自転車イメージ

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「自転車が危ない」とかいう自動車ド
ライバーの傲慢

自転車はどこを走っていても嫌われる「自転車が危ない」という声をよく耳にします。歩道を歩いていたら自転車が至近距離をビュンビュン通り過ぎていくのが怖いというものです。確かに自転車が通り過ぎる瞬間、歩行者が気づかずにちょっと左右に動いたら衝突しかねません。お年寄りなどそれが致命的な事故になってしまうことも考えられます。
 ただ「自転車が危ない」と主張するのは歩行者だけではありません。クルマのドライバー側も「自転車が危ない」と口にします。自転車が車道を走っていて、時に轢いてしまいそうになるから危ないとのこと。歩道に自転車用レーンが設けられない限り、自転車は車道を走らないとならず、歩道を走ったら本来アウトだし、かといって車道を走っていてもいい顔をされないわけです。
 自転車だけではなく、最近は電動キックボードやペダル付き電動自転車など様々な電動モビリティが生まれており、どれもが歩道を歩く歩行者にとって脅威になっています。歩行者が自転車をはじめとしたそれらの傍若無人な運転に関して、心配するのは至極もっともです。

自転車よりもクルマのほうが明らかに危ない では、クルマのドライバーが「自転車が危ない」と主張するのはどうしてなんでしょう。確かに、自転車はちょっと道交法的に違法な運転をしたからといって捕まることはほぼないので、信号無視(特にUber Eats)とか雑な運転の自転車はチラホラ目につきます。スマホを見ながら運転する自転車もいるし、逆走している自転車もいます。クルマのドライバーが「危ない」と言うのも分からないではありません。誰が考えてもスマホを見ながらの運転や信号無視などは言語道断でしょう。
 しかし、クルマ側が自転車を轢いてしまいそうになる怖さよりも、自転車側の轢かれてしまう恐怖のほうが命がかかっているだけに、遥かに上です。昨今煽り運転が問題になるように、ヤバいクルマのドライバーだっていくらでもいます。
 大通りから脇道に無理やり曲がってきて、直進してくる自転車とぶつかりそうになる自分勝手なクルマなんていくらでもいます。また脇道から大通りに無理やり進入しようとして自動車にぶつかりそうになるクルマもいくらでもいます。幅寄せして信号待ちで自転車に抜かれまいとするクルマ、横断歩道があっても止まらないクルマなどもいます。路駐も自転車側からしたら結構な恐怖です。
 それから怖いのはやっぱり老人の運転です。頻繁にニュースになるように、認知機能が衰えた老人が運転するクルマがいつ暴走して、自転車にぶつかってこないとも限りません。自転車は車道を走る時、そんな危険を常に感じながら走らないといけないわけです。

都会でクルマに乗る必要はあるのか ひとつ疑問なのは、クルマがないと移動手段がない田舎ならともかく、公共交通機関が張り巡らされている都会において、流通とか仕事で必須な場合を除いて、そんなにクルマでの移動が必要ですか? 池袋で事故を起こして母子の命を奪った「上級国民」はフランス料理を食べに行くところでした。バス、電車、タクシー……フランス料理を食べに行く手段は都会なら色々あります。公共交通機関に乗るのがめんどいからクルマ、歩くのがめんどいからクルマ。その程度でクルマに乗るほうが問題ではないでしょうか。
 池袋の上級国民に限らず、都会でクルマに乗っているのは、基本的にカネに余裕があるプチ富裕層以上ばかりです。一方、自転車に乗っているのはUber Eatsの配達員をはじめ、クルマのドライバーと比べればカネのない人々です。カネがある人たちがカネのない人に対して、「危ない」「邪魔」「迷惑」と悪びれもせず言ってのけるのって随分と醜悪に感じられます。貧乏人は我々金持ちの邪魔をするな、と言っているのも同然です。ただでさえ、車道は道路の大半のスペースを占めているというのに、一体何様だというのでしょうか。
 しかもクルマは自転車と違って排気ガスを垂れ流しています。環境にも悪影響なのに、我が物顔で自転車を邪魔扱いとは、厚顔無恥にもほどがあります。

歩行者も自転車もクルマも安心できる方法 大体欧米諸国では明確な自転車レーンや自転車道が整備され、中心街にクルマが入れない都市も多いといいます。日本ではそのような整備がなされている道路は滅多になく、自転車が車道において走ることを許されているスペースはごくごくわずかです。そんな環境の中で、ビュンビュン飛ばすクルマの恐怖に怯えながら車道の隅っこを、ビクビクしながら走らないといけないのは、とても酷ではないでしょうか。
 歩道を走ってはいけないのに、自転車がそれでも歩道を走らざるを得ないのは、車道を走っていたら自身が危険だからです。歩道を走っている自転車がいる責任は根本はクルマの危ない運転にあるし、歩道で自転車が歩行者を轢く事故が起きてしまうのも、根本はクルマの我が物顔の運転にあります。
 そこで提案ですが、片側二車線以上ある道路においては、歩道寄りの車線は自転車や電動モビリティ専用レーンにするのはどうでしょう。歩行者、自転車(と電動モビリティ)、クルマの三者がそれぞれ明確に別の道を移動することとなり、三者の皆が安心して運転できるようになるわけです。「自転車が危ない」「クルマが危ない」と結論の出ない責任のなすりつけを終わらせるにはそれしかないのではないでしょうか。
 最後にツイッターで見かけた、ドライバーの立場から「自転車が危ない」と書いている人たちの主張を紹介して、ついでにその主張への感想を列記します。


「自転車は免許制にしてほしい」
↓
であれば自転車よりも遥かに危ないクルマの免許は半年に一回実技含めて更新する制度にしたらどうでしょう。

「一番怖いのは夜に黒い服の自転車」
↓
スピード出しすぎでは。

「ドライバー側としては、案外自転車が見えていないケースが多い」
↓
一層気をつけてください。

「バカな自転車がはみ出し」
↓
自転車に用意されているスペースって車道のほんの端っこですからね。

「自転車にある程度の規制をかける道交法、施行して頂きたい」
↓
クルマにももっと規制をかけましょう。

「自転車もトラックに劣らず怖いです」
↓
自転車よりトラックのほうが怖いと思います。

「子供を前後ろに乗せたり、車道でもすり抜けていく人達。危ないです」
↓
自分の運転より、子供を乗せた自転車のほうに責任をなすりつけるメンタル、クルマという本来とても危険な乗り物を運転するのに向いてないのでは。

「無自覚な自転車運転は高速道路の危険運転よりも危険」
↓
「高速道路の危険運転よりも危険」!! マジすか。

「僕なんかは、あおり運転や危険ドライバーより、信号、優先道路関係無しに横切ったりするおばさん自転車の方がよっぽど怖いです」
↓
どーう考えてもあおり運転や危険ドライバーのほうが危険でしょう。そもそもスピード制限守ってますか。

文/田崎寿司郎

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