石丸幹二・柿澤勇人らが名作をさらに
進化させ、期待を超えた生き様を見せ
る ミュージカル『ジキル&ハイド』
製作発表会見

2001年の日本初演以来、多くの方に愛されてきたミュージカル『ジキル&ハイド』。世界的ヒットメイカーであるフランク・ワイルドホーンが音楽を手がけた人気作が、2023年3月に再び開幕する。
演出は日本初演から引き続き山田和也が手掛ける。そして今回、タイトルロールであるジキル&ハイドはWキャスト。2012年、2016年、2018年に同役を演じた石丸幹二は今回がファイナルとなり、新たに難役に挑むのはNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも注目を集めた実力派・柿澤勇人。さらに、笹本玲奈、真彩希帆、Dream Ami、桜井玲香、石井一孝、上川一哉、畠中洋、栗原英雄と、フレッシュな面々からベテラン勢まで確かな実力を持つキャストが勢揃いした。
報道陣に加え、一般オーディエンス約100名を招いて行われた歌唱披露と製作発表会見の様子をお届けする。
石丸幹二
柿澤勇人
MCによる作品紹介のあとで披露されたのは、石丸幹二と柿澤勇人による「時が来た」。登場した二人は集まった人数に驚きつつ、嬉しそうな表情を浮かべて歌い出す。ジキル博士のこれまでの道のりを感じさせる石丸の円熟した表現と、フレッシュな勢いに満ちた柿澤の二人による歌唱に、公演への期待が高まった。
続いて、石丸幹二、柿澤勇人、笹本玲奈、真彩希帆、Dream Ami、桜井玲香、石井一孝、上川一哉、畠中洋、栗原英雄、演出の山田和也による挨拶と質疑応答が行われた。
――まずは一人ずつご挨拶をお願いします。
山田和也:この作品の日本公演は2001年からということで、準備を始めたのは20世紀だったんだと少し驚いています。もう四半世紀近く上演されている、生命力ある作品に携われた幸運にまず感謝しています。
石丸幹二:僕は2012年から本作に関わってきました。前回は2018年ですからもう5年近く経つんですね。自分の意識の中ではついこの間のような気がします。それくらいインパクトのある作品。また、非常に体力が必要な役だということを思い出しました。若いかっきーに負けないように、体力をつけて臨みたいと思っています。
柿澤勇人:この作品は学生の頃に鹿賀さんバージョンを観て、退団後に石丸さんバージョンを観ていたので、日本を誇る大スターがやる役なんだと思っていました。僕が演じられるとは思っていなかったので、正直驚いております。若輩者なりに一生懸命がむしゃらに稽古をして、皆さんから刺激を受け、石丸さんの素敵なところをたくさん勉強して、新たなジキルとハイドを作れたらいいなと思っております。
笹本玲奈:私は2012年よりこの作品に参加させていただいていて、2回は婚約者のエマとして、前回からは娼婦のルーシーとして出演しています。2つの違う視点からヘンリーとハイドを見ることで作品にかける思いも大きくなり、私の中ですごく大切な作品になっています。石丸さんと同じで、最近本当に体力や健康が一番だと感じているんです。この作品は心もすごく疲れてしまうので、身体と心を健康に保ちながら、カンパニーとしてまとまっていきたいです。
真彩希帆:『ジキル&ハイド』という作品は私も子供の頃から知っていますし、このミュージカルの楽曲もたくさんの方に愛されています。その中でルーシーという役を演じることの大きさをずっと感じています。この作品が愛されている理由を稽古でもしっかり感じつつ、多くを学んで丁寧に組み立てていきたいと思います。
Dream Ami:今回初参加ということで、本当に光栄に思う一方、不安もあります。しかし、長年愛される作品に実力者の皆さんに囲まれて挑むことで、新たな自分を発見できるんじゃないかとワクワクしています。作品ファンの方にも納得していただけるエマを演じられるよう、精一杯頑張りたいと思います。
桜井玲香:先程、石丸さんと柿澤さんの歌唱に感動しながら、ついにこの作品の世界に浸れるんだと実感しました。素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんとともに作品を作りながらたくさんのことを学び、力強く愛情深い女性・エマを、信念を持って演じたいです。
石井一孝:僕はこの『ジキル&ハイド』という作品が昔から大好き。それこそ日本初演の前に海外から直輸入したCDを取り寄せてまで聴いて、なんていい作品だろうと思っていたんです。実験室のフラスコ役でもいいから出られないかとずっと思っていました。そしたら人間で、ジキルの親友のジョン・アターソン役。ただ一つ懸念があります。石丸さんの親友には見えると思うんですが、かっきーの時は叔父さん役に見えるんじゃないかと。若々しさを存分に出して、かっきーの親友を演じたいと思います!
上川一哉:僕もアターソンを演じます。長年たくさんの方に愛され続けている本作に参加させていただけること、憧れ続けてきた先輩方とご一緒できること、劇団四季以来久しぶりに再会したかっきーと共演できること、とても嬉しく思っています。初参加なので、全力で作品にぶつかろうと思います!
