ずとまよ「綺羅キラー」歌詞の意味を考察!アーティストの複雑な想いを綴っている?

ずとまよ「綺羅キラー」歌詞の意味を考察!アーティストの複雑な想いを綴っている?

ずとまよ「綺羅キラー」歌詞の意味を
考察!アーティストの複雑な想いを綴
っている?

ずとまよ×Mori Calliopeの豪華タッグが話題!

ずとまよの愛称で知られる音楽ユニット・ずっと真夜中でいいのに。が、2022年12月15日に配信リリースした新曲『綺羅キラー(feat. Mori Calliope)』。
「2022 Spotify Holiday」TVCMソングとして起用されているこの楽曲には、ホロライブEnglishで活動するVTuberのMori Calliope(森カリオペ)が作詞とラップパートで参加しています。
ずとまよの楽曲にフィーチャリングでアーティストが参加するのは今回が初ですが、ACAねが惚れ込んだMori Calliopeのラップがずとまよの世界観にマッチ。
さらにこむぎこ2000が手がけるMVの色彩豊かなアニメーションも相まって、3人の持つ魅力が一体となった中毒性の高い作品となっています。
▲ずっと真夜中でいいのに。-綺羅キラー(feat. Mori Calliope)【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
MVではアイドルのニラちゃんとファンのキラちゃんの日常と交流が描かれていることを合わせて考えると、歌詞は人気の移り変わりが激しいアーティストの目線で綴られていると解釈できるでしょう。
ACAねがTwitterで公開している“ACAね的和訳”を元にしながら、楽曲全体の歌詞の意味を考察していきたいと思います。
綺羅キラー (feat. Mori Calliope) 歌詞 「ずっと真夜中でいいのに。」
https://utaten.com/lyric/hw22121616
主人公は周りに合わせるのが苦手なようです。
爆発的な人気を得るにはどこか周囲と逸脱した部分が必要になりますが、だからこそ意見が合わずに苦労することもあるでしょう。
批判されると「守備力は弱い」ものの、鋭い勘で何とかかわして今の地位まで上り詰めたようですが、すぐトラブルに巻き込まれてしまいます。
「過呼吸」が「ブレス」と読まれているのは、言葉数が多くて息継ぎが大変だから苦しいのでしょうか。
もしくは状況がつらくて過呼吸になっているのか分からない混乱状態に陥っていることを表現しているのかもしれません。
続く「原罪」とは、旧約聖書に記されているアダムとイブが神に背いて禁断の実を食べたことによる人類最初の罪のこと。
おそらくここでは人が生まれながらに持つ罪への傾向性という意味で使われているのでしょう。
どうやっても罪に向かって進んでしまう矛盾だらけの人生の中で、様々な葛藤を抱えながら生きている苦しさを示しているように感じます。
綺羅キラー (feat. Mori Calliope) 歌詞 「ずっと真夜中でいいのに。」
https://utaten.com/lyric/hw22121616
伝えたい言葉はどんどんあふれ出てくるのに、曲作りに締め切りがあるせいで伝えられない言葉ばかりが溜まっていきます。
「何も考えられん 頭は空っぽのまま」、虚無感を抱えて組んだ円陣は形だけのもの。
そんな状態だから「混沌とした静寂の中 君の元にやってきたの」と、自分を応援してくれるファンに助けを求めようとしている様子が見えてきますね。
いっそ音楽そのものをやめたいと思いながらも「やめたいことやらなきゃ満たされない」自分がいることも分かっています。
続く英語詞では「ショッキングでしょ?“夢の生活”?その中で生きてる」と歌われています。
ファンにとっては自分は夢の生活をしているように見えていても、実際の胸の内はこんなにも複雑で、その中でしか生きられない自分に疲れてもいるのでしょう。
「“バイトだったらどこでもよくない?”」のフレーズは誰かの言葉のようなので、お金が稼げるならどんな世界でもいいんじゃないかという周囲の楽観的な意見を表しているのかもしれません。
ここでも主人公と周囲との意見の違いが示されている気がします。
