ミュージカル『SMOKE』上演決定 全
役オーディションを実施

日本でも『BLUE RAIN』『ルードヴィヒ』『once upon a time in海雲台』と上演されている、チュ・ジョンファ ホ・スヒョンコンビの傑作『SMOKE』が2024年1月〜3月に上演されることが決定した。
本作は、天才詩人といわれながら、27歳の若さで異国の地・東京で亡くなった韓国人詩人、李箱(イ・サン)の作品「烏瞰図 詩第15号」にインスパイアされ、2016年に誕生した韓国発のミュージカル。情熱的な作品を産み出しているチュ・ジョンファと、煽情的なメロディーが魅力的なホ・スヒョンの代表作だ。
登場人物は、詩を書く男「超(チョ)」、海を描く者「海(ヘ)」、心を覗く者「紅(ホン)」の3人。“超”と“海”が女性“紅”を拉致するところから始まる物語は、話が進むほどに、扇情的なメロディとまるで謎解きをするような展開で、観客を陶酔の世界へ引き込んでいく。サスペンスのように始まった物語は、中盤で衝撃の真実が明かされ、そしてラストでは生命力のきらめきが描かれる――。観客は冒頭とラストで物語のまったく違う顔を見ることになる、衝撃的かつ重厚な作品だ。
日本では2018年に浅草九劇にて初演。客席を四方囲みした演出は、もともと九劇の持つ密室的な劇場空間とも相まって、舞台上と客席がまるで共犯関係になるかのような濃密な世界が展開し、中毒者が続出。口コミで評判が広がり、1か月近いセミロングラン公演は、後半になるに従いリピーターがどんどん増え、大盛況となった。翌2019年は、劇場・キャストを替えた2バージョンで上演。6月には“NEW CAST ver.”として東京芸術劇場シアターウエストで、そして7・8月には2018年キャストを中心とした“ORIGINAL CAST ver.”として再び浅草九劇で上演。2021年には、with コロナ となり、「密」である作品を逆手にとり、新たな表現方法で作品をさらに昇華させた。
2024年1月〜3月の上演では、オリジナルの作家であり演出家であるチュ・ジョンファを日本版の演出に迎える。また、ロングラン公演につき、全役オーディションも実施される。劇場・公演日程詳細などは後日発表予定だ。上演決定にあたり、チュ・ジョンファ、ホ・スヒョンよりメッセージが到着した。
あらすじ
誰かの部屋。
家具、調度品はどれも古びているが、趣味がよく、戦前のモダニズムを象徴している。
たくさんの本、原稿の束。絵具、パレット、たくさんの絵筆。病院用のベッド。
そこにふたりの青年が、目隠しをされた女性を連れてやってくる。
〈超(チョ)〉、27歳。実年齢よりずっと大人びて見える。世の中の全ての生を見透かしているような目。彼は絶えず詩を書いているが、誰も彼の詩を理解することができない。
〈海(ヘ)〉、27歳。だが知性は14歳で止まっており、年齢よりずっと幼く見える。彼は絶えず絵を描いていて、海を描きたいと思っているが、一度も海を見たことがない。 ふたりは三越デパートの令嬢だという女性〈紅(ホン)〉を誘拐してきたのだ。身代金で、海に行くために。
だが目隠しを外された〈紅〉は、〈海〉を見ると懐かしさの入り混じったような複雑な表情を浮かべ、「私よ、判りませんか?」と言った……。
自身の中に眠る「沸点」の正体を探して/チュ・ジョンファ コメント
Musical 『SMOKE』は詩人、李箱(イ・サン)の烏瞰圖(オガムド)第15号から始まりました。1937年、27歳という若さで世を去った韓国の詩人、イ・サンは本当に難解な詩のみ世に送り出しました。回復不可能な肺病を患い、回復不可能な世を生きぬいた詩人の言葉ではありましたが、私は彼の言葉に心を奪われました。そのようにして『SMOKE』は生まれました。
『SMOKE』には3名のキャラクターが登場します。純粋な子どものような海(ヘ)、常に詩を書き続ける超(チョ)、全ての秘密を知っている紅(ホン)。
この3名のキャラクターは、それぞれ異なるように見えますが、結局のところ同じ方向に向かっています。オーディションを受けてくださる日本の俳優の皆様にひとつヒントを差し上げるとするなら「 『SMOKE』は熱い作品である」ということです。タイトルからもわかるように既にSMOKE 、つまり水が沸騰しなければ始まることのできない作品です。熱い想いを抱いて演じてください。沸点を通り過ぎて初めて、私達は飛翔することができるのですから。皆様とご一緒できるSMOKEを想像して、既に私も熱く沸っております。共に沸点で出会い、限界まで飛翔していきましょう。期待に胸を膨らませつつ、皆様を応援しております。
作者本人と創作できる、学びの多い稽古場/ホ・スヒョン コメント
劇中では3人のキャラクターに振り分けられたイ・サンが互いを非難する一方で、力を与え合う。これは自問自答して自分を責めることもあれば勇気づけることもある、私たち人間の物語ではないでしょうか。これまで日本版『SMOKE』に出演してくださったキャストの中に「役者冥利に尽きる作品」「ライフワークにしたい」とおっしゃった方がいるそうですが、きっと作品の背景にある李箱(イ・サン)の抱える苦悩や葛藤に普遍性を感じてくださったからではないかな、と感じています。
イ・サンの辿り着いた境地を形にするには、3人の俳優と演出家が一体となって創作し完成度を高めていく必要があります。でないと、きっと私が作曲した最後のナンバー通称「翼」を腹落ちして歌うことは難しいでしょう。その点において『SMOKE』を執筆したジョンファ本人が今回初めて日本版を演出することは、キャスト・スタッフにとって心強い朗報だと思います。日本人同士で紐解けなかったセリフやシーンの意図を、作者のジョンファが明かすわけですから。役者さんたちにとって学びの多い、刺激的な稽古場になる予感がします。5度目の日本版を拝見することを、いまから楽しみにしています。

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