自然体で大人の恋模様を届けたい 薮
宏太、綺咲愛里らが13年ぶりの再演に
挑む、チャーミングなミュージカル『
She Loves Me』制作会見レポート

1963年にブロードウェイでの初演が大絶賛を浴び、日本では1995年に初演を行なって以来、1997、1998年に繰り返し上演された人気ミュージカル『She Loves Me』。
名作ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』のジェリー・ボックとシェルドン・ハーニックのコンビが作曲・作詞を手がけた本作は、クリスマスの香水店を舞台に繰り広げられる優しいストーリーと温かな音楽が観る者の心を癒す、キュートでロマンティックなミュージカルとして長年愛されてきた。
約13年ぶりの再演となる今回は、シアタークリエでの2009年公演で主人公を務めた薮宏太(Hey! Say! JUMP)が続投する。会見には、薮宏太、綺咲愛里、宮澤佐江、竹内將人、岡田亮輔、坂元健児がそれぞれの役柄の扮装で登壇。
さらに、薮演じるジョージが香水店で働いているという作品の設定にちなんで、フレグランスデザイナーが会見に参加し、薮をイメージしたオリジナル香水の制作も行った。デザイナーは「薮さんの爽やかなイメージに、作品の舞台であるブダペストのオリエンタルなイメージを合わせ、13年ぶりの再演ということで落ち着いた雰囲気、一途なイメージも出したいです」というコメントの元、制作を開始。完成後の食リポならぬ香リポを頼まれた薮は「そのイメージを壊さないように頑張ります! 香リポは生まれて初めて」と緊張しつつワクワクした表情を浮かべ、キャスト陣も「楽しみ!」と笑顔を浮かべた。
――意気込みとそれぞれが演じる役柄のチャームポイント、作品の魅力を教えていただけますか。
薮:13年ぶりにまたジョージになれることが本当に感無量でワクワクしています。
ジョージはとても生真面目だけど芯があってチャーミングな部分もある。また、ミュージカルですがセリフの掛け合いがすごく多いんです。同僚のシーポスやアマリアとの掛け合いは言葉遊びがたくさん。ジョージが勘違いしたりちょっとあたふたしたりする中にも男のスマートさがあるので、そこをうまく表現できたらと思います。作品自体の魅力は、1930年代のブダペストの、懐かしさもあるけどどこか今風なおしゃれさ。そして1曲1曲が持つ強さをしっかり伝えたいです。
綺咲:何度も再演されてきた歴史ある作品に携われることが楽しみです。
私が演じるアマリアはとてもまっすぐな女の子だと感じました。お手紙を通して恋に恋する女性の気持ちを丁寧に演じられたらと思います。また、作品全体が本当にキュートでチャーミング。このメンバーでこの世界観に飛び込むのが楽しみです。
綺咲愛里
宮澤:台本を読んで、すごくあたたかい作品だと感じました。コロナ禍は少し落ち着いてきましたが、この数年、楽しいことを忘れかけていた心にすごく響くんじゃないかと思います。
私が演じるイローナは、ヒロインの隣によくいる明るい女性かなと。岡田さん演じるコダリーに振り回される役どころなので、この二人の恋模様もジョージとアマリアの恋模様の次に楽しみにしていただけたら。手書きの文字の温かみなど、ほっこりしたものが作品に詰め込まれているので、観た方にあたたかい気持ちでお帰りになっていただけたらいいなと思います。
宮澤佐江
竹内:ブロードウェイでの初演以降、世界中で愛されてきた作品に参加できるのがとても楽しみです。 僕が演じるアルパッドは、オリジナル台本に「14歳から17歳の少年」と書いていて、実年齢よりだいぶ若いので、若作りを頑張りたいと思います(笑)。
ブロードウェイ版のCDを聴いた時に、音楽が全部可愛かったんです。特に序曲は古き良き東欧の雰囲気に誘われる感覚がありました。実は僕はブダペストが大好きで2回ほど行ったことがあるんですが、早くお稽古をして、大好きなブダペストに帰りたいなと思いました。
竹内將人
岡田:素晴らしい作品と音楽、そしてSNSの時代になっている中で、手書きの手紙を通して言葉の大切さを伝えられることが本当に嬉しく、光栄に思っています。稽古場でみんなと仲良くなって頑張っていきたいです。
僕が演じるコダリーは、先ほど宮澤さんがおっしゃったようにイローナを振り回してしまう。ちょっと女癖が悪いというか、遊び人というか、一途なジョージとはまた違う役どころです。チャーミングな作品だからこそ、みんなでよりチャーミングに作っていきたいと思っています。すごくパワーがある作品ですから、お客様にも僕らのハッピーなオーラを感じていただけたら。そして曲も脚本もそうですが、言葉というものがすごく大切に描かれている作品だと思います。文字を書いているときに受け取る相手の気持ちも考えている。そんな台本を通して、お客様に文字の大切さを発信していけたら。……っていう部分に僕(コダリー)はあんまり関係ないですが、みんなで大事に作っていきたいですね。

