北翔海莉「たったひとりでも私を求め
てくださる人がいるのであれば、誠心
誠意お応えしていきたい」~『THE 北
翔まつり』インタビュー

宝塚歌劇団・元星組トップスター北翔海莉が、芸能生活25周年をむかえ、『北翔海莉 芸能生活25周年記念公演 THE 北翔まつり』を、2023年9月に東京、大阪で開催する。
第一部は松竹新喜劇の作品である『先づ健康(作:茂林寺文福)』を、第二部は『THE 北翔まつり』と題した和物のショーを予定。芝居・歌・ダンスと三拍子揃った北翔海莉の魅力のたっぷり詰まった記念公演だ。
この公演では、夫・藤山扇治郎との再共演や、今年3歳を迎える夫妻第一子・美治の初舞台も話題となっている。そのほか、風莉じん、星吹彩翔、亜聖樹、小林功、川浪ナミヲが共演し、舞台を彩る。
そんな記念公演に挑む北翔に、都内某所でお話を伺うことができた。
北翔海莉
ーーこの度は、芸能生活25周年おめでとうございます。まず、25周年を迎えたお気持ちをお聞かせください。
正直、25年も続けられると思っていませんでした。宝塚を卒業して、ちょうど今年の秋で7年目に入りますが、変わらずに応援してくださるファンの方の存在も、とても大きいです。
自分自身は宝塚を卒業し、結婚・出産を経て、私生活の環境も大きく変わったんですね。育児しながらのお仕事に不安を感じていたとき、夫の藤山扇治郎さんが「みっちゃんは舞台からおりたらいけない。僕はみっちゃんの舞台を見続けていたい」って言ってくれたんです。ファンのみなさんや家族の支えのおかげで、こうして25年続けられているっていう感謝の気持ちを込めて今回、感謝祭のような公演にしたいなと思ったんです。
公演のタイトルもね、メモリアルとか横文字のおしゃれなタイトルも考えたんですよ。でも、スパッと潔く「誰ももう忘れないだろうな!」っていう題名にしようって思って、これに決めました。
ーー今回は二部構成の舞台となっていらっしゃいます。まず、第一部の『先づ健康』についてお伺いします。
宝塚時代にも、劇中でおじいさんの役をやることもあって、その時に役作りに参考にさせていただいた作品なんです。自分が40歳を過ぎて、「親孝行って何だろう」って考えたとき、この作品にはメッセージとして伝えられるようなものが、いっぱい詰まってることを思い出しました。この3、4年、コロナ禍で、気軽に人に会えない時期が長かったと思うんです。ファンの方も、「とにかく、まず健康に舞台見に行くからね」って言って下さる方も多くて、『先づ健康』というタイトルの喜劇、すごくいいなって思って決めました。
25周年ですし、「キラキラしていて、格好良くて、一番素敵なみっちゃんが見れるのかも……」って思ってるファンの方々もいるとは思うんですけども。今回のコンセプトって、なんだかそっちじゃないんですよね。夢の世界じゃなくて、よくある日常の中で気づかされる……、そういう作品をやりたかったんです。
北翔海莉
ーー第二部はタイトルと同じ『THE 北翔まつり』と題した和物のショーをご予定ですが、どのようなショーになりますか?
現役時代そして卒業してからも、和物作品に多く出演しているんです。ただ、思い返してみると、ディナーショーとかでなかなか和物の曲を歌う機会がなくて。それだったら、今までのものをずらっと並べてみようって。実は、和物のショーをやりたいっていうことが先に決まったんです。それから、お芝居を決めました。
ーー今回、共演者のみなさまもバラエティに富んだメンバーです。みなさまの印象や、どのようなご関係かお聞かせください。
風莉(じん)さんは私の同期生です。宙組時代に一緒に戦友として頑張ってきた仲間であります。そのほかの他の子たち(星吹彩翔、亜聖樹)は、在団中もですけれど、卒業してからもご縁がある方たちなんです。小林(功)さんは、私と扇治郎さんが共演した『蘭~緒方洪庵 浪華の事件帳~』で、一緒に共演させていただいた方です。お力をお借りしたいけど、手の届かない御方かな……と思いながら、お声かけしたところ、ご快諾くださいました。そして、川浪(ナミヲ)さんは役者でもあるのですが、演出助手もできるマルチな方なんですね。今回『先づ健康』でも補として力を貸してくれます、
ーー今回のチラシのイラストの北翔さん、とっても素敵ですね。こちら、はじめてご覧になった時は、どう思われましたか?
