日向坂46の森本茉莉・山口陽世らが高
校生たちの眩しく美しい青春を魅せる
~舞台『幕が上がる』レポート

舞台『幕が上がる』が、2023年7月12日(水)、サンシャイン劇場で開幕した(7月17日(月・祝)まで、上演)。7月14日(金)の18:00公演は配信も決定した。ここでは、初日公演直前におこなわれたゲネプロ(総通し稽古)の模様をお伝えする。
平田オリザによって書き下ろされた青春小説『幕が上がる』(2012年出版)。2015年には監督:本広克行、脚本:喜安浩平、そして、ももいろクローバーZ、黒木華、ムロツヨシ、さらに吉岡里帆や芳根京子、伊藤沙莉らの出演で映画化され、第39回日本アカデミー賞の話題賞、TSUTAYA映画ファン賞などを受賞した。また、同年には同じくももいろクローバーZのメンバーを主演に、平田自身が脚本を書き、本広の演出により舞台化もされている。
今回の上演では森本茉莉(日向坂46)と山口陽世(日向坂46)がW主演。さらに、浜浦彩乃、高井千帆、宮本龍之介、飛香まい、高野渚、竹内麗、宮地樹(劇団4ドル50セント)、千賀功嗣(劇団俳優座)、田野聖子、片山萌美、なだぎ武、酒井敏也ら実力と個性を兼ね備えたメンバーが集結した。脚本・演出は久保田唱が手掛ける。
原作小説、映画、2015年に上演した舞台でそれぞれ少しずつ内容も違うが、今回の舞台では、原作をベースに新たな物語が描かれている。
とある高校の演劇部を部長として率いるさおりを演じる森本茉莉は、俯瞰で周りを見る一方、この物語の語り手として、等身大の高校生の情熱や悩みを赤裸々に表現する。山口陽世は、少しワガママなところもあるが素直で演技の才能があるユッコを好演。後半に進むに連れてユッコが女優として花開いていく様子を瑞々しく見せる。
2人とも初の舞台ということでゲネプロでは若干の緊張が見える部分もあったが、それを上回る情熱と初々しさが物語とリンクし、身近で生き生きとした魅力的なキャラクターを生み出していた。
一方、明るく猪突猛進なガルルを演じる高井千帆は、天真爛漫な笑顔と軽やかな動きが愛らしい。周りまで明るくしてしまうようなエネルギーにも惹きつけられる。
強豪校から転校してきた中西さん役の浜浦彩乃は、クールな中に演劇に対するひたむきな熱意をしっかりと描き出す。丁寧な芝居で、彼女の実力に説得力を与えていた。
前部長の孝史先輩(宮地樹)、後輩のわび助(宮本龍之介)や明美ちゃん(飛香まい)、成田さん(高野渚)、高田さん(竹内麗)といったキャラクターたちも、それぞれが個性豊かで魅力的。本当の部活のような和気あいあいとした空気や部員たちの成長、大会に対する高揚感や緊張感がひしひしと伝わってくる。
また、作中では高校演劇部の練習の様子、全国大会出場を目指す彼女たちの苦悩やつまづきといった泥臭い部分も描かれる。仲間と力を合わせて様々なことを乗り越えていく姿を物語の中のことだとわかっていても心から応援し、見守ってしまう。
演劇部顧問・溝口先生を演じるなだぎ武のコメディリリーフっぷりもさすがだ。学生たちを支えつつ、ところどころでフッと和ませてくれる。そして、演劇部に起きる“奇跡”の一つが、片山萌美の演じる吉岡先生。凛とした都会的な雰囲気が際立ち、生徒たちが憧れや信頼を向けるのも納得の存在感を放っている。また、酒井敏也の演じる滝田先生は、出番こそ多くないものの非常に印象深く、一つひとつの台詞が胸に響く。3人それぞれ、「こういう先生、いたいた」と思わせるリアリティと、「こんな先生に出会ってみたかった」と思わせる魅力のバランスが素晴らしい。
そして、さおりの父(千賀功嗣)と母(田野聖子)をはじめとする保護者たちの温かい視線、親子の対話の中にもグッとくるシーンやセリフが散りばめられている。
学生時代の思い出や家族、友人といった人たちとの時間の大切さ、夢を追いかける姿の美しさを改めて感じ、あたたかい気持ちが胸に残る本作。かつて高校生だった大人たちも、青春の真っ只中にいる学生も共感し、大切なメッセージを受け取ることができるはずだ。

