全国5都市のZeppで開催『HIGH FIVE
2023』、マハラージャン×Awesome C
ity Club共演の初日公演オフィシャル
レポート

次世代を担うアーティストがヘッドライナーに立ち、彼らが今一番共演したいアーティストをスペシャルゲストに迎える音楽イベント『HIGH FIVE 2023』が2月4日(土)Zepp Sapporo初日を迎え、そのオフィシャルレポートが到着した。

2023年2月4日(土)、Zepp Sapporoにて『HIGH FIVE 2023』初日公演が開催された。次世代を担うアーティストがヘッドライナーに⽴ち、彼らが今⼀番共演したいアーティストをスペシャルゲストに迎える音楽イベント。昨年からスタートし、今年2年目となる。
札幌公演を飾ったのは、ヘッドライナーにはマハラージャン、スペシャルゲストとしてAwesome City Club(以下オーサム)が出演。グッドミュージックを鳴らす二組の共演とあって、老若男女が集った会場には開演前からピースフルな雰囲気が広がっていた。会場が暗転し、鍵盤の旋律に徐々にビートが重なるとステージに登場したのは先鋒を務めるオーサムのメンバー。atagiとPORINがアカペラによる歌声を届けて飛び込んだのは「青春の胸騒ぎ」だ。PORINがという歌詞をと変化させ、雪国のオーディエンスへの挨拶としては満点の幕開けを披露。その後、初期の代表曲「4月のマーチ」も披露したことも含めて、彼らはここからオーサムのオールタイムベストのようなセットリストを繰り出していった。
もちろん、MCではマハラージャンとのエピソードが飛び出す。「一番マハラージャンじゃなかった」とatagiが話したように、昨年の『SUMMER SONIC 2022』で普段の衣装とは違うステルスモードのマハラージャンから、はじめましての挨拶があったことなどが和やかに語られていた。そんな出逢いを通して辿り着いたツーマンに対して「皆さんも一緒に楽しんでくださればと思います」とPORINがオーディエンスに呼びかけ、ライブは後半戦へと進んでいく。
その後披露されたタームは、圧巻とも言えるラヴソングの連続。中でも、代表曲「勿忘」が生み出したステージにはオーサムの特異性が煌めいていた。美しいメロディと透明感の強い楽曲アレンジの中で、相反するように響き渡るモリシーのギターが産む激情--ラヴ/ポップソングにおいて、ある種カオティックに歪んだギターの旋律は、オーディエンスの感情を掻き毟るように鳴り響いていた。この要素は他の曲にも多く存在し、オーサムの音楽が明確なキャラクターを持って世の中に届く証明のような時間となっていたと言っていい。
しかし、この日のピークタイムはその後に訪れる。PORINがラストスパートに向けてフロアを煽る中、「今夜だけのスペシャルゲストをお呼びしてます」と言って登場したのは、何と出番前のマハラージャン! 「Awesome City Clubになりたい」と話していた張本人と共に披露されたのは、「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」。“今夜だけ”のトリプルヴォーカルで描かれたオーサム屈指のダンスナンバーに、フロアの熱も最高潮。アウトロでマハラージャンの楽曲である「セーラ☆ムン太郎」のサビをマッシュアップして歌ったシーンも印象的で、おーサムをこのイベントに呼んだ張本人の純粋な笑顔と共に、ハイライトの連続となる特別な瞬間となった。
同楽曲の歌詞の通り、飲み干せない感情で膨れ上がった会場はそのままのハイテンションで突き進み、ひとつのピリオドへ。のリフレインがマハラージャンへとストーリーを繋ぎ、鳴り止まない拍手の中、オーサムのステージは終了した。
転換を挟み、遂にマハラージャンのステージの時間が訪れる。アンビエントなSEが流れ、カラフルな衣装とターバンに身を包んだマハラージャンが登場すると会場は大きな拍手で包まれた。
SEがやむと間髪入れず、ゴールドカラーのギターが鳴らすバッキングと共に「僕のスピな人」に突入。先鋒のオーサムのステージの余熱もあってか、イントロから「札幌ーー!!」と叫び、のっけからハイテンションのマハラージャン。次に披露された「その気にさせないで」の前に語った「オーサムも最高だったけど、僕らもガンガンいきますよー!!」という言葉の通り、代名詞とも言える軽快なギターカッティングと共に、彼の音楽世界にオーディエンスを誘っていく。
同楽曲のラストで魅せた咆哮しかり、音源で受ける印象以上に強固なフィジカルをステージで披露していく。「オーサムに負けないように、皆さんも踊り狂って欲しいのでよろしくお願いします!」と言って披露された「適材適所」には、彼の魅力がたっぷり詰まっていた。
ダンサブルかつトリッキーな曲展開だからこそ露わになる、彼独自のリズム感とワードセンス。特に後者に関しては、一聴すれば突飛なように感じるリリックものように、実は身近な目線で共感できる余地が含まれていることや、徹底的なリフレインが生み出す中毒性など、抜け感のバランスが絶妙なのである。マハラージャンが掲げるスパイス✕ダンスミュージックを感じるには、これ以上ないハイライトのひとつだった。
一方、MCは彼のユーモアをたっぷり感じる時間に。「オーサムさんに出てもらって、本当に嬉しいんですよ」と語ったシーンには彼の純朴な人間性が発露していた一方で、サポートメンバーとの絡みがイマイチ噛み合わず「想いが通じないなってところで、次の曲聴いてください。“くらえ!テレパシー”って曲です」と言ってのけたシーンには、彼らしいユーモアが全開。会場は拍手と笑いに包まれていた。
リラックスムードから飛び込んだ最新トラック「くらえ!テレパシー」では高速ビートの中で弾けるポップネスを放ち、2月15日に発売となる同シングルに収録される電気グルーヴのカバー「Shangri-La」で更に会場のボルテージを上げたところで、再びMCに。
「『HIGH FIVE』楽しんでくれてますか?」と彼が会場に呼びかけるとすぐに話題は、先ほど披露した「Shangri-La」のことへ。実は一部歌詞を間違えるシーンがあったのだが、「“今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる”ってさっき言われたんで……オーサムさんありがとうございます!」と彼らしく笑いに変換していた。その後、彼の口から同イベントの意義や、オーサムとの出逢いや感謝などが語られるが、どんどんとMCに手応えがなくなっていったのか、「そうです、MCが下手です!」と自虐。その後、日比谷野外大音楽堂でのワンマン告知を経て生まれた謎の沈黙にフロアから「頑張れー!!」と声がかかると、「あと2曲なんですど、この状況にふさわしい曲を聴いてください。“何の時間”」と結局またしても痛快なフリオチがついて、ライブはフィナーレへ。
「何の時間」から代表曲「セーラ☆ムン太郎」へと雪崩込み、フロアは完全にフリーダム空間へと変貌。「みんなありがとう、オーサムもありがとう!マハラージャンでした」と感謝を告げて、彼のステージは大団円を迎えた。
互いにスタイルは違えど、音楽フリークを唸らせる強固な音楽的バックグラウンドを持ちながらも、極彩色のポップネスをシーンへ届ける2組の共演。両者の音楽的なシナジーとリスペクトが生んだ多幸空間は、真冬の札幌に暖かな風を運んでいた。この後、3月初旬まで続く『HIGH FIVE 2023』で紡がれるストーリーにも期待大。是非足を運んで欲しい。
TEXT BY 黒澤圭介
PHOTO BY 新保勇樹

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