元雪組の大澄れいさんに描いてもらったんです。「綺麗な女優さん」のイラストっていうよりは、前進し続ける勢いがあるイメージで書いてくださいました。はじめてみたときは思わず笑ってしまいました、私のこと、よくわかってるなぁって。一発OKです!
ーーデビューしたばかりのころと、今、心境の違いなどはありますか?
長い道のりだった……という気がしています。初舞台のころ、自分がこんな続けると思ってなかったです。「あっという間だった」っていう感覚が全然なくて、紆余曲折、いろんなことがあって、すごい長い道のりでした。壁にぶち当たって身動きが取れない試練も、それすら前進するのみでここまでやってきました。そんな中でも、私を応援してくださるそのファンの方から、「この作品に助けられた」「試練を乗り越えられた」っていうお手紙をいただいた時は、「自分が舞台に立つことは無駄じゃなかったんだ」と感じることができて幸せです。
北翔海莉
ーー今回、藤山扇治郎さん、美治さんとご家族での共演になりますね。
母親の目線になったときは、「この子は大丈夫か? 夜公演で寝ちゃうんじゃないか」とか、「稽古場で本当にできるんだろうか」という心配はあります(笑)美治さんが生まれた2020年はコロナ禍だったので、どこかに預けるっていうことできなかったんですよ。とにかく自分の現場に連れていくしかなくて、楽屋で育ったような子なんです。なので、母が「舞台に立つ」っていう意識はあるみたいですね。2歳くらいになったら、「自分も舞台に立ちたい」って言うようになりました。
また、今回、松竹新喜劇の作品をさせていただくにあたって、私が旦那さんの方の世界観のそのジャンルに入らせていただくことなります。自分がその世界ファンだったので、松竹新喜劇を演じられるという部分では嬉しい反面、緊張感もすごくあります。
今回、ショーのメドレーやフィナーレの衣裳は千地泰弘先生の素敵なお着物です。千葉県人会からいただいた北翔の紋が入ったお着物もあります。扇治郎さんは藤山の紋が入ったお着物なわけで、紋バトルみたいな雰囲気になりそうですよね。
ーー今でも様々な舞台でご活躍ですが、今後、どのようなことに挑戦していきたいですか?
どんな作品にお声かけ頂くか、自分が未知のまま宝塚卒業したんです。自分がこういうものがしたいっていう目標を立てるのも大事なんですけど、導いてくださる方との縁を無駄にしないように、これからもやっていけたら嬉しいな、と考えています。
また今回殺陣のシーンがあります。出産もあったため、三年半木刀を持たない時期があって、筋肉が全部落ちちゃったんですよ。だけど、そんな中でも、挑戦のチャンスをいただいたので、出戻りのような気持ちでチャレンジしています。殺陣指導をお願いしている市瀬秀和さんには、武道の神髄みたいなものから教わって、格好いいだけではない殺陣のシーンを披露出来るように、所作からご指導いただいています。
ーーたのしみにしているみなさんへメッセージをお願いいたします。
25周年の節目に、自分の芸能生活のこれからをどうしようか……子育てもあるし、ひとつの節目で休憩かな……なんて考えたこともありました。でも、ファンの方の「みっちゃんの舞台が生きがいだ」、「みっちゃんに会いに行くことを目標に今頑張ってるんだ」って言葉に、「まだ舞台降りちゃいけないな」ってことを改めて気付かされました。
たったひとりでも私を求めてくださる人がいるのであれば、その方に誠心誠意、お応えしていきたい。
今回は、その感謝の気持ちをもって、まず健康で、笑顔で帰っていただく内容にしたいなって、思っております。
北翔海莉
取材=森きいこ   撮影=山副圭吾

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