2.5次元の舞台でウマ娘達のリアルな
レース&ライブが繰り広げられる? 
舞台『ウマ娘 プリティーダービー』
~Sprinters' Story~ 合同取材会レ
ポート

ゲーム・アニメ・ライブと様々なメディアで人気を博すクロスメディアコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー(以下、ウマ娘)』。その初の試みとなる舞台での公演が2023年1月15日(日)よりスタート。時速数10kmで疾走しながら鎬を削るウマ娘達のレースなど、競馬をモチーフにした個性的な世界をどのような形で表現するのか? そんな気になる舞台の中身について、ゲームでもキャラクターを演じている出演キャスト陣が語った合同取材会の様子をお送りしよう。
(左から)今泉りおな、山根 綺、礒部花凜佐藤日向
■舞台の鍵となるのは、ウマ娘ばりの猛特訓で鍛え上げた「脚」の演技!
ーー舞台『ウマ娘 プリティーダービー』~Sprinters' Story~への出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
ケイエスミラクル役・佐藤日向(以下「佐藤」):『ウマ娘』初の舞台化ということで嬉しい気持ちでいっぱいでした。私自身も普段は舞台に立たせていただく機会が多いので、自分がこれまで培ってきた経験値みたいなものが活かされるのではないだろうかとワクワクした気持ちが強かったです。演出が児玉(明子)さんと聞いた時に「これはすごく動く舞台になるのかな」とちょっと震えましたね。そして稽古が始まってずっと震え続けているという感じです(笑)。
ダイイチルビー役・礒部花凜(以下「礒部」):私はオーディションを受けた時、「これに合格したらウマ娘になれる!」とけっこう気合いを入れて臨んでいました。舞台出演が決まったときは私も日向ちゃんと同じく、普段は声優もやらせていただきながら舞台も出させていただいていて、どっちも好きという気持ちがとても大きいので、両方できるなんてすごく素敵な機会だなと思ってオーディションをがんばりました。
ダイタクヘリオス役・山根 綺(以下「山根」):お話をいただいたのが、だいたい一年前ぐらいで「山根さん、2.5次元の舞台ってどうですか?」と事務所で聞かれまして。それで「やりたいです!」と返事をして、いざ始まったらヘリオスを中心とした物語が作られると聞いてすごくビックリして。
私はデビューしてから台本を持たずに舞台で演じるというのが初めてのことなので、「大丈夫かな、もしかしたらすごくいっぱい喋るんじゃないかな」とか、やっぱり『ウマ娘』といえばレースなので、そこをどうやって舞台で表現するんだろうというのがまったく想像できなくて。良い感じになったらいいなという想いでしたね。一年間「楽しみだな」「どんな人達と一緒にやれるんだろうな」とずっとワクワクしていました。
ヤマニンゼファー役・今泉りおな(以下「今泉」):舞台が決まった時に山根さんが出演されるというのは知っていたんですけど、他の方が誰になるのか全然知らなくて。実はお二人(佐藤・礒部)の舞台をみたことがあって、その方々と一緒にやるなんてってというのですごくビックリしました。
礒部:全然知らなかった!
佐藤:今知ったんだけど! あとで何の舞台だったか教えてください(笑)。
今泉:言っちゃ駄目なのかなと思ってずっと秘密にしていました。みんなに付いていってがんばろうという気持ちでいっぱいです。
ーー今日も稽古帰りに取材をさせてもらっていますが、実際稽古をしてみていかがですか?
