がむしゃらにテニスを楽しもう! ミ
ュージカル『テニスの王子様』4thシ
ーズン 青学(せいがく)vs六角ゲネ
プロレポート

2023年7月15日(土)東京・TACHIKAWA STAGE GARDENにて、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs六角が開幕した。その直前に行われたゲネプロの模様をレポートする。

試合中の怪我による療養のため東京を離れることになった手塚国光部長と青学(せいがく)テニス部メンバーの絆を歌い上げるナンバーから始まり、キャスト全員が「俺たちがテニスの王子様だ!」と力強くハーモニーを重ねていくナンバーへと続いていくプロローグ。各校が弾けるように入り乱れるフォーメーションもカッコよく、ここから“太陽の下で楽しむテニス”が描かれていくんだというワクワクが観客の胸にも押し寄せる、明るさに満ちた幕開けである。
試合は関東大会準々決勝・青学(せいがく)vs緑山の対戦から。季楽靖幸を中心にいわゆるコスパとタイパを重視するタイプのプロ志向のチームである緑山だが、実はしっかりテニミュで描かれるのはこれが初。季楽を演じるHARUKIはクールなプレースタイルの奥に秘める闘志を丁寧に表現。越前リョーマとのシングルス対決でも力強く戦い、リョーマを本気にさせながら自身も一皮剥けた本気を表出させていく新たなライバルとしてその存在と緑山のチームカラーを板の上に刻みつけた。
準決勝は六角戦。まずはダブルス2、青学(せいがく)・河村 隆&桃城 武vs六角・黒羽春風天根ヒカルの登場だ。河村役の大友 海の包容力とここぞの集中、桃城役の寶珠山 駿の溌剌としたプレーはスポーツマンシップ溢れる真っ直ぐさ。黒羽役の桐田音と天根役の栗原航大は、鍛え上げられた体躯の良さとオジイ特製の木製ラケットの大きさとの相乗効果で見た目の迫力もなかなかのもの。パワフルな試合展開となった。
そして第二幕へ。ダブルス1、青学(せいがく)・不二周助菊丸英二vs六角・佐伯虎次郎樹 希彦はそれぞれの持ち味をしっかりとぶつけ合ったナイスゲーム。菊丸役の富本惣昭は本気モードに突入した菊丸の怖さすら滲ませ、不二役の持田悠生はあくまでも優雅に天才ぶりを見せつける。佐伯役の松永有紘の決めセリフを駆使したハンサムぶりと、その活躍をしっかりとサポートしていく樹役の森下紫温のひたむきな地力もいいコンビネーションだ。
第三試合シングルス3は青学(せいがく)・海堂 薫vs六角・葵 剣太郎の戦い。海堂役の岩崎悠雅は持久力を生かした粘りのテニスをじっくり泥臭く伝え、葵役の宮脇 優は「女の子とチュー」を心のスローガンに無邪気でポップなテイストで攻め入る。真逆なタイプ、真逆な思考で挑む“プレッシャー対決”は、応援にも思わず力を込めてしまう見応え抜群のビッグゲームに。
六角戦、全編を通じて感じたのは分厚い“チーム力”だ。試合もそこで戦っているプレーヤーにギュッとフォーカスしていくというよりは、コートで戦う選手とベンチで応援するチームメイトの思いが重なり合い、増幅し、その場にいる全員がゲームに集中しながら共に戦っている一体感で描かれていく印象が今まで以上に強かった。全てを巻き込み役者の躍動と歌の力が融合して生まれる熱は、まさにミュージカルにしか生み出すことのできない感動である。また、時折ふっとテニミュの歴史を思い起こさせるフレーズも耳に届き、原点回帰しながら新しさを切り拓いていく今のテニミュの志を見たような気もした。
氷帝・跡部景吾を演じる高橋怜也の鬼気迫るヴォーカルと青学(せいがく)・手塚役の山田健登が放つ強さ滲む歌声も圧巻。リョーマ役の今牧輝琉も六角との試合はなかったが、父親がテニスプレーヤーという共通点を持つ季楽との戦いで再確認した自身のアイデンティティーと、まだ見ぬ次の強敵へと闘志を燃やしていく“内なる強さ”の成長をキレのある歌とダンスに乗せ、またひとつ、次のステップへ踏み出した頼もしさを感じさせてくれた。
一人ひとりがさらに成長しようと未来に顔を向け、歩みを止めない青学(せいがく)と、千葉のテニスボーイズ・六角の明るくポジティブなバイブス、そして手塚との戦いの余韻拭いきれず次の勝利へと心を燃やす跡部率いる氷帝の“今”とが絶妙なコントラストで描かれた、熱く濃厚な約3時間。しかし、粒揃いの楽曲たちとテンポの良さとで体感的にはあっという間! ここにあるのはがむしゃらにテニスを楽しむ中学生たちの、暑い夏の熱い物語。その余韻はひたすらに爽やかである。
