宮野真守

宮野真守

【宮野真守 インタビュー】
みんなエンタメを求めているから、
その想いに応えたい

“みんなの声はここにあるよ”と
表現して想いをひとつにしたかった

宮野真守

宮野真守

この「THE ENTERTAINMENT」をリード曲に、今作では4曲の新曲が収録されていますが、どの曲もライヴだったりオーディエンスへの意識がうかがえるんですよね。例えば「Butterfly」は一見ラヴソングのように解釈できますけれど、実はファンの人に向けて歌われている曲なのではと。

アルバムのために作った新曲たちは、今回どれもテーマを同一にしたんです。今、自分が考えるエンターテインメントだったり、この状況下でもしっかり前に進めていこうという強い意志を個々に備えながら、曲のジャンルや見せ方でどれだけ変化をつけられるのかをアルバムで表現したくて。もちろん曲をお願いするクリエイターさんの違いでも、いろいろな変化が出るじゃないですか。「Butterfly」をお願いしたSHOWさんともダンスミュージックにラブソング的な要素を入れつつ、引っ張っていってくれる頼もしい男性像みたいなものが描ければ…というお話はさせていただきました。

ダンサブルなサウンドといい、“君”を例えた“Butterfly”というタイトルといい、大人びた色っぽさや華やかなイメージがありますよね。クリエイターの違いという意味で言うと、7曲目の「行こう!」で今年の春に出演された舞台 劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『神州無頼街』の音楽チームが制作なさっているのも新しいです。

劇団☆新感線の新作に出演させていただき、舞台を作った先生たちと今回とてもありがたい絆を結ぶことができたので、ダメもとで楽曲をお願いしたら快諾していただけたんです。そこで作曲の岡崎 司さんにお話ししたのが、ライヴで楽しめる曲であり、歌謡曲がいいなということ。作詞の森雪之丞先生とは、楽しいだけじゃなく寂しさがあってもいいし、今後いろんなことに置き換えられるような曲にしたいというのがテーマでしたね。それが恋愛でもいいし、それこそ生きていく中でのいろんな試練だとか、今、世界を襲っているコロナ禍でもいい。人間どうしても躓いたり、立ち止まってしまうことってあると思うんですよ。その寂しさを一緒に乗り越えてあげられるような曲にしていきたい…というふうに話していきました。

《泣きたい夜は/誰にだってあるよね》という始まりからも、悲しいことやつらいことがあるという事実は引き受けた上で、“明日の自分に逢おう、そして自分にエールを送ろう”という心励まされる応援ソングだと感じました。

ライヴを観に来てくれたこと自体が、そのきっかけになったら嬉しいですよね。なので、ライヴでも楽しめる曲にしたかったですし、そうして足を運んだことが人生のターニングポイントにもなれればいいかなと。

特に今は“ライヴに行く”という行為自体、一歩踏み出すことになりますもんね。まさに“行こう!”というタイトルにも通じますが、ここまでスパッと潔いタイトルも斬新です。

はい。すごく強いメッセージで、シンプルで素敵だと思いました。

そういったアツいメッセージが込められているせいか、ヴォーカルも非常に生々しくて想いが伝わるものになっていますよね。ちなみに「光射す方へ」と「透明」のシングル2曲は、アルバムバージョンでの収録になっていますけれど、そこにはどんな意図があったんでしょう?

もともと「光射す方へ」は今回のアルバムバージョンで楽曲の制作を進めていたんですよ。ただ、シングルの時はTVアニメ『あひるの空』のエンディングテーマとして制作していたので、少年たちの青春だったり、スポーツアニメらしい疾走感を優先していて。シングルに収録された方は結構ロックなイメージが強いアレンジになったので、よりグルーブ感の強いこっちのバージョンもいつか収録したいとずっと思っていたんです。

地を踏みしめるような力強さやスケール感が前に出たバージョンで、さらに「透明」は“with overture”バージョンということですが。これは?

