『吸血鬼すぐ死ぬ2』EDテーマは「歌
って踊れるパーティーチューン!」T
RD(近藤孝行&小野大輔)インタビュ

2023年1月から放送中のTVアニメ『吸血鬼すぐ死ぬ2』のEDテーマは1期に引き続きTRDが担当。70〜80年代洋楽ディスコミュージックをベースにしたファンクで明るい雰囲気の楽曲。そんな近藤孝行、小野大輔の息のあったハーモニーに思わず体が揺れ、サビを口ずさんでしまうTRDの2ndシングル「Cozy Crazy PARTY!」は、前作「Strangers」同様、作詞は畑亜貴、作曲は黒須克彦、そして編曲を西岡和哉が担うパーフェクトチューンとなっている。本作の聞きどころやレコーディングの様子、MV&ジャケット撮影の裏側やカップリング曲の「Hope Step」について、さらに福山潤が担当するOPテーマの感想などをTRDの2人に訊いた。
――「Cozy Crazy PARTY!」を最初に聴いたときの感想を教えていただけますか?
近藤:アガれる、ノれるパーティーチューンなんですけれど、どこか懐かしい感じもして、とっつきやすく、みなさんに楽しんでいただける楽曲になったと思います。
小野:頭を空っぽにして盛り上がれる楽曲です。TRDというユニットは希望に溢れたポジティブな楽曲を歌ってきました。その中でもこの楽曲が一番、理屈抜きでハッピーになれます。「とにかく聴いて、笑って、踊って、1日を楽しんでよ!」というすごく根明な楽曲です。聞き手を選ばない楽曲ですし、アニメのエンディングテーマなので、アニメを観ていっぱい笑って楽しんだ後の余韻というのかな、幸せな時間をこの楽曲が彩れたらいいなと思っています。
――前作「Strangers」では2人が楽しんでいる様子をみんなに見てもらえたらとコメントされていましたが、今回はいかがですか?
近藤:今回こそ、2人で、2人だけで、2人っきりで盛り上がっている楽曲です(笑)。「なんか楽しそうにしてるな、この2人」と、楽曲、MV、ジャケットすべてから感じてもらい「なんだか、楽しそうだぞ」と言いながら2人のところに集まっていただき、みんなで盛り上がれたらいいなと思っています。
小野:アニメの世界観も同じだと思うんですけれど、2人だからできる、2人だから楽しい。多分1人では見えない景色、1人では行けない場所に行けるというのかな。こういうご時世だからこそ、1人ではなく誰かと一緒に楽しむ、そしてその先でまた会えるという”再会”を描いている楽曲なので、2人で歌う意味があるし、すごくポジティブなパワーを感じられると思います。
「Cozy Crazy PARTY! 」MVより
――前作「Strangers」はタイトルがアニメの世界観にピッタリとおっしゃっていました。「Cozy Crazy PARTY!」についてはどのように感じましたか?
近藤:前作同様、「Cozy Crazy PARTY!」も、いや、「Cozy Crazy PARTY!」こそがアニメの世界観を表現しているし、タイトル的にもピッタリだと思っています。アニメを観てくださった方にはまさに、CozyでCrazyなPARTYだよねと言っていただけるぐらいにハマっている気がします。「Strangers」にもまさる非常にフィットしたタイトルになったと思います。
小野:確かに。作品をそのまま表したようなタイトルだよね。ドラルクやロドナルドたちがやっていることこそがCozy Crazy PARTY。でも、CozyとCrazyって実は対極にある言葉なんだよね。
近藤:そうそう!
小野:心地いいけれど、どうかしている(笑)。こういう言葉選びのセンスは、畑さんらしさが出ていると思います。僕らは楽曲をいただいている立場ですけれど、彼女のいちファンでもあるので「畑ワールドここにあり!」という感じで見事なタイトルだなって。
近藤:Cozyがつくことで、Crazyが行きすぎない感じになるというか…。「盛り上がれよ!」みたいな感じではなく「盛り上がろうぜ!」みたいな感じなんですよね。

――優しく誘う感じですよね。MVからもそんな雰囲気を感じました。心地よい雰囲気に誘わられるというか…。
小野:よかった!