会見キャストコメント
■越前リョーマ 役:今牧輝琉
『テニミュ』4thシーズンとしては3回目の夏です。2年前の不動峰公演から、もうそんなに経ったんだという気持ちでいっぱいで、そこから新しい学校も増えて『テニミュ』としてもいろんな色が出てきました。毎回新鮮な気持ちで臨んでいます。『テニミュ』は今年で20周年を迎えましたが、20周年としての一本目の公演を迎えることができて嬉しいです。前回の氷帝公演は全体の印象としてキリっとしたイメージでしたが、この六角公演はとにかく元気な公演です! ここにいる4人はどちらかというとクールなキャラクターですが、内に秘めた闘志があるので観ていただいた方にもそれを感じて熱くなってほしいなと思います。皆さまに最高の夏をプレゼントしたいなという気持ちと、カンパニー・そして越前リョーマとしてさらに上を目指したいと思います。すごく暑い日々が続きますが、体調管理に気をつけて劇場までお越しください。
■海堂 薫 役:岩崎悠雅
稽古で作り上げてきたものをやっと皆さまにお見せできることができてとても嬉しく思っています。青学(せいがく)としては、手塚部長が不在だからこそ、キャストもキャラクターも一人ひとりが成長している姿が見せられると思うので、そこを早く皆さまにお届けしたいなと思っています。不動峰戦から今回の六角戦までの海堂の気持ちの変化が大事だなと思っているので、言葉数はあまり多くないですが、表情や動きで伝えていけたらと思います。キャストとしても役としても成長している姿を見ていただきたいです。そして海堂と葵との六角戦シングルス1は、葵が思いっきりぶつかってきてくれるので、二人の熱量がどんどん上がっていく様をお見せしたいです。いろいろなプレッシャーを感じながら生きている方もいると思いますが、そんな方たちに、海堂のようにプレッシャーに強くなりたい!葵みたいに楽しんで生きてみたい! と思っていただけるように頑張りますので楽しみにしていてください。今回の六角公演は来てくださった皆さまに最高の夏だったと感じてもらえるようにカンパニー一同頑張っていきたいと思います。
■佐伯虎次郎 役:松永有紘
稽古が始まってからあっという間に初日を迎えてしまいました。いまはワクワクとドキドキといろんな気持ちが混ざって、すごく楽しみな気持ちでいっぱいです。20周年という記念すべき年に携われる幸せを味わいながら臨みたいと思います。六角としては明るくて楽しいチームなので、そんな六角の雰囲気を楽しんでいただければと思います。佐伯としてはダブルス1の試合でいっちゃん(樹 希彦)とダブルスを組むのですが、いっちゃんとの絆や熱さだったり、幼馴染の不二と菊丸と対戦できるということで、試合に勝つ気持ちはもちろんですが、その中でも相手へのリスペクトも強く持っていますし、試合を楽しむ気持ちもあるので、そういう部分も見ていただきたいです。六角公演は、楽しく明るく熱く、夏らしい公演となっているので、楽しむ準備をしてきてください!
■跡部景吾 役:高橋怜也
僕的には『テニミュ』で初めての夏の公演なので、とても嬉しくて、リアルに熱い夏になるんじゃないかなと思います。前回の公演では氷帝は負けてしまって3年生は引退が決まった状況ですが、氷帝レギュラーのみんな、そして、氷帝部員200名のたくさんの思いを抱えて立たせていただきます。原作には描かれていないのですが、跡部は部長としてどういう心境でいるのか、演じていると跡部の葛藤や心の動きがわかるし、胸に来るものがあるので、そんなところも表現できればと思っています。六角は、氷帝とは全く違う、真逆のチームの雰囲気で、僕は観ていて一番好きなんじゃないかな? と思うくらい、この六角公演がすごく楽しくて大好きなので、観に来てくださる皆さまにも楽しみにしていただきたいと思います。公演を盛り上げるべく僕たち氷帝も頑張りますので、劇場でお会いできるのを楽しみにしています。
取材・文=横澤由香

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