山根:やばいです! 何がやばいって、自分が想像していた以上に脚を酷使するという。脚をいっぱい使いそうだなというメッセージは児玉さんからいただいていましたが、本当に想像していたより20倍ぐらい動いているんですよ。特にヘリオスは、この4人のキャラクターの中で唯一元気なキャラなので、ずーっと舞台で動いて、元気いっぱいに「ウェーイ!」と叫んで、「走りたい! 楽しみー!」っていうテンションを貫き通していくので、私の体と脚は持つのだろうかという、そういう気持ちです(笑)。
佐藤:現時点では部分部分で振り入れとかをしているんですけど、本当にこの舞台はやり通せるのだろうかという不安な気持ちが(笑)。今の段階でも全員がウマ娘と同様のトレーニングメニューを課せられて、毎回トレーニングして「ぜーぜー」ってなっておりますので(一同笑)。
(左から)礒部花凜、佐藤日向
礒部:シールとカードを作っていただいたんだよね。
佐藤:そうなんです! 練習で楽しくテンションをあげるために、夏休みのラジオ体操みたいなスタンプカードを作ってもらって。制作の方の前でトレーニングして「今日ちゃんとノルマをクリアしました」っていうシールをいただいて、それを各自のスタンプカードに貼っていくんです。今日もやりました、皆さん?
山根:今日は途中で終わっちゃった……。
佐藤:今日は私しか貼ってないと思います! そんな感じで絶賛稽古中です。2.5次元って戦ったりするイメージが強いと思うんですけど、それと同じくらい今回の『ウマ娘』も動いていると思います。普段出ている舞台と比べても「殺陣がなくてもこんなに人って動くんだ」という衝撃を受けておりますが、何とか年を越す前までには体力をつけたいなという気持ちでいっぱいです。お嬢(※)はどうですか?
※礒部演じるダイイチルビーは「華麗なる一族」と呼ばれる名家の出身のためダイタクヘリオスから「お嬢」と呼ばれている。
礒部:お嬢はですね(笑)、みんな大変だなあ……って感じです。私はけっこうマイペースなところがあって、スロースターターなので。でも今日「ルビーが一番動きますよ」って言われて! 実はルビーがとても色々なことを脚を駆使してやっているんですけど、大変だあって思いながら稽古していて……。
佐藤:まだ自分のこととは捉えきれてないよね?
礒部:うん……みんなすごい大変そうだなあって。
佐藤:そろそろこっち側にきてもらっていい!?
山根:一緒に大変な気持ちになろう! ヤバイからマジでね……。
(左から)今泉りおな、山根 綺、礒部花凜、佐藤日向
礒部:がんばる気持ちはもちろんあるんですけど「大変」って思うと本当に大変になっちゃうから、楽しくゆっくりいこうという気持ちです。
今泉:私はですね、ヤマニンゼファーはダイタクヘリオスたち三人が一所懸命やられているのをけっこう見守っている役柄ではあるので……。みんなが大変そうだなって時にお水もっていったりとかしたいなあという気持ちで動いてます。
一同:マッサージしてください!
今泉:がんばって覚えます!
山根:20数年間生きてきて、今が一番走ってます。小学校よりも中学校よりも、いつの時代よりもみんな走ってると思います。
佐藤:成人してからこんなに走ると思ってなかったからね。
山根:そこから解放されたと思っていたのに(笑)!
■タップダンスで「走り」を表現! モチーフとなったレースの再現にミュージカルなど舞台ならではのこだわりの数々
ーーみなさんそれぞれに今作の観どころや意気込みを教えて下さい。
今泉:見所は何と言ってもウイニングライブだと思います。私が観客席で見たいと思うほどクオリティが高いので、ぜひトレーナー(※)のみなさんに楽しんでいただきたいなと思います。あと本当に三人ががんばっているので、見守り続けたいなと思っています。
※『ウマ娘』ファンの呼称
山根:ウイニングライブに関して言うと、トレーナーさんが本当にずっと見たかったものになると思います。どんなものかは現時点では想像していただくしかないんですけど、見たら絶対「うわーっ!」って驚くと思います。なのでたくさん『ウマ娘』の曲を聴いたり、ゲームの中でのウイニングライブを見ていただいて、その上で私達の舞台を観に来ていただいたら、すごく心に何か感じていただけるんじゃないかなと思っています。
(左から)今泉りおな、山根 綺