近藤:気持ちよく楽しめる感じがするよね。
――みんなを楽しいPARTYに誘う楽曲のレコーディングはどのように進んだのでしょうか?
近藤:歌詞をなぞり、メロディーに合わせて歌えば自ずと目指しているものに仕上がる気がしていたので、うまく歌おうとか、こうしたいという思いを持って臨むというよりは、ある意味、何も持たずに(スタジオに)行きました。ディレクションに関しても何も不安はないので、その場で湧き出てくるインスピレーションを楽しみながら歌いました。
小野:すごく楽しくスムーズにレコーディングが進んだ印象があります。サウンドプロデューサーの西岡さんが、今回すごくノっていて。西岡さんは僕たちの歌い方やトーンのディレクションにすごく心を使ってくださいますし、いろいろなトライをさせてくださり、ジャッジをしてくださる。全幅の信頼を寄せている方。この楽曲に関してはとにかく「西岡さんがOKならOK」という気持ちでいたので、ことのほかスムーズでした。「はい!」「いいねー!」「はーぁいOK!」「いただきます!」の声が出るのがめちゃくちゃ早くて、「西岡さん、ノってるな」ってうれしくなった現場でした。楽しいパーティーにすると決めたら、それをやり切る、演じ切る。そんな思いで臨んだ、本当に楽しい時間でした。
近藤:そうそう、それそれ。僕が言いたかったことを小野くんが全部言ってくれました。手ぶらで行けたというのは、そういう意味です(笑)。
――レコーディングも楽曲同様、楽しい雰囲気に包まれていた感じなのですね。
近藤:その通りです。目指す先がしっかりと見えていたので、迷う必要がありませんでした。このリズムに乗せて、この歌詞をなぞって歌えば成立するというものをお膳立てしていただいたので、僕たちはただ、楽しく歌えばいいだけ、そういう楽曲だったと思っています。
TRD(近藤孝行・小野大輔)2nd Single「Cozy Crazy PARTY! 」アニメ盤 (c)盆ノ木至(秋田書店)/製作委員会2すぐ死ぬ
――MVにも楽しさが溢れていました。撮影はいかがでしたか?
近藤:2人だけで楽しく旅行して盛り上がるという作品が僕の中で、じわじわと楽しくなってきています。前回に引き続き2人きりで海にも行っちゃっいましたし…(笑)。「Strangers」もすごく楽しかったけれど、今回は前回以上にすごく肩の力を抜いて楽しくできた感覚があります。そのあたりが映像に反映されている気がします。ふとした表情とかに出ているんじゃないかな。
小野:2人でパーティーに参加しているのは招待状が来たからなんだけど、よくもまあ、あんな得体のしれないところまで行ったなって。訝しげに(会場に)入って行ってるけれど、結果、襲われるわけですから。一種のホラーですよね。「Take You Higher」(1stミニアルバム「TRAD」収録)から同じ監督に撮影してもらっていますが、こういうのって監督が僕らにやらせたいことなのかなって。
近藤:あははは!
