住岡梨奈、大原櫻子、桐嶋ノドカ……
2014年後半注目の新進女性シンガーた

・リアリティー・ショー出演で知名度が急上昇した住岡梨奈

 先日9月末での放送終了が決定した人気リアリティー・ショー番組『テラスハウス』(フジテレビ系)だが、そこから羽ばたいたシンガーとして話題になっているのが住岡梨奈だ。2012年6月にシングル『feel you』でメジャーデビューした住岡は、2013年7月から約8ヶ月の間、同番組に出演。「りなてぃ」の愛称で親しまれ、Twitterのフォロワーもいまや32万人に。同番組から卒業する際に披露し、後に4thシングルとしてリリースした『言葉にしたいんだ』は、シングルランキングで最高27位を記録した(ORICON STYLE)。

 9月17日にリリースする『マイフレンド/ぼくらの歩む道』は、住岡が長い髪をバサりと切り落とし、ジャケットに元『テラスハウス』メンバーの筧美和子を起用して話題になっているが、楽曲も弾き語り調の「ぼくらの歩む道」のほか、ギターの音色を控えめにし、打ち込みを多用したポップなトラックと彼女のキュートな声が特徴的な「マイフレンド」の両A面シングルに仕上がっている。知名度的にはすでに売れているが、今回の勝負作を機に、チャートアクションでもブレイクするかも、という声も少なくない。

・主演映画をきっかけに女子中高生から支持を得た大原櫻子

 2013年12月に公開された映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でヒロイン役を務め、劇中歌が評判を呼んだ大原櫻子。主人公“小枝理子”として歌った「明日も」は、とりわけ原作・映画のファンである女子中高生の間で支持を集め、上映終了後も各地で行ったフリーライブなどでそのファン層を拡大した。2014年6月には音楽プロデューサーの亀田誠治が手掛けた、自身初のシングル『頑張ったっていいんじゃない』をリリースし、週間シングルランキングで8位を記録(ORICON STYLE)している。

 亀田も「大原櫻子の才能に無限大の可能性を感じます」と語っているなど、映画の話題性にとどまらず、歌手としての実力も評価されている大原。現在18歳の彼女が書く歌詞には“大人になっていくことへの葛藤や希望”が綴られており、そのことが若年層の女性から支持を集める要因とも言えるが、今回のシングルを機に、男性ファンを獲得し、さらなるブレイクを成し得るのかもしれない。

・デビュー前のドラマ主題歌起用が話題の桐嶋ノドカ

 桐嶋ノドカは、現在テレビ東京系で放送されているドラマ『ラスト・ドクター ~監察医アキタの検死報告~』の主題歌に、まだデビュー前ながら抜擢された女性シンガー。音楽配信サイト「OTOTOY」がいち早く彼女の才能に注目し、今年3月から独占で「ボーダーライン(DEMO ver.)」のフリーダウンロードをスタートしたところ、全く無名の新人にして約1ヶ月間で2,000DLを記録したことで話題になった。そこから『J-WAVE & Roppongi Hills presents TOKYO M.A.P.S』への出演や、ライブサーキット『SAKAE SP-RING 2014』での入場規制など、CD音源のリリースがないにもかかわらず、音楽ファンの間で徐々に話題になり、同ドラマの主題歌「Wahの歌」が急遽配信リリースされることになったという。

 「Wahの歌」では柔らかく伸びのある声で、スケールの大きな楽曲をしっとり歌いあげているが、「ボーダーライン」では四つ打ちを取り入れたアップテンポのサビに対し、パワフルな声で熱唱。公開されている音源こそ少ないものの、多彩なボーカルワークが印象に残るシンガーといえる。

・名門レーベルのオーディションを勝ち上がった新山詩織

 新山詩織は、2012年の春に、大手レコード会社のビーイングが主催するオーディション『Treasure Hunt ~ビーイングオーディション2012~」に『詩織』という名前で応募し、最終審査ではオリジナル曲の「だからさ」と、椎名林檎の「丸の内サディスティック」を弾き語りで披露。審査員の高評価を得てグランプリを受賞し、2013年の4月17日にシングル『ゆれるユレル』でメジャーデビュー。アーティストとしての実力は、サウンドプロデューサーの笹路正徳から「音楽が天職の人」と絶賛されている。

 新山は今年の春に1stアルバム『しおり』をリリースし、通っていた高校を卒業。元来18歳ながらも大人っぽく色気や憂いのある歌声を披露してきた新山だが、これから年齢を重ねるにつれて、より陰影に富んだ歌声を聞かせてくれるのではないだろうか。

・バンド解散、ソロに転向し露出増加の黒木渚

 「黒木渚」は、当初4人編成のバンドとして同名で活動していたが、2013年12月に「音楽は民主的に作るものではなく、もっと曲を作った人間がイニシアチブをとって曲作りしないと個性が薄れていく」といった理由からバンドを解散し、ボーカルの黒木渚がソロとして活動していくことを発表した。それ以降は、4月2日にソロ始動後初のフルアルバム『標本箱』をリリース、同作に収録されている「革命」が各地でパワープレイに決定するなど一気にファン層を拡大した。

 黒木の音楽性は、学生時代から愛好している村上春樹、江國香織、江戸川乱歩といった作家、また、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリットといった画家から受けた影響が色濃く出ており、どこか文学に近い歌詞と、ソロワークに転向以降のストリングスを多用したアレンジで、自身の壮大な世界観を表現することに成功している。ZIP-FMの『黒木渚のNight Flight』など、レギュラー番組も決定しつつあるなか、各地の夏フェスに出演。現時点での知名度はさほど高くはないが、今後が楽しみなアーティストだ。

 以上、映画、テレビ出演、ドラマ主題歌、オーディション、バンドからの転向など、様々な形で飛躍が期待されるアーティストを紹介してきた。約半年後、誰がこのなかで一番ブレイクしているか、楽しみに見守りたい。(向原康太)

リアルサウンド

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