こちらは“映画バージョン”みたいなイメージでとらえていただければ。『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編Paladin; Agateram』の主題歌として、映画のEDで流れる時や、楽曲のミュージックビデオについていたオーバーチュアの部分があるんですけど、それも素敵なので今回みなさんに聴いてもらえればいいなと思い収録させてもらいました。

ピアノで始まりストリングスが入るオーバーチュアなので、ピアノで終わる前曲「EVERLASTING」からの展開もいいですよね。「Dream on」から「Butterfly」と艶っぽい曲をつなげる流れもおしゃれで心が弾みますし、曲順にもこだわりが感じられました。

そうなんですよ。リスナーに楽しく聴いてもらえるような並びは考えましたね。ただ、1曲目とラストだけは、僕の中で最初から決まっていたんです。

12曲目の「TEAM」も新曲で、最後にガヤが入ったり拍手で終わったりと、まさに締め括りに相応しい曲ですが、なぜ最初からラストに持ってこようと思われたのですか?

大団円の曲が欲しかったんです。年末のライヴが3年振りのツアーになるので、チームとしての曲が作れればいいなと。ただ、そのツアーも無発声になることがすでに決まっていて…やっぱり声が出せない状況っていうのは、ファンのみんながつらいと思うんですよ。本当は声を出したいだろうし、きっと一緒に歌いたいですよね。だったら、その想いを投影できる曲を作りたい。“みんなの声はここにあるよ”と楽曲で表現できれば、無発声でもみんなが想いをひとつにできるんじゃないかということで、チームのみんなで声を合わせた合唱曲にしたんです。

曲の中に合唱を入れることで“みんなの声がここにある”ことを示したんですね。コーラスパートでは結構な数の声が聴こますが、もしやスタッフも総動員して?

そうです。ライヴスタッフとダンサーとバンドメンバーと、たくさん入ってもらって。その上で結構声を重ねたりもしていますね。

いつか本当にオーディエンスと一緒に声を出して歌える日がきたら、こんなに感動的なことはないですよね。そんな想いが込められていると聞けば、ご自身で歌詞を書かれているのも納得です。

曲を作っていくうちに“これは自分で書かなきゃダメだな”っていう想いを持つようになったんです。チームの歌なので、それを人に頼むべきではないと思ったんでしょうね。だから、実体験を入れることが大事かなぁと思ってリアルな想いや体験も書いています。

Aメロにはなかなか赤裸々なことも書かれていますが、“ずっと一緒に歌いたい”と本当に泣いたこともあったと?

はい。とはいえ、そこまで赤裸々でもないので(笑)。全然可愛い程度ですよ。

いや、それでもファンからしたら嬉しいですよ。さて、出来上がったアルバムを頭から終わりまで聴いてみて、今はどんなふうに感じられてます?

もうツアーに向けて動き出しているので、やっぱりライヴの姿みたいなものは思い浮かべながら聴いてますね。“どうやって表現しようかな?”とか。

11月に始まるアリーナツアーには“ENTERTAINING!”と名づけられていますよね。

こういう状況下ですから、いろんな面で制限がまだあります。いろいろ考えて、今、自分にできることをやりたいと思っています。チームで準備をしていますので、楽しみにしていただけたら。

取材:清水素子

アルバム『THE ENTERTAINMENT』2022年11月2日発売 KING RECORDS
    • 【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
    • KICS-94084
    • ¥4,620(税込)
    • ※フォトブック封入&スペシャルケース仕様
    • 【初回限定盤】(CD+DVD)
    • KICS-94085
    • ¥4,620(税込)
    • ※フォトブック封入&スペシャルケース仕様
    • 【通常盤】(CD)
    • KICS-4084
    • ¥3,300(税込)

『MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 〜ENTERTAINING!〜』

11/22(火) 兵庫・ワールド記念ホール
11/23(水) 兵庫・ワールド記念ホール
12/03(土) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
12/04(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
12/24(土) 愛知・日本ガイシホール
12/25(日) 愛知・日本ガイシホール

宮野真守 プロフィール

ミヤノマモル:『DEATH NOTE』『機動戦士ガンダム00』『ポケットモンスター ベストウイッシュ』『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズ『ちはやふる』などのアニメ作品に加えて、『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅』などの吹き替えにも出演する人気声優。2008年よりアーティスト活動をスタート。声優、俳優の現場で培った豊かな表現力と類い稀な歌声、そしてダンスを駆使した高いライヴパフォーマンス力を武器に、独自のエンターテインメントを追求し続け、日本武道館やさいたまスーパーアリーナでの単独公演も成功させている。宮野真守 オフィシャルHP

「THE ENTERTAINMENT」MV

「EVERLASTING」MV

「Dream on」MV

「透明」MV

OKMusic編集部

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