「綺羅キラー」が示す意味とは?
綺羅キラー (feat. Mori Calliope) 歌詞 「ずっと真夜中でいいのに。」
https://utaten.com/lyric/hw22121616
タイトルでもある「綺羅キラー」という歌詞には、どのような意味があるのでしょうか?
まず「綺羅」は外見が華やかで美しいことを意味する中国由来の漢語で、輝きを表現するキラキラの語源となった言葉です。
そして「キラー」は殺し屋や素晴らしいといった意味のある「killer」からきています。
つまり「綺羅キラー」という言葉は、アーティストとしてキラキラした自分があまりにも本来の自分とかけ離れているから壊してしまいたいという気持ちを表現していると考察しました。
「嫌いなんて序の口」でもっと強い感情で自分を嫌悪していれば少し生きやすく感じられるというのは歪んだ考えのようでいて、少なくない人が抱えている思いなのではないでしょうか。
「君のその口 シガレット辛口」のフレーズは、あるファンからの応援の言葉が辛口のタバコのように刺激が強く依存性が高いものであると例えた言葉だと解釈できそうです。
そしてラップ詞は「知るか? 汁なら 飲み干して 私たちはまだやれる」と自身を励ます心の声のように思えます。
次に出てくる「最低のコンプ」とはコンプレッサー、コンプリート、コンプレックスの3つの“コンプ”のことを指しているそう。
日本語ではそれぞれ圧縮機、完璧、劣等感を意味する言葉です。
主人公の気持ちとして考えると、周囲からの期待で押し潰されそうになっていることや、完璧を求めて頑張っても拭えないコンプレックスのせいで身動きが取れないでいるつらい現実を言い表していると考えられるでしょう。
「繋いだって綻ぶし」という言葉も人間関係の脆さを示しているようで、ファンが離れていくことへの不安が読み取れます。
綺羅キラー (feat. Mori Calliope) 歌詞 「ずっと真夜中でいいのに。」
https://utaten.com/lyric/hw22121616
ここでは出来が安定しない投げやりな仕事が、思いのほかヒットしている様子です。
「落ち込んでる方が進めるセオリー」というフレーズは、気持ちが沈んでいる時の方が進捗が良くなることを指しています。
続く「うp」は投稿することを意味しているので、主人公は動画投稿サイトに投稿してはいるものの思うような成長が得られていないと感じているようです。
「底辺のてっぺんの味で満たされたいわ」という表現は、絶世のスターにはなれなくてもいいから手頃な人気を味わって心を満たしていたいといった複雑な心境を映しているのかもしれません。
ラップパートはMori Calliopeの気持ち?
綺羅キラー (feat. Mori Calliope) 歌詞 「ずっと真夜中でいいのに。」
https://utaten.com/lyric/hw22121616
このラップパートはMori Calliope自身の気持ちが反映されていると思われます。
冒頭には「書くのもマイク持つのもやだ さまざまな反応が僕を止めた」とあり、リスナーの反応によって作詞をするのもラップをするのも嫌になったと明かしています。
「気落ちしちゃった ブランドコーヒーでも買わなきゃ」と気持ちを落ち着かせようとする雰囲気もありますね。
「ジャンルが存在する時代はとっくに終わってると思ってた」のフレーズは、様々なジャンルの音楽が融合され新しいジャンルを築いている今の音楽を象徴しているのでしょう。
そしてその中へと引き入れフィーチャリングしてくれたACAねへ「ありがとう本当に 君の歌が好きになりそう」と感謝を伝えています。
「洗脳されてるけどね、未だ足りない」という言葉は、自分と音楽の結びつきの強さを表しているのかもしれません。
続く歌詞では「賞味期限切れの缶詰のような歌詞を投げつけるの 普通の子どもが大きくなり過ぎた、参っちゃった」と歌われ、自分の書く歌詞に価値が感じられず、未熟さにがっかりしている様子が感じられます。
「ネットに苦い感情をポイ捨てして、ゴールを動かすの ぐずぐず おセンチな マイナス思考だ」の歌詞からも、迷いや落胆のせいで消極的になった心情が読み取れます。