岡田亮輔

坂元:個人的に、最近人を妬んだり恨んだりする役が多かったので、ジョージの良き理解者という役柄が嬉しいです。精一杯頑張りたいと思います。
まだ台本を読んだ段階ですが、この作品はアメリカンコメディな部分がたくさんあると感じました。日本人がやる時に真似をするとリアリティがなくなりがち。でも、日本ならではの生活感やリアリティが滲み出る作品になったらいいと思います。そして、僕が演じるシーポスがその部分をすごく担っていると感じました。日本でやるなら誰がいいかなと考えた時に、これは僕しかいないと。ハードルを上げてしまいましたが、稽古から突っ走っていきたいです。

坂元健児

――薮さんは、13年前の公演にまつわる思い出などありますか?
薮:当時は演出が錦織一清さんで、キャストとしてA.B.C-Zの戸塚祥太くん、河合郁人くん、五関晃一くん、塚田僚一くん、それから植草克秀さんがいました。近くの稽古場で東山さんが別の仕事をされていて、最終稽古の時に遊びにきてくださったので少年隊が揃うっていう。嬉しかったけど緊張しました。あと、千秋楽の1月31日が僕の20歳の誕生日で、カーテンコールで皆さんにお祝いしていただいたのが印象に残っています。10代最後の青春を味わわせていただきました。
――作中のキーワードである「手紙」や「香水」にまつわるエピソードを教えてください。
坂元:小学生の時、登校したら机に当時好きだった子の名前が書かれた手紙が入っていました。嬉しかったけど、なんだかいけないことをしている気になって教室の後ろのゴミ箱に捨ててしまって。でも授業中ずっと何が書いてあるか気になっていて、休み時間の度に探したものの結局見つからず。すごく残念で、読みたかったなあという思い出があります。
岡田:僕はお気に入りの香水があって、ボディソープなども全部シリーズで合わせているからか、稽古場などで後から来た人に「いるのが分かった」と言われます。
薮:ジャニーズの中でよく話すんですけど、KAT-TUNの亀梨和也くんの香水がめちゃくちゃいい匂い。Jr.の頃に出演した『DREAM BOYS』で亀梨くんが移動するたびにいい匂いがして、楽屋のエレベーターでも亀梨くんが上に行った、下に行ったって分かりました。それを思い出しましたね。
宮澤:そのいい匂いは今も健在ですか?
薮:そうですね。今でもお会いすると若い頃の思い出がよみがえります。香りって思い出に残るって言いますもんね。
宮澤:私はお手紙の話で、初めてのファンレターはすごく思い出に残っています。最近はありがたいことにたくさんのお手紙をいただくようになりましたが、最初の頃は数少ないファンの方が毎日のようにお手紙を届けてくださっていたので、お一人ずつ専用のファイルに入れていました。今でもとってあります。
綺咲:私もお手紙の話を。小学校1年生の時にすごく仲良くなった子が2年生で転校することになり、今生の別れのように泣いて文通を始めたんです。学校が違うのでなんでも書いて頻繁にやり取りしていたんですが、少し大きくなって住所を調べたら隣の市でした(笑)。近い距離だったけど、当時は土地勘もない中でお手紙だけを頼りにやり取りしていたのが思い出深いですね。
竹内:昔から両親や姉の誕生日に手紙を書くように言われていて、小学生から大学生くらいまで毎年書いていました。今でも父は月1回手紙をくれていて、受け取る時はさらっと読むんですが、後でふとした時に読み返すとすごく響くんですよね。何年か経って読み返すと、同じ手紙でも全然違う感情を与えてくれるので、いいなと感じます。
――薮さんがこの13年で得た強み、それを再演でどう活かしたいかを教えてください。
薮:前回の『She Loves Me』が僕にとって初のジャニーズ事務所主催ではない舞台で、初のミュージカルでした。さらに、Hey! Say! JUMPのコンサートツアーも同時にやっていたんです。昼に公演をやって、夜はコンサート、次の日に2公演みたいなスケジュールで喉を枯らしてしまって、すごく悔しかった。
この13年間、「当時は未熟だったな、またやりたいな」とずっと思っていました。何作かミュージカルをやらせていただいて少しずつ自信がつき始めたタイミングでこのお話をいただいたので、大袈裟かもしれないけど1つの集大成を見せたいと思いました。13年前に観てくれた方にも、僕の成長を見てほしいですね。
ここでオリジナル香水が完成。実際に藪を見て、元々の構想を少し変えたという。「薮さんの落ち着いた雰囲気に寄せて大人っぽさを追加しました。13年間という重みや男性のセクシーさを乗せつつ、すっきりした残り香の香水に仕上げられたと思います」というフレグランスデザイナーの言葉に、受け取った綺咲は「華やかな香り!」と笑顔を浮かべる。綺咲が役柄に合わせて坂元に「これ本当にいいんです! ぜひお試しください」と渡すと、坂元もプッシュし、「ウッディでいい香りですね」とうっとり。