キャストコメントが届いたので以下に紹介する。
■森本茉莉(日向坂46)
こうして皆様に舞台「幕が上がる」をお届けできることすごく嬉しく思います!
楽しみに待っていてくださった皆様、沢山支えてくださったキャストやスタッフの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
お芝居に触れるのは初めてで役を生きる難しさやどういった感情を乗せればいいのかなど様々な壁にぶつかりましたが、
これまで積み重ねてきたことを信じて頑張ります!演劇の楽しさや高校生の勢いをお届けしたいと思います!
■山口陽世(日向坂46)
初めての舞台で初めてのことばかりだったのですがキャストの皆様にたくさん支えて頂きながら稽古をしてきました!
稽古してきたことを意識しつつその時の新鮮な感情の動きや会話をしたいなと思います!
観てくださる皆さんにこの素敵な作品を最高の形でお届けします!
ユッコ頑張ります!
■浜浦彩乃
中西さん役を務めます。浜浦彩乃です。
豪華なキャストの皆様と共に、この作品に関わらせていただけてとても光栄です。
稽古を重ね、原作に近いものが形になっていく日々にワクワクしていました。
皆様にもこのワクワクを感じていただける作品になったと思います。
全員で全公演走り切れるように精一杯頑張ります。
最後まで応援よろしくお願いします。
■高井千帆
いよいよ舞台本番を迎えるという事で、自身では無くガルルとして舞台に立つ、という初めての緊張感でどきどきしています。
家族や友達、先生、周りの人と何気なく過ごしている時間が、愛おしく感じたり、蘇ったりしてくる素敵な作品だとお稽古をしていて改めて実感しました。
この夏の暑さに負けないくらいの熱い青春を、たくさんの方にお届け出来たら嬉しいです。
私たちの幕が上がる瞬間を、ぜひ劇場まで観に来てください!
■片山萌美
「幕が上がる」は、高校時代に夢がなかった私にとって、眩しいほどにキラキラと輝いています。
今回が初舞台というキャストも多く、とても大変だったと思いますが、まるでリアルでも「幕が上がる」の役のように一生懸命食らいつき、とても素晴らしい作品に仕上がっています。
座組みんなのパワーや情熱が、観劇してくださる皆さまにも伝わりますように、そして観て良かったと言ってくださるよう、私も精進いたします!
■なだぎ武
どの世代にも刺さる何かがこの舞台には詰まってます。私も幾つかの台詞にドキッとされられました。
演劇というフィルターを通した、どのカテゴリーにも当てはまる青春群像劇。単純な高校生の青春物語だけでは決してないので、何かを感じに観に来て欲しい作品です。
■酒井敏也
工業高校出身の僕は演劇部に所属していました。
入部の動機は不純です。
女子が居る!
毎日ゲーム等をしてハッピーでご機嫌な部活動をして居ましたが、高3の夏、プロの役者になった先輩が現れ…まるでリアル幕が上がる!そして僕の人生は変わりました。
お芝居の稽古が始まって当時の喜び・苦しみ・充実感・達成感が鮮明に甦ってきました。
この作品はリアルに高校演劇部員の活動、思春期のモヤモヤイライラが追体験出来ます。
舞台初出演、まりぃと ぱるは正々堂々と楽しんで演じて居ます!
今日は一緒に演劇部員になって楽しんでください。

取材・文・撮影:吉田沙奈

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