畠中洋:僕は2012年の石丸さん初演からずっとストライドを演じています。今回は大胆なキャスティングといいますか、また新たな風が吹き込んで進化するんじゃないかと思うと稽古が楽しみで仕方ありません。歌と芝居と音楽が一体となった一級のエンターテインメントを楽しみにしていてください。
栗原英雄:カルー卿を演じます。意気込みはありません。意気込んで上手くいった試しがないので、リラックスして皆さんと芝居を作れたらと思っています。ただ、作品に「善と悪」というテーマがあります。善が実は悪であり悪に見えるものが善である。そこを追求し、物語の時代と現在を上手くリンクさせられたらと思っています。
――山田さんから、石丸さんと柿澤さんに期待することを教えてください。
山田:期待以上のものを見せてくれる二人なので、体力の続く限り表現の果てまで行っていただけると嬉しいですね。毎回稽古場で話題になるのが、“石丸さんのセクシーさやエロティックな部分をどうお客さんに届けるか”ということ。今までの『ジキル&ハイド』史上最もエロティックにやっていただけたらいいなと。
石丸:確かに、どこまでも追求できる作品なんですよね。歳を重ねた今だからできるアプローチを考えてみようかな。
山田:柿澤さんとご一緒するのは実は初めて。エロティックさがどこに潜んでいるのかまだ分からないんですよ。日常では見えない怪しさや狂気、欲望がどう見えてくるか、期待というか楽しみですね。
――キャストの皆さんは、稽古で楽しみなこと、現時点での課題などはありますか?
石丸:いまだにコロナ禍ではありますが、この1年でできることはずいぶん増えてしました。よりいろんなものをお客さんに届けられるよう、稽古を進めたいと思います。いい意味で密にコミュニケーションをとって作品を構築・再確認し、お客さんに「前回と違うね」と言ってもらえるものを作りたいですね。
柿澤:「善と悪」を分けたときにどこまでいけるか、という役だと思います。エロティックというのは自分では分からないけど、山田さんに「みんなドン引いちゃうからやめて」って言われるくらいやりたいです!
笹本:コロナ禍で共演者の皆さんとのコミュニケーションをとる機会がすごく減りました。でも、みなさんとの信頼関係は大事なのでしっかり作っていきたいです。
Ami:正直、自分が今ここにいるのも不思議というか、校外学習で見学に来たような気分です。ただ、長年グループで活動していたこともあって、みんなで作り上げることにすごく喜びを感じます。皆さんと一緒に完成させられるのが今から楽しみです。
真彩:フランク・ワイルドホーンさんの楽曲はエネルギーがすごく必要な曲が多いです。体力作りや音域など、チャレンジすべきこともたくさんあります。先輩たちからたくさん学べるのではないかとすごく楽しみです。
石丸:フランクに言われたんだけど、肉食獣になれって。
真彩:え!? どうしよう、野菜が好きです(笑)。
石丸:まずはそこにお肉も混ぜていこう(笑)。
桜井:重々しくてちょっと怖い話ですが、キャストの皆さんはすごくほんわかしているので、苦しみながらも楽しくできたらハッピーだと思います。
石井:僕はフランクの曲が大好きなんです。元々ポップスを書いていたので、ロマンティックでキャッチーな曲を書くのが上手いんですよね。そんな彼が、この作品ではミステリアスでダークな大人っぽい楽曲を書いている。難しいメロディも多いので、しっかり練習したいです。
上川:やはり歴史の長い作品ですから、先輩たちからいろいろなお話を聞いて新たに作っていきたいです。
畠中:僕は4回目なので、前回とはまた違うアプローチをしたいです。さらに今回はメインが皆さんWキャスト。同じ芝居はしたくないので、相手の目を見て空気を感じ、セリフを聞いて、その時感じたことを役を通して表現したいです。
栗原:課題は全部ですね。ただ、この時代を生きた人々を生々しく演じられたら、ジキルがなぜこんな行動をとってしまったか浮き彫りになっていくと思うので頑張りたいと思います。
――石丸さんと柿澤さんは共に劇団四季出身です。当時の印象と今の印象をそれぞれ教えていただけますか。
柿澤:僕は2007年に研究生として入団しました。朝は掃除から始まるんですが、ある日僕が資料などを保管する場所を掃除していたら、石丸さんが現れたんです。ゆっくりコーヒーをお飲みになっていて、違いの分かる男・石丸さんは本当にいらっしゃるんだと思いました。僕が挨拶したらにっこり返してくれて、めちゃくちゃ格好良くて優しい人なんだと思いました。それからずっと憧れていたんですが、共演の機会もなかったので、今回は本当に驚いています。当時の柿澤に、「お前結構頑張ったな」と言ってやりたいですね。
石丸:本当にコーヒー飲んでた? 一緒に掃除してたんじゃない?(笑)当時、期待の星が入って来たと聞いて注目していました。感慨深いですし、柿澤くんはそれ以降も目まぐるしい活躍をされてきて、今こうして同じ役をやります。僕にないものをたくさん持っているので、新たなジキルとハイドがきらめくと思います。山田さんには期待してほしいですね。
本作は2023年3月11日(土)より28日(火)より東京国際フォーラム ホールCにて上演されたあと、愛知、山形、大阪でも公演が行われる。また、東京公演において3月23日(木)18時の追加公演が決定した。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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