクラップとともに届けたのは「メモリーズ ~ひと夏の記憶~」。ゆったりとした演奏で揺らしながら届けたメッセージは、<この夏こそ BEST OF MY LIFE>というキラーフレーズ。
NONA REEVES

NONA REEVES

「ここからとんでもないことが起こりますから!」「パーティータイム行くぞ!」との煽りから、このフェスのホスト役でもある小松を乗せたドラムセットのライザー(台)が客席側へ向けじわじわと前進! そうして突入した「LOVE TOGETHER」からは宣言通り、問答無用でぶち上がる展開に。端正なプレイの中に絶妙な強弱やニュアンスの変化をつけていく小松、小気味良いカッティングから渋めのリフまで自在な奥田のギター、スウィートにメロディをなぞったかと思えばラップ調のパートもなんなく歌いこなし、曲間のトークにも余念がない西寺。個々の技術の高さも、それが合わさった時の抜群の安定感もベテランバンドならではのものだが、醸し出す空気はなんだかとても無邪気でみずみずしい。元々のスタンスもあるだろうが、ゆかりの地である飯山がそうさせている部分も大きい気がする。曲が進むごとにファンクネスの度を増していく「ラヴ・アライヴ」まで存分に場内を踊らせ切った後、最後は「Glory Sunset」でしっとりと締め。たっぷりと余韻を残して本編は終了した。
NONA REEVES
NONA REEVES
NONA REEVES

アンコールに応えて再びステージに現れたのはNONA REEVESの3人とバンドメンバーたち。実は、クライマックスはここからであった。「怒涛のめくるめく時間をこれからお届けしますんで」と放ったのは、およそ20分にも及ぶノンストップのメドレー。はじめの「I LOVE YOUR SOUL」の途中からは堂島が、続く「New Day」からは堀込が登場し、3人でかわるがわる歌ったり、掛け合ったり、ハーモニーを重ねたり、そこへさらにさらに真城がソウルフルなコーラスで加わって行ったりと、なんとも贅沢な共演が続く。個人的には「SHOOTIN' STAR」から「CHOCO ME BABY」あたりのどんどん畳み掛けてくる展開が堪らなかった。
堀込泰行、NONA REEVES、堂島孝平
奥田健介、堂島孝平
堀込泰行、堂島孝平
ラストに「HIPPOPOTAMUS」を披露した後は、飯山ではお馴染みだという万歳三唱で終わろう、ということになり、呼び込まれたのはなんと市長! このイベントが地元との良好な関係性としっかりとした相互理解のもと行われていることを象徴する光景を見る限り、この日語られた「いずれはライブをこの会場でやるだけではなく、街中では出店が出ていたりといった街ぐるみのフェスにしていきたい」という構想も、十分実現可能なのではなかろうか。4年越しにあらためてスタートを切った『ノーナ・フェス』が、これからどんどん、街に愛されるフェスとして育っていくことに期待したい。
『信州いいやまノーナ・フェス2023』

撮影=KEITA FUKUMI @ktagrant

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