「人生賭けて死ぬ気でNightOwlやりた
いと思います」満員のツアーファイナ
ル代官山UNIT公演にみた覚悟と誓い

NightOwl『 EP“ヨルニトケル”Release Tour』2022.10.10(mon) 代官山UNIT
「忘れられない夜にします!」
「ロンリー・ナイトパレード」で賑やかにライブの幕を開けると、折原伊桜がフロアを埋め尽くす観客に向けて力強く宣言する。NightOwlが8月にリリースした最新EP『ヨルニトケル』を掲げ、全国5箇所を回ったリリースツアーのファイナル公演。自身最大規模となる代官山UNITをソールドアウトし、ツアーでたくましく成長した姿を見せる4人に、ど頭からフロアが沸き立つ。結成3年、5人体制の時期も経て、現在の4人体制となって1年。コロナ禍でライブが出来ない時期も続いたり、決して順風満帆でないNightOwlの歴史だったが。過去最大規模の会場で見せた気合いと気概に満ちたレコ初ワンマンはこれまでの集大成かつ、この先に見える眩い光を想像させる、決して忘れられない夜となった。
百城凛音
ミラーボールの綺羅びやかな光の下、キレキレなダンスで魅せた「Be the one」に続き披露したのは、『ヨルニトケル』収録の「グッドナイト」。しっかりライブ仕様に進化したこの曲は、歌やダンスの華麗なリレーで個々の輝きを放ちながら、グループ全体としても美しく魅せ、さっそくツアーの成果を感じさせる。さらにライブ定番曲である「夜想歌」と続き、早くもクライマックスのような熱狂を生んだ序盤戦。のっけからエンジン全開、出し惜しみないセトリと全力のパフォーマンスから、この日に懸ける意気込みや気合いを感じると同時に、ここからどうライブが展開していくのかも期待させる。
「今回は3年目で3回目のツアー。1回目は公演中止になって周りきれなかったり、2回目のツアーは公演初日でケガ人が出たり……」と話す折原に、「本当にすみません!」と長谷川嘉那が頭を下げ、笑いと拍手で応える観客。それを見た折原が「良かったね、笑ってもらえて」と笑顔を見せる、アットホームな雰囲気で始まったMCでは、「今回は無事、4人でファイナルを迎えることが出来ました。本当にありがとうございました!」と、4人が深々と頭を下げる。「これまでのことも大事に抱えながら、これからが楽しみになる一日になるといいなと思ってます」という折原のMCから始まったのは、初披露の新曲「夜行迷路」。

