Sota(GANMI)、「ダンスを文化に」
夢を語るーー元タカラジェンヌによる
連載『早花まこの、「2STEP、できま
すか?」』

三回目を迎えた早花まこによる連載『早花まこの、「2STEP、できますか?」』。宝塚歌劇OGでライターとして活躍する早花が、GANMI✕宝塚歌劇 OG DANCE LIVE 『2STEP』に向けて出演者の様子をお届けしていく。宇月颯、湖月わたるに続き、GANMIのリーダー兼ディレクターであるSotaに話を訊いた。BTS「Butter」の振付に参加したり、SixTONES「Good Luck!」では振付だけでなく出演もしたりと、国内外問わず活躍の幅を広げるSota。そんな彼の夢とは。
●「違う」からこそ面白い!
昨年9月には、本格的なお稽古に先駆け、GANMIが主体のダンスワークショップが行われた。「はじめは少し緊張した」という、宝塚歌劇OGの宇月颯さんは、「GANMIの皆さんは私たちのダンスを否定せず、明るく受け入れてくださった。その姿勢にすごく感謝しているし、楽しかった」と語っていた。そうお伝えすると、Sotaさんは「良かったー!」と屈託のない笑顔を浮かべた。
ワークショップで間近に見た宝塚歌劇OGのダンスを、「初めて見る筋肉の使い方、動き方だった」とSotaさんは振り返る。
宝塚歌劇の舞台では、身体のラインや角度、ポーズの格好良さを意識して踊る。
「俺たちはポーズとポーズの間の動き方、動きのタイミングとかアクセントを大切にしてきたから。元男役の方達のダンスはすごく新鮮で、面白いと思ったんですよ」
さらに大きく異なるのは、群舞だ。宝塚歌劇の舞台では、約70人という大勢がまとまって踊ることになる。それでも一糸乱れぬ動きやポーズの形を揃えていく宝塚歌劇の群舞に対し、「GANMIは、形を揃えようとか考えたことない。音楽の捉え方、テーマ、俺らの振付のニュアンスを共有するだけ」。
この違いが同じステージに上がると、一体どんなダンスが生まれるのだろう。想像するだけで胸が高鳴る。
未知の作品を作ることに、不安はないのだろうか。そう考えた私に、Sotaさんの言葉がまっすぐ飛び込んできた。
「ステージの上で、何が起こるか分からない。そんな、ライブでしか味わえない感覚を楽しんでいただきたいです」
出演者それぞれが自らの新たなダンスを見つけるだろうと、Sotaさんは確信している。
「この公演では、出演メンバーの一人一人に、役割があるんです。ナンバーごとにみんなが自分の役割を楽しむ、そうして全員の持ち味が活きる舞台になる。それが大事だって思います」
これまでGANMIを応援してきた方々、宝塚歌劇を応援してきた方々、ダンス公演をよく観る方や初めて観る方……観客は、様々な角度から舞台を観る。だからSotaさんが目指すのは、「全方位からの視線をカバーする、色々な魅力が詰まった舞台」だ。
劇場に足を運んだ方が、何度でも観たくなる。そんな作品を目指して出演者全員で進んでいこうと、Sotaさんは意欲を燃やしている。
●誰も見たことのないダンスを
Sotaさんは、進み続けるアーティストだと思う。その力強さ、時代の流れをとらえて形にする感性、人の心を動かすダンス。「若さ」だけでは説明のつかない熱量が、彼の内側から湧き出ている。
Sotaさんの夢は、「GANMIをひとつの文化として世界に根付かせること」。
「上手く踊る」、「脚光を浴びる」という目標を遥かに超えた場所にあるその夢は、いつから彼を駆り立てているのだろうか。その質問に、Sotaさんは「高校生でダンスを始めた、その時からです」と答え、しっかりとこちらを見据えた。
ダンスの実力を高く評価されたことで、周囲から一目置かれるようになったと感じたSotaさんは、「踊りを追求する人生を歩もう」と決意した。そして、これからも踊り続けるからには、そのダンスを文化にしたい、と。
「だって、高校生でこれだけダンスをやってて、職業にしないのはコスパ悪いなって思って」
その思いは薄まることなく、今日までSotaさんを先へ先へと歩ませている。
「ステージに立つ時は、「今の自分」。作品の制作や振付をする時は、「5年後……10年後の自分」として、仕事をしてる。最近、そんなふうに感じますね」
自らの才能を「ダンスというより、頭の回転の速さ」と語るSotaさんは、どんな時も妥協をすることなくダンスに挑み続ける。
「お前は生き急いでるって、よく言われます。ただ、せっかちなだけなんですけどね」
地平線に向かって大地を疾走するライオンは、しかしどこか悠然としている。険しい道でも楽しげなその足取りを追って、彼が辿り着く景色を、私も見てみたい。ここから始まる『2STEP』は、その多彩なシーンの数々を少しずつ浮かび上がらせている。
取材・文=早花まこ
Sota(GANMI)
2015年結成された11人組ダンスアーティスト「GANMI」のリーダー兼ディレクター。
GANMIは2016年にアメリカ・ロサンゼルスで開催されたダンスの世界大会「VIBE DANCE COMPETITION XXI」で日本チーム初の優勝を皮切りに、ライブ活動、アーティストの振付・ライブ演出、TVやCM出演、バックダンスと多岐にわたって活動中。国内外問わず数々のアーティストの振付を手掛けており、2021年BTS「Butter」の振付制作に参加し、最注目ダンスアーティストとなる。
【主な振付作品】
BTS「Butter」(振付参加)、AKB48「久しぶりのリップグロス」(振付)、SixTONES「Good Luck!」(振付・出演)、Nissy「Trippin」(振付・出演)、Tomorrow X Together「No Rules」(振付参加)、NCT U「Work It」(振付参加)など

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