「誰も来ないのに“Red Rover”と叫ぶ」のフレーズに出てくる「Red Rover」は子ども向けのチームゲームで、日本でいう花いちもんめのような遊び。
対戦する相手がいないのにゲームを始めるように、独りよがりで無鉄砲だと自分を低く評価している歌詞と解釈できそうです。
次の「全てのバースがヒットするわけではない」のバースはラップのAメロを指す言葉なので、ヒット曲を生み出す難しさを示しているのでしょう。
そんな苦しい状況を経て、「優しさは誰のものでもない」から「自分を解放し緩める みんなの前で」と思い切ってありのままの自分で勝負する方に気持ちを切り替えたと考察できます。
その結果「無名に戻るかもしれない」けれどその時は「何を知ってるの?」と開き直ればいいし、「俯瞰してみればOK」と決意を固めます。
「人間は夢見るものだし 睡眠導入剤は必要ない “しょっぱい夢” さよなら 会えてよかった」の言葉から、過去の気恥ずかしくなるような夢があったからこそ持てた今の夢へ突き進もうという気合いが伝わってきますね。
綺羅綺羅な自分は羅鬼羅鬼
綺羅キラー (feat. Mori Calliope) 歌詞 「ずっと真夜中でいいのに。」
https://utaten.com/lyric/hw22121616
まだアーティストとして活動を始めたばかりの頃の荒削りで衝動的な部分は、まだ自分の中に確かに存在しています。
「学んでるようで学んでない声してる」と自らを評価しながらも、どんな意見も受け入れる覚悟を決めたようです。
素顔のありのままの自分をファンに見せたいけれど、明かせば「飽きられてしまう」かもしれない怖さがあるから踏み出せない。
「ヤミーエネルギーはいつも助かってるんだよ」とあるように、時にはそうした暗い感情が自身を奮い立たせる力になって旨味を感じさせることもあります。
明かすことへの怖さを糧にして、いつか自信を持って素顔を明かせるようにと努力する主人公の想いが感じ取れるでしょう。
綺羅キラー (feat. Mori Calliope) 歌詞 「ずっと真夜中でいいのに。」
https://utaten.com/lyric/hw22121616
最後のサビでは「綺羅綺羅」の表記に変化していて、続く「羅鬼羅鬼」は「Like it Like it(いいね いいね)」とも聞こえます。
この部分からキラキラした自分が嫌いだった主人公が、ファンの存在によってそんな自分を受け入れ認められるようになったという変化が垣間見えるのではないでしょうか。
また「羅鬼」の漢字から、供養を受けなかった死体から立ち込める気が集まって生まれたとされる妖怪・陰摩羅鬼(おんもらき)も連想されます。
一度は消えたはずの夢や想いが再燃し、自らに行動を促している様子を捉えているとも解釈できそうです。
自分を嫌っていれば気が楽に感じることもありますが、誰かが好きになってくれる自分を好きでいたいと思うのも自然なことです。
「いつだって研修生」でプロとは言い切れず、「価値が小惑星」ほど小さく感じています。
それでも自分のファンでいてくれる人に共感してもらえるのなら、流行りを乗りこなす必要はありません。
「音の だち」は「おともだち」の意味もあるので、音楽を通して得た関係をさらに深めて親しくなりたい気持ちを表しているのでしょう。
最後に歌われる「もっと甘えたいけどーー? ぶらーーんぶらーーん」という歌詞も、自分を愛してくれるファンにもっと甘えて縋って純粋に音楽を楽しんでいたいという主人公の無邪気な本音のように感じます。
聴けば聴くほどハマる唯一無二の世界観!
『綺羅キラー』はリズミカルな言葉遊びに使われるフレーズがユニークで、ずとまよらしい独特な世界観に引き込まれます。
同時に、人気者のずとまよとMori Calliopeの内に秘めた苦悩も垣間見える楽曲です。
MVのストーリーもかなり作り込まれているので、この作品に込められたメッセージをぜひじっくり深掘りしてみてくださいね!

UtaTen

歌詞検索・音楽情報メディアUtaTen

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着