雨夜憧

性急なビートで始まるアッパーな曲調とエネルギッシュなボーカルにテンション上がるこの曲に、自然と手拍子が起きるフロア。見よう見まねで振り付けを合わせる観客と、初披露ながら一体感が生まれる光景を見て、新曲やNightOwlのこれからへの期待は高まるばかり。勇ましくカッコいいパフォーマンスにフロアから拳が上がった「La La Lullaby」、ダークでミステリアスな世界観に折原の悲痛な歌声が映えた「暁闇」と続き、これまたライブ定番曲である「Daybreak」へ。願うように祈るように歌う4人が手を合わせ、気持ちを重ねるシーンにグッと来てしまった。
「今日この日、あなたの前で歌うことに意味があると思って届けます」と始まった「夜明け前」は時折、それぞれが楽しそうな嬉しそうな笑顔を見せながら、歌うことや伝えることの喜びを噛みしめるように丁寧にパフォーマンス。百城凛音のボーカルでキュートに始まった「Living my day」は折原、雨夜憧とマイクを繋ぎ、長谷川がグッと前に出てダンスで魅せてと、それぞれがしっかり魅せ場を作りながら、会場に幸福感を振りまく。個人的には個々が“最高の私”を見せたこの2曲の堂々とした歌とダンスに、現在のNightOwlの自信と充実ぶりを感じたし。まさに“夜明け前”といった感じで、この先に見える眩い光にグッと手を伸ばすような4人の前向きな姿に、強い期待と希望を感じた。
長谷川嘉那
「大切なものほどすれ違ってしまったり、上手く行かなくて後悔してしまうこともあるけど、そんな時間も無駄じゃなかったと思える日まで、私たちがみんなの側にいさせて下さい」と百城が曲紹介して、たっぷり気持ちを込めて歌ったバラードソング「16進数の海辺」、グッと大人な表情を見せた『ヨルニトケル』収録の「melt blue」としっかり聴かせる曲が続くと、明るく希望溢れる「Answer」に観客が手拍子や手振りを合わせ、再び会場の空気を変える。3度目にして、初めて4人で完走することが出来た全国ツアーのファイナル公演。さらにワンマンということでたくさんの曲を披露し、新旧織り交ぜた楽曲でNightOwlの様々な魅力や表情を見せてくれたこの日。ライブが進むにつれ、最新作のリリースツアーのファイナルでありながら、ここまでの集大成と言えるすごく重要なライブになってるなと感じていたが。折原の最後のMCでは、本人たちもこの日のライブに特別な想いを抱いていたことがしっかり語られた。
MCではファイナルの代官山UNITを満員にすることを目標に、ツアーを走ってきたこと。これから何千、何万という人の前でやるため、どこかで腹を括らなきゃいけないと思ったことを明かした折原。「それが3年目の今やと思って口に出したんですけど、正直怖くて……」と涙ぐみながら語ると、「一人ひとりのおかげで今日の公演、ソールドアウトがいました。本当にありがとうございました!」と感謝の言葉を告げ、4人で深々とお辞儀をする。観客の大きな拍手を受けて、感極まったメンバーが涙を浮かべる中、「もっともっと一緒に色んな感動を共有したいと思うし、私たちがそういう気持ちを届けられるようにならなきゃいけないと思うし。どれだけ失敗しても時間がかかっても、言ったことを叶えに行くのがNightOwlのあるべき形やと思うので、人生賭けて死ぬ気でNightOwlやりたいと思います」と告げた折原は、再び観客の大きな拍手を浴びながら、「私たちは今日も乗り越えて、また新しいステージを目指して行きたいと思います!」と力強く宣言。そんな想いを込めた、『ヨルニトケル』収録の「Beyond the Night」を披露する。
折原伊桜
折原の熱いMCに4人の気持ちが改めてひとつになり、気合い十分のステージにさらにギアが1段上がった感のあった終盤戦。<夜を超えていけ>と新たなステージへ向かう決意を力強く歌った「Beyond the Night」で再び熱を帯びたフロアから、「Feel Alive」で観客の突き上げるような手拍子が起きて会場に強い一体感が生まれると、「言葉にできない想いも最後の最後、全部込めて歌います」と折原が曲紹介して、本編ラストとなる「All Night Long」が始まる。代表曲として、3人時代からNightOwlの歴史を支えてきたこの曲。全身全霊、いつも以上に気持ちと気合いの入ったこの曲で最高潮の盛り上がりを生み、ツアーファイナルをしっかり締めくくった。本編とは異なる安堵の表情で再登場したアンコールでは、本当に楽しそうな笑顔を見せながら「Dear,Night」を披露し、会場が笑顔と幸福感に包まれる中でフィニッシュ。大団円で大舞台の幕を閉じた。
NightOwlの歴史を物語に例えた時、3人の時代をNightOwlの第一章と考えて、第二章が完結したと言うべきか? はたまた、ここまでの3年間が第一章だったのか? どちらかは分からないけれど、この日でひとつの章が完結して、ここからさらに躍進していく新章に突入したのだろうということは間違いないはず。この物語の先にある、朝の眩い光に向かって、痛快に夜を駆け抜けるNightOwlをここからも見守りたい。

取材・文=フジジュン 撮影=真島洸

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