礒部:お芝居のパートが本当に『ウマ娘』というコンテンツにリスペクトを持ちつつ、『ウマ娘』的にちょっと攻めているというか切り込んだ内容になっているんですね。ウマ娘としてのみんなの一所懸命さや葛藤だったりも描かれていて。特に私が演じさせていただいているダイイチルビーは「華麗なる一族」としての色々なものを背負いながらレースに出走していることとか、各キャラクター達の深い部分や気持ちをトレーナーさんにより深く感じて知っていただける機会かなと思っています。ウイニングライブとかもそうなんですけど、その子たちのことを深く知ってもらうと、よりトレーナーさんに刺さると思うんですよ。だからお話も含めて私はこの舞台がとても良いものになると思っています。
佐藤:まず見所としてはモチーフとなった競走馬やレースの史実にかなり基づいた脚本になっているところですね。『ウマ娘』を好きになって下さった方はもちろん、今回のウマ娘達のモチーフになった90年代の競走馬が好きで見に来て下さる方も、かなり楽しんでいただける内容になっています。さらに演出に加えて舞台のセット自体が競馬場を模しているので、本当の競馬場に来たような気持ちでレースやウイニングライブを見る事ができるのではないかと。ヘリオス、ルビー、ミラクル、ゼファーのレースをリアルや映像で見た事のある人が「え? ちゃんと同じ順位で走っているんだ!」と驚いて楽しめる内容なので、ゲームの世界観にも入りつつ、競馬を見に来た感じにもなる舞台になってますね。声は出せないけど、代わりにウイニングライブではペンライトを振って応援したくなるお芝居の流れにもなっていますし、熱くなれる舞台というか青春を感じられる内容となっているので、品川ステラボール競馬場に見に来るような気持ちでトレーナーさんには足を運んでいただけたらなという気持ちでいっぱいです。
礒部:レースとかも凄いよね。史実のレースに基づいているだけじゃなくアンサンブルのみんなも一緒に走るので、実際のウマ娘のレースを見ているみたいな感じになってて。稽古場に過去のレースや競走馬の資料が用意されていて、私達も役を作りやすい環境になっているんです。
佐藤:ゴールするまでの抜いたり抜かれたりの展開とか、そういう細かい所も本当に忠実にレースに合わせているので、当時のレースを見ていた方は全部わかると思います。それぐらい細かく作っているので、そこも見てほしいですよね。

(左から)今泉りおな、山根 綺、礒部花凜、佐藤日向

(左から)今泉りおな、山根 綺、礒部花凜、佐藤日向
ーー先ほど脚を使う稽古やトレーニングをされているとの話が出ましたが、レースだけでなくダンスの練習もされているんですよね。
山根:アンサンブルの方々と一緒に大人数で踊るシーンとかもあって、ただ踊るだけじゃなくて色々な物を使ったりもするんですけど、たぶんこれを予想している人は誰も居ないんじゃないかなってくらい「なんじゃこりゃー!」っていう迫力になると思います。
今泉:今の段階では言えないことが多すぎてどう説明すればいいのかと(笑)。
佐藤:実際の競馬のように、ウマ娘は靴に蹄鉄をつけているんです。その状態での歩きや走りでの「パカラッパカラッ」って音を表現するために、今全員でタップダンスの練習をしていまして。ウマ娘たちは競走馬並みのスピードで走るということで、我々の走りでその速度を再現するとなるとテンポがとても速くなるんです。BPMが130から160まで用意されてて(笑)。児玉さんは「できれば160までいけたらいいですよねー」って言ってるんですけど、こっちはちょっと待って下さいという感じで大変です(笑)。
山根:レースの途中、我々が抜きつ抜かれつするところで、私達はタップを踏みながら速度や加速を表現するんですけど、そこがとんでもないので見たら鳥肌止まらないと思います。ウイニングライブの演出も、私達だけでなくアンサンブルのみんなも毎日本当に汗を流して、ぜーぜー言いながら死ぬ気でがんばってますね。この舞台が終わるのが先か、我々の命が尽きるのが先かって話をずっとしてます(笑)。
佐藤:アンサンブルのみなさんも含めてタップが未経験の子が多かったので、事前稽古ではタップの練習から始めていたんですけど、やっぱりこの中だとマイペースに「がんばってーみんなー」みたいな調子で話している礒部さんが、一番タップを経験してたりスキルが一番高かったりして「華麗なる一族」な部分がちゃんとあるなと。
礒部:ごめんあそばせ(笑)。
佐藤:ちょっと教わったらすぐできちゃうんですよ!
