安全地帯、
40周年記念コンサートの
ライブレポートが到着!
ステージ上方には「V」字状の大きなトラスが組まれている。「V」は標識の安全地帯のマークであり、ローマ数字で「5」を意味する。デビュー以来40年、5人のメンバーで活動を続けてきた結束の証しだ。
スクリーンには雪山が映し出されスターダストのパーティクルが飛び交う。映像が春の景色に変わると、黒を基調としたモノトーンのコスチュームに身を包んだ安全地帯の4人がステージに現れ、襟の高い白いシャツに黒のロングコートを纏った玉置浩二が静かに歌い始める。オープニング曲は「あの頃へ(1992)」。続いて安全地帯デビュー曲の「萠黄色のスナップ(1982)」に「碧い瞳のエリス(1985)」が演奏される。玉置のヴォーカルは抑揚をセーブしながら、語りかけるように歌いじっくりと会場を温めていく。
次の曲の冒頭、場内には雷鳴が轟きレーザービームが飛び交う。始まったのは「プルシアンブルーの肖像(1986)」。ここからギアが一段上がる。抑えられていたヴォーカルは少しずつ拡げられ、テンポも徐々にアップしてくる。サビの『♪はなさない』のリフレインを玉置がギターの武沢侑昂の肩を抱きながら歌う。同級生だった玉置と武沢が中学生の頃、安全地帯の前身バンドを結成した。ふたりは最も古い戦友同士だけに、このシーンには感慨深いものがある。安全地帯のオリジナル・メンバーにはもうひとりギタリストがいる。矢萩渉だ。矢萩のギターは例えると"剛健"。一方、武沢は"繊細"。まったくタイプの違うギタリスト共存するのが安全地帯サウンドの魅力のひとつ。「好きさ(1986)」では矢萩の野太さと武沢の煌びやかさが絡み合う官能的なツインギター・ソロを披露し客席を酔わせている。そしてこの安全地帯サウンドのボトムを支えるのが六土開正のベース。自由なプレイを展開しながらも常に全体を包み込んでいく。
スクリーンにはどこか懐かしさを感じる平原や稲穂が映し出され、ステージにはアコースティック・ギターを抱えた矢萩と武沢が美しい調べをつま弾く。本公演で唯一のインストゥルメンタル・ナンバー「夕暮れ(1986)」。この演奏が前半と後半のブリッジとなり、熱くなった客席をクールダウンさせてくれる。そして4人のホーン・セクションが静かにイントロを奏で、舞台には再び玉置が登場。ピアノをバックに広い会場の隅々まで響き渡るよう「あなたに(1984)」を朗々と歌い上げる。この曲がイントロダクションになって、そのまま「悲しみにさよなら(1985)」になだれ込んだ。客席は再び総立ち。サビではオーディエンス全員が両腕をゆっくりと左右に振り、心の中で歌う。
そしてスクリーンには、この日療養中のため参加できなかったドラマーの田中裕二が映し出された。客席の驚きと喜びの歓声がマスク越しから伝わってくる。田中の声でカウントが入り、華やかな祝祭ナンバー「情熱(1990)」が始まった。この曲でドラムを叩いている田中の音と映像に合わせ、メンバーも豪快な演奏をぶちかます。田中がドラム・ソロを披露すると、安全地帯の4人がスクリーンの前に横一線に並ぶ。時空を超えた奇跡の共演に観客も大喜び。最後は玉置が『安全地帯ドラムス、田中裕二!』と送り出す。興奮さめやらぬ客席へさらにたたみ込まれたのは「真夜中すぎの恋(1984)」。途中、2人のドラマーとパーカッショニストの3人によるソロまわしからのアンサンブル、矢萩のギターと玉置のヴォーカルのインプロビゼーションの掛け合いと見どころ聴きどころ満載だ。
文:石角隆行
<セットリスト>
『安全地帯 40th ANNIVERSARY CONCERT
"Just Keep Going!" Tokyo Garden Theater -4 Days-』
2022年11月30日 at 東京ガーデンシアター
01.あの頃へ
02. 萠黄色のスナップ
03.碧い瞳のエリス
04.プルシアンブルーの肖像
05.好きさ
06.蒼いバラ
07.熱視線
08.ワインレッドの心
09.恋の予感
10.Friend
11.夕暮れ
12.あなたに
13.悲しみにさよなら
14.情熱
15.真夜中すぎの恋
16.じれったい
17.ひとりぼっちのエール
※アンコール
18.I Love You からはじめよう
<出演>
安全地帯:玉置浩二 (Vo&G)、矢萩渉 (G)、武沢侑昂 (G)、六土開正 (B)、田中裕二 *VTR出演 (Drs)
サポートミュージシャン:トオミヨウ (Key)、川村ケン (Key)、秋山浩徳 (G)、ホセ・コロン (Drs)、原治武 (Drs)、中北裕子 (Perc)、佐野聡 (Tb and others)、小林太 (Tp)、武嶋聡 (Sax/Fl)、ゴンドウトモヒコ (Euph/F.Hr)、AMAZONS 大滝裕子、斉藤久美、吉川智子 (Cho)
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