【hide with Spread Beaver
インタビュー】
雲の上のhideさんの魂とか
存在とつながって一緒に演奏する
あくまでもライヴは雲の上との二元中継
L→R I.N.A.(Computer&Per)、K.A.Z(Gu)、JOE(Dr)、hide(Vo&Gu)、D.I.E.(Key)、CHIROLYN(Ba)、KIYOSHI(Gu)
そして、hide with Spread Beaverの25年振りのライヴが、2023年4月と5月に開催されます。どんなライヴになりそうですか?
hideさんと一緒にライヴをやるということを考えると、初音ミクのようにホログラムのCGでhideさんを再現して僕らと一緒にステージに立たせるというやり方もできるんですけど、それは僕らが考えていることとは違っていて。映画の中でも言っていますけど、あくまでも雲の上との二元中継なんです。音楽を通して、体はなくなってしまったけど、雲の上のhideさんの魂とか存在とつながって一緒に演奏する。それはhideさんとお客さんとのつながりでもあるし、僕らやスタッフとのつながりでもある。そういうところを大切にしたライヴにしたいと思っています。
当時のライヴを再現するとか、最先端の技術を使ってやるとかとは違うと。
ライヴを構成する上ではそういう部分もあるでしょうけど、それを売りにする必要はないと思っています。僕らにとってはそこは重要ではないので。
このライヴの開催は2023年がhideさんのソロデビュー30周年で、亡くなって25年という節目であることから決まったのですか?
それもありますけど、映画で裕士さんが僕らに“ライヴをやりたいんです。お願いします!”ってメンバーを説得して回るシーンがありますけど、実際にそれと同じようなことが映画公開後にあったんです。裕士さんから電話がかかってきて何かと思ったら、映画を観たファンの人たちから“またライヴが観たい!”という声がいっぱいあったそうで、協力してもらえないかと。
まさしく映画の1シーンですね。でも、すごく嬉しいことですよね。
そうですね。今回は“いいよ”って即答しました。過去に何回かイベントでやった時は、“大丈夫かな?”とかいろいろ考えてしまったんですけど、今回は映画を観たことで僕の中でもいろいろ感じたものがあったから“みんながいいならいいよ”って。僕と裕士さんにとって『TELL ME ~hideと見た景色~』という映画は、他の誰にも分からない特別なものがあるんですよ。説明しようのない、とても不思議な感覚なんですけどね。
セットリストとか楽しみですね。
そうですね。まだ何も決まっていないけど(笑)。ただ2公演あって、hideさんは同じ曲順を絶対にやらない人だったので、大阪と神奈川でどういうふうに変えようか考えているところです。あとは、体力的な問題ですね。20代後半と30代前半にやったライヴを50代後半になってやるわけですから。特にドラムのJOEは大変だと思いますね。とにかく曲のテンポが速いですから。誰か若い人を後ろに控えさせておこうかな?(笑)
また、I.N.A.さんは現在『STOCKS.TOKYO Project』というプロジェクトをやられているそうですが、これはどういうものですか?
この30年で培ってきた音楽制作の技術を誰かに伝えていきたいという想いがあった中で、コロナ禍で働き方も変わり、場所を選ばずどこでもネットを介して仕事ができる状況になったことで、ひと昔前だったら地方に住んでいては全国区の仕事はできなかったけど、今は地方に住んでいながら東京を中心とした全国区の仕事ができる環境になった。そこで、全国のクリエイターと作品を探している企業やクライアントを結ぶ、マッチングサイトを作ったんです。
そういうサイトは今までもなかったわけではないですよね。
画像や映像のクリエイターとマッチングするところはいくつかありましたけど、音楽にここまで特化したところは日本にはありませんでした。それに『STOCKS.TOKYO』は若い人たちにどんどん使ってほしいと思って、東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校とも提携して…そこで僕も授業をやったりしているんですけど、そういう次世代のクリエイターがプロになるためのチャンスを掴める場にしたいと思っています。プロへのなり方って昔から王道なんてないし、今もありません。だからこそチャンスを掴むための選択肢を増やしてあげられればと。また、メタバース上に仮想コミュニティスペース『.Tokyo』も作って、クリエイター同士で自由に交流してもらい、そこからまた新しいものが生まれたらいいなと思っています。現状はプレオープンですけど、これが広がっていけば、本体のマッチングサービスにもつながっていくと思います。
このマッチングサービスを通して、I.N.A.さんはどんなことを伝えていきたいと思っていますか?
僕が30年かけて磨いてきた技術やノウハウ…マインド的なものもそうですね。実は2014年くらいから『電脳音楽塾』という音楽の学校やオンラインサロンもやっていて、どちらも昨今の状況もあって閉じてしまったのですが、僕らが培ってきたものを若い世代につないでいくのは僕ら世代の義務でもあると思っていて、それがこの『STOCKS.TOKYO Project』を立ち上げた一番大きな理由です。このサービスを通して育まれた若い世代の中から、新たなhideさんのような存在が生まれてくれたら嬉しいですね。
取材:榑林史章
L→R D.I.E.(Key)、JOE(Dr)、KIYOSHI(Gu)、hide(Vo&Gu)、I.N.A.(Computer&Per)、K.A.Z(Gu)、CHIROLYN(Ba)
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Blu-ray&DVD『TELL ME 〜hideと見た景色〜』2022年12月7日発売
EAST WORLD ENTERTAINMENT
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hide with Spread Beaver プロフィール
ヒデ・ウィズ・スプレッドビーバー:hide(Vocal&Guitar)、KIYOSHI(Guitar)、KAZ(Guitar)、CHIROLYN(Bass)、JOE(Drums)、D.I.E.(Keybord)、I.N.A.(Computer&Percussion)で構成された”7人の怪人たち”によるこのバンドは、1997年12月31日にX JAPANが解散ライヴを行なった翌朝、1998年元旦の朝日新聞で『hide with Spread Beaver 起動』の全面広告を掲載し活動をスタート。この年、3枚のシングルとフルアルバムのリリース、それを引っさげてのツアーなど、年末まで綿密なスケジュールが組まれていたが、98年5月2日にhideが不慮の事故により急逝。葬儀には約5万人のファンが集まり突然の別れに多くの若者が涙し、社会現象になった。混乱の中、hide with Spread Beaverのメンバーであり、hide全ての楽曲の共同プロデューサーであるI.N.A.を中心にバンドメンバー、そして盟友:PATAをはじめとする多くの仲間たちの協力により、制作途中だった3rdアルバム『Ja,Zoo』を完成させ、全国ツアー『hide with Spread Beaver appear!!”1998 TRIBAL Ja,Zoo”』を決行。このツアーはhideという主宰者が不在の前代未聞の状況の中、スクリーンに上映されるhideの映像と歌声に合わせてバンドがライヴ演奏する、いわゆる”二元中継”という当時の最先端技術を駆使した画期的なスタイルで行なわれ、全12会場・14公演、5万人を動員し、hideの歴史に刻まれる激動のツアーとなった。hideオフィシャルウェブサイト「hide-city」
「TELL ME」Cinematic Music Video
映画『TELL ME ~hideと見た景色~』
本予告