オリジナル香水の香りを嗅ぐ坂元と綺咲、竹内
坂元に香水をつけてもらった薮は「最高!」と言いながらひとしきり香りを楽しんだ後で「普段は香水をつけないんですが、こんなに世界が変わるんですね」と驚いた表情に。「広い大草原に一人ポツンと立って深呼吸していて、でもちゃんと地に足がついているような気持ちになります。おっしゃっていた通りオリエンタルな要素もあって、華やかだけど落ち着きますね」と香リポを行った。
今回の公演中、このオリジナル香水をつけるか尋ねられると、薮は「普段はしないけど、これをつけて踊ったらお客さんにも伝わりそうでいいですね。せっかくなので皆さんにも嗅いでもらえたら嬉しいです」と笑顔を浮かべる。

藪による渾身の香レポを見守るキャスト陣

また、引き続き手紙や香りにまつわるエピソードがあるか聞かれると、綺咲は「可愛い見た目に惹かれて香水を買うものの、数回だけ使ってオブジェになってしまう」とあるあるエピソードを披露。宮澤の「包装紙の匂いが好きで、とあるお弁当の包み紙は必ず嗅ぎます。それをおかずにできるくらい大好き!」という話には、キャスト一同興味津々でどのお弁当か知りたがる。宮澤が「言っていいのかな? 金兵衛!」と明かすと一同「あ~!」と納得し、薮が「代々木上原にお店があるよね」と話を広げ、予想外の盛り上がりを見せた。
30代になって再度同じ役を演じることを聞かれた薮は、「13年ぶりに同じ作品で主演を演じることができ、この仕事を続けてきて良かったと思います。19歳の時は少し背伸びしていて、大人ってなんだろうと思いながらジョージを演じていた部分もあります。この13年で色々経験したので、意識しなくても滲み出る大人な部分を見せられたら」と意欲を見せる。大人になったと感じる部分については「当時はHey! Say! JUMPのメンバーが思春期で、結構叱ったり注意したりしていました。最近はそういうことが全くなく、逆に僕がいじられたりする。みんなも大人になったし、僕もそういう立場じゃなくなったんだなと思います」と感慨深く語り、「お客様にも一緒にドキドキを体感してもらえたらと思います。頑張りますのでぜひ観にきてください」と締め括った。
本作は5月2日(火)よりシアタークリエで上演された後、6月には大阪と愛知でも公演が行われる。

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