礒部:そんなことないですよ!
山根:私は教わってもできないから。左右逆の手足が交互に出ないといけないのに、気付いたら同じ方の手足が出ちゃってたり。ものすごく速いリズムゲームみたいな感覚で振り付けを覚えないといけなくて大変ですね。
佐藤:でもお客さんとしてみた時に、耳に届くタップの足音が18人の脚で合わさって聞こえてくると、本当に競馬場にいる気持ちになれるなと稽古動画を見ながら思いましたね。今のこのレベルからあと一ヶ月ブラッシュアップしたら、かなりハイレベルな物ができるんじゃないかと思いますね。
山根:パドックのシーンもあるんですけど、その時も「タタッタタッ」と音を出して歩いてくるんです。
佐藤:それぞれの調子が本当に出そうですよね、あのパドックの場面は。
山根:しかも一人ひとりがそのウマ娘のモチーフになった競走馬の気性やコンディションなども調べて足音などで表現しているので、競馬好きな方は絶対わかると思います。
ーーウイニングライブではどんな曲が流れるんでしょうか?
今泉:「Sprinters' Story」なので、ゲームで短距離のレースで勝った時の曲を聴いておいていただけるとおのずとわかるかと思います。
山根:ほぼ答えですね(笑)。でも先に聴いておいていただいた方が「この曲だ!」って分かって楽しいかなと。あとウイニングライブパート以外にもミュージカルパートがあって、この時の曲は全部オリジナルナンバーです。素晴らしいクリエイターの皆様がたくさん曲を作ってくださっている最中なので、そのへんもぜひ注目していただきたいですね。個人的にすでに聴いた曲がありまして、ケイエスミラクルの歌がもうダバーッと泣ける感じなので、ハンカチをどうぞ忘れずにお持ち下さいませ。
ーー最後に舞台を楽しみにしているファンの皆様へ、代表して山根さんからメッセージをお願いします。
山根:『ウマ娘』舞台化の告知が夏ぐらいにあって、その時からけっこう色々な声があって、私もそれをたくさん見てきたんです。「初めて舞台観に行きます」という人や「舞台? 大丈夫?」という反応のトレーナーさんもいたんですね。その気持ちもわかるし「そうだよなー」と思ったんですけど、稽古が始まってみんなといる時間が増えて、演出が付いて色んな事が決まっていくうちに、本当にこれは誰が観に来ても「来てよかった」「観に来た価値があった」と思ってもらえるすごい作品になるなと思っています。私は初めての舞台だし、そんな私がって思われるかもしれないんですけど、これはすごいぞって直感で分かるぐらい素晴らしい作品になると思っています。そうなるように現場にいる全ての人が自分の力を全部出して毎日取り組んでいるので、「えー、舞台?」って思っている方にこそ、一回でいいので観に来てほしいです。楽しみにしているトレーナーさんも観に行こうか悩んでいるトレーナーさんも、まずは一回観に来て下さい。絶対もう一回観に来たくなるのでとここで宣言しますので、ぜひいらしていただけたら嬉しいです。

(左から)今泉りおな、山根 綺、礒部花凜、佐藤日向
この他にも初の舞台となる山根と今泉が台詞の間の取り方や舞台ならではの立ち位置の取り方などに苦労しながらもがんばっているという話や、儚げなキャラクターのケイエスミラクルらしさを舞台で出すため、力やテンションを高めすぎないよう塩梅を探っているという佐藤の苦心の話なども出た今回の合同会見。『ウマ娘』という作品世界を2.5次元という枠組みの中で描くべく、様々な演出や仕掛けが用意されている様子。

今回登場するウマ娘のモチーフになった競走馬達にまつわるドラマチックなエピソードも多いだけに、アニメやゲームでもまだ描かれていない彼女達の物語が「舞台」でどう描かれるのか、『ウマ娘』ファンはもちろん2.5次元舞台のファンも目が離せない公演となりそうだ。
取材・文・撮影=斉藤直樹

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