円神、優しくて力強い“連れていくよ
”というマインドを示した約1年ぶり
ツアーのファイナル東京公演オフィシ
ャルレポートが到着

円神が6月15日にEX THEATER ROPPONGIで開催した『円神 Live Tour 2023 “GATE” 3rd CIRCLE』のオフィシャルレポートが到着した。

「歌✕ダンス✕芝居」を軸に活動する9人組ハイブリッドパフォーマンスユニット円神(エンジン)が、約1年ぶりとなるライブツアー『円神 Live Tour 2023 “GATE”』の千秋楽『円神 Live Tour 2023 “GATE” 3rd CIRCLE』を6月15日にEX THEATER ROPPONGIにて開催した。全国を回るツアーは、彼ら史上2回目。キャリア最大規模のステージに立つ9人を直接目に焼き付けるべく、会場には多くのMU3E(ミューズ:円神のファン呼称)が全国から駆けつけ、結成3周年を一緒に祝福した。
円神第2章の幕開けを飾る「MERRY GO ROUND」から、ライブはスタート。彼らのマインドが“僕らについてきてください”から“僕らが連れていくよ”に変わったことを象徴するナンバーは、力強くも優しくオーディエンスを唯一無二のエンターテイメントの世界へ導いていく。徐々に空気を温めていくのかと思えば、雰囲気をガラッと変えてパーティーチューンの「Overheeeeeeeeat」を投下。中林登生・宮里ソル・山田恭のアクロバットもバッチリ決まり、会場からは歓声が沸きあがる。勢いやまぬまま「ワンタイムショータイムパーティー☆」に突入し、ド頭から妥協なしの全力ステージを繰り広げていった。
円神
最初のMCでは、みんなでわちゃわちゃと自己紹介。A.rikが発案した声出し用のコール&レスポンスにトライすると、会場の一体感はより一層増していった。メンバーがステージから去り「OBENTO ~お弁当の歌~」のイントロが流れ、熊澤歩哉と草地稜之が観客席後方から登場。オリジナルのトークパートや草地が熊澤をお姫様抱っこする演出に、会場からは恍惚の声が漏れまくる。続く「We are ENJIN」では残りのメンバーも客席から姿を現し、声にならない喜びが会場に満ちていった。パンデミックの影響により近づくことができなければ、声をだすこともままならなかった3年間。至近距離でコミュニケーションを取りながら作りあげていくライブを、円神自身もファンも噛みしめていたことだろう。「Dressing is a way of life」では“You&Me 夢えよう”と高らかに歌が響き、できなかったことを少しずつ可能にしていく未来を予期させた。
「Highway In Blue」から始まったしっとりパートでは、それぞれがハンドマイクを持ち、声にしっかりと想いを乗せていく。夕焼けのようなオレンジの照明をバックに「Far away」を丁寧に紡ぎあげると、宮里と中本大賀のアカペラパートを皮切りに「YOU」へ。クルクルと回るミラーボールは舞台に星空を作りだし、会場はロマンチックな夜のムード。暗転のなかでピンスポットを一身に受けながら繋がれていく歌には熱が宿り、言葉の意味以上の感情が乗っていく。いうならばそれは、上手いとは別の次元で間違いなく存在している“伝わる歌”。歌唱終わりには、想いが届いたことを示すように、自然り拍手が巻き起こった。しかし、感動の波はここで終わらない。デビューステージ『nonagon~始まりの音〜』でキーソングとなる「To The Light」の導入が流れると、すでに会場には歓声が。瀧澤翼と宮里は当時の感情をそのまま注ぎこんだようなエモーショナルなパフォーマンスを披露し、見る者の涙を誘ったのだった。
折り返し地点には、3周年記念デートをテーマとしたVTRが映し出される。それぞれのデートシーンが終わるとシームレスに「Anniversary」へ誘われ、スクリーンの中と同じY2Kファッションに身を包んだメンバーが出現した。色っぽくダークな雰囲気の「Wanna Love Me」、中谷日向・中林・中本のリアル関西弁が活かされる「Messing Around」、山田のフリースタイルラップで惹きつける「Gunshot!!」と、続けざまにヒップホップチューンを披露。瀧澤を筆頭に展開されたダンスパートでは、再びアクロバットも魅せつけ、ダンスパフォーマンスでも魅せられる円神を印象付けた。
Addicted」では振りの緩急により色気を香らせ、「Perfect Step」では一気にギアを踏みこんでラストスパート。「TREASURE」に突入したメンバーは、タオルを取り出して軽快にクルクルと振り回す。会場で煌めくサイリウムもタオルに呼応しながらキラキラと光りの輪を描き、虹のようにフロアを彩っていた。曲の最後にはメンバーがパフォーマンス中に使っていたタオルを客席に向かって投げるサプライズも。A.rikのタオルがステージ後方に飛んでしまうハプニングもあったが、そんな光景も微笑ましく、オーディエンスに笑顔を運ぶ。ラストには1stアルバム『O』の表題曲である「Perfect Circle」を披露。胸を叩く振りは勇ましく、ユニゾンで重なる声は凛々しく響く。円神の楽曲タイトルや彼らに纏わるワードが散りばめられたナンバーで結び、本編を締めくくったのだった。
アンコールでは、ツアーTシャツに着替えて再登場。「Home」を歌い踊る姿は穏やかでたくましく、“連れていくよ”という志を感じさせる。メンバーが手を左右に振るのとリンクして会場も揺れ動き、最終的には中本の先導によってシンガロンが巻き起こった。
MCで瀧澤は感極まりながら、心中にしまいこんでいた想いをポロポロとこぼした。「この9人が3年間やってきたのも、すべてが楽しい思い出だったわけではなくて。辛かったり悔しかったり苦しかったり悩んだり喧嘩したり、全然ありました。むしろ、そっちのほうが多かったです。でも、こんなすてきな景色が見られるなら気持ちのどこかで「諦めちゃダメだ」って思えるんです」と。その言葉は震えながらも真っすぐで、ブレない情熱を感じさせる。そして「僕らの決意を歌った曲です」と宣言し、「We Go」を連れてきた。個々のスペースを広めにとったポジショニングは、ひとりひとりが唯一無二の個人として自分の足で立っている様を描いているよう。途中で胸がいっぱいになり中本が歌えなくなってしまった場面では、隣にいた山田がそっと寄り添っていた。最後には、観客席を隅々まで回りながら「ENJIN」をパフォーマンス。目の前のMU3Eにきちんと目を合わせ、愛と感謝を身振り手振りで精一杯に伝えていく。持てるすべてを注ぎこみ、嘘のない想いを届けたのだった。Wアンコールでは9月13日にリリースされる「Dreamland」を初披露。大団円のなか、『円神 Live Tour 2023 “GATE” 3rd CIRCLE』の幕を下ろした。
結成4年目に突入し、本格的に第2章へ足を踏み入れた円神。彼らのスタンスは「ついてきてください」でもなければ「ついてこい」でもない。優しくて力強い「連れていくよ」なのだと証明したライブだったように思う。少しだけ前を歩き、そっと手を引っ張りながら、煌めく未来へ向かって9人は進んでいくのだ。メリーゴーランドにより誘われたゲートの先には、いったいどんなドリームランドが広がっているのか。今後の彼らがっていく希望のストーリーが、今から楽しみでならない。

取材・文=坂井彩花 撮影=宮脇進

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