小野:ちょっと変わってるんですよね、監督の感性が。
近藤:確かに独特だよね。
小野:人と違うから面白いものができるんだろうけれど、ディレクションを完全に理解できないまま、納得できないまま撮影することもあります(笑)。でも、僕らは役者なんで、監督のディレクションは絶対です。役者として「やってやるぞ!」という気持ちでやってみたら、あのMVが出来上がりました。
近藤:結構、その場で演出がつくんです。結構というかほぼ全部(笑)。監督はすごくスピーディなタイプで「こういうのがやりたいんですけれど、近藤さん、小野さん、どちらがやりますか?」みたいな感じで訊いてきて。「じゃあ、僕が」というと、「じゃ、それで。じゃ、はい、行きましょう!」ってスピード感がすごいんです。
小野:でも、やってみると「いいね!」となって。
近藤:そこも面白いんだよね。出来上がりをみたら、納得できちゃうというのが。だって、招待状は小野くんにしか来てないのに、なぜか僕が一緒に行ってるって(笑)。
小野:想像して埋めるというのかな。なんか作り方がアニメの現場にゲストで参加する感じと似ています。作品全体は掴みきれてないけれど、訊いても全部は教えてもらえなくて「まあ、やってみるか」という感じで挑む。役者ってそういうこと、すごく多くて。自分が与えられたものから想像を膨らませて、出て来たもので勝負をする。そういう意味で、監督は引き出し上手だと思います。
近藤:今回は特に、芝居の部分が多かった気がします。僕は劇団時代の自分を思い出し、腕が鳴りました。「劇団上がりなんだ、僕はかじっているんだ!」ってね(笑)。声優をやっていると素の芝居を見せる機会があまりないので、そういった意味でも面白い作りになったんじゃないかなと思いますね。
TRD(近藤孝行・小野大輔)2nd Single「Cozy Crazy PARTY! 」初回限定盤
――ジャケット撮影はいかがでしたか? 初回限定盤はパーティー会場で、通常盤はトレーラーハウスの前でとてもクールな印象です。
近藤:トレーラーの中でパーティーして、トレーラーの外でカッコつけている人たち(笑)。とにかくすごく暑い日の撮影でした。「熱中症に注意!」みたいな日に厚着して。バーベキュー会場みたいなところ?
小野:グランピングができる場所ね。
近藤:そうそう。タンクトップやTシャツで夏を満喫している人を見ながらの撮影で。僕は間違えて前日にも同じ場所に行ってるからね。
小野:え? どういうこと?
近藤:時間がなくてタクシー飛ばして現地に着いたら誰もいなくて。スタッフさんに確認したら「明日ですね」って言われた(笑)
小野:タクシー飛ばして、アハハハ。
近藤:まあ、ロケハンだね(笑)。
小野:すごく広くて、駐車場から集合場所まですごく遠いし、周りはみんな夏を満喫して…。
近藤:浮かれてたね。
小野:リア充がいっぱいいたね。
近藤:そうそう、CozyにシンプルにCrazyしてたよね。
小野:家族連れもいっぱいいたけれど、どうしてもカップルで楽しんでいる人に目がいっちゃってね(笑)
近藤:「こっちは仕事だぞ!」ってね。
小野:まあ、むこうから見たら、僕らの方が珍しく見えただろうね(笑)。
近藤:真夏の暑い日に、厚着してカッコつけてってね。
小野:何してるんっだろう、おかしな人たちだなって(笑)。
「Cozy Crazy PARTY! 」MVより
――カップリングの「Hope Step」についても感想を伺いたいです!
近藤:僕は西洋占星術とかそういった類のものが趣味として好きなのですが、今は“風の時代”に入っています。しがみつく時代から手放す時代に入っているので、そういうテイストを楽曲にも入れ込みたいという提案をしました。トラックにも反映していただき、とにかく爽やかで、ポジティブな感じは、歌っていても気持ちいいです。「Cozy Crazy PARTY!」とはまた違った感じの晴れやかさがあるというのかな。「Cozy Crazy PARTY!」が爆発的に盛り上がれる曲だとしたら、「Hope Step」は空が晴れ渡っていくようにみんなの気持ちが晴れやかに盛り上がっていく、そんな楽曲になりました。とても大好きな楽曲です。
小野:近藤くんが言ったように、風をモチーフに描かれた世界です。向かい風に立ち向かうのではなく、追い風に乗って行こう、そして一緒に歩もうという楽曲です。この時代に相応しい楽曲で、聴くのはもちろん、歌っている自分たちも前を向いて未来へと進む、何か勇気をもらえるようだなと感じています。
TRD(近藤孝行・小野大輔)2nd Single「Cozy Crazy PARTY! 」通常盤
――明るかったり、前向きだったり、優しさを感じる楽曲。今は、そういう曲に優しく寄り添ってもらいたいです(笑)。
小野:そうですよね。楽曲を聴いた近藤くんから「エモいよね」ってLINEが来たのですが、僕もそう感じていました。「僕たち、いい曲作ったんだね。いい曲を歌ったんだね」って話したんだよね?
近藤:小野くんの歌い方がすごく僕の琴線に触れて…。
小野:あー、Bメロ?
近藤:そう。僕のラップから小野くんのパートに入っていくところが、季節にも相まって、今もよく聴いているのですが、そのパートがくると何回もリピートしちゃって。
小野:へへ。
近藤:すごくエモーショルだなって。この気持ちは相方に伝えないと思って、LINEで「エモエモのエモー!」って送ったんだよね。エモいだけじゃなかったはず。
小野:そうだった。すごくエモいんだなとは思った(笑)。
近藤:本当にすごくいいなと思ったので、そこも楽しんでいただきたいです!
――OPテーマは1期に続き福山潤さんが担当。楽曲は福山さんの5thシングル「NEW DRAMA PARADISE」です。前回のインタビュー時には「負けないように!」というお話もありましたが、今回はどのようなお気持ちでしょう?
近藤:前回、福山くんに会った時に「今回、僕のMV相当面白いことになってるぜ!」的なことを言われました。僕たちはミュージックビデオ然として撮っているので、「やべえ、こっちは普通に見えるかもしれない」と思っていて…。嘘か本当か分からないけれど「本当にやったの?」みたいなギミックを聞かされました。本当にそうなっているのか楽しみですが、まあ、こちらは2人いるので、今回も「負けません!」
小野:観たい! 観てからメッセージ言おうよ。
(福山さんのMVを鑑賞することに…)
TRD(近藤孝行・小野大輔)2nd Single「Cozy Crazy PARTY! 」きゃにめ限定盤
――いかがでしたか?
近藤:すごく力が入っているというか、マイケル・ジャクソン的な、MJならぬFJが入っていました。声優界のFJ、演者・福山潤のプロ魂を感じました。僕らはロードムービー的な要素のMV、表現者・福山潤、いやFJのMVは喜劇ですね。さすがです。
小野:アーティストデビュー当初から、CDなどももらってFJの活動は折りに触れて見てきました。今回はすべてがグレードアップしています。振り付けもそうだし、芝居をしながらリップシンクするところは、何の不安もないという印象です。僕も経験あるのですが、リップシンクしながら芝居をする、この両立ってすごく難しいんです。どんなふうに作って行ったのかは裏側を聞かなければ分からないけれど、表現者としてスキルがアップしているのを感じました。事もなげにすごく軽やかに力を抜いてやっている印象です。いいところしかないですね。前回「僕たちも負けないぞ」と言ったけれど、撤回します。「仲良くやろう、褒め合って行こう!」これが僕たちからのメッセージです。
近藤:そう、褒め合って行こう。風の時代はそれで行こう(笑)。
――では最後に、TRDファンへのメッセージを!
近藤:今回の楽曲には、メッセージも心も、ありとあらゆるものを込めさせていただきました。僕たちだけではなく、スタッフのみなさんのいろいろな思いもこもった作品です。みなさんの人生において、この楽曲が背中を押したり、元気の源に、何かしらのプラスになったらいいなと思う今日この頃です(笑)。みなさんがこの楽曲を愛してくださったら、僕たちの励みにもなり、ウィンウィンです。楽しく、軽やかに行きましょう!
小野:とにかくポジティブで、未来へ向かう楽曲になりました。歌っている僕らも背中を押されるような、希望に溢れた楽しいCDになったと思います。アニメを観ていっぱい笑った後、幸せな気持ちになってもらえるエンディングテーマです。また来週、同じ時間に同じ場所で会えるという希望ある未来をこの楽曲から感じ取ってもらえたらうれしいです。タイアップ曲として、『吸血鬼すぐ死ぬ』とともに、みなさんに末長く愛してもらえればと思います。
取材・文=タナカシノブ

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