ミュージカル『スクルージ』初出演の
相葉裕樹にインタビュー「市村正親さ
んから俳優としての姿勢を学びたい」

ミュージカル『スクルージ 〜クリスマス・キャロル〜』が、2022年12月に東京・日生劇場で上演される。
本作はイギリスとアメリカで上映された英国産ミュージカル映画「スクルージ」(1970年)を基に生まれ、ミュージカル作品としては1992年にイギリスで世界初演された。日本では1994年から繰り返し上演され、市村正親がタイトルロールを演じ続けてきた歴史ある作品だ。
物語の舞台は19世紀のロンドン。ケチで意地悪な老人のスクルージがクリスマスの晩に精霊たちに出会い、過去・現在・未来を旅して運命を変えていく心温まるストーリーとなっている。クリスマスシーズンにぴったりな本作に、今回初出演する相葉裕樹に意気込みを聞いた。
――ご出演が決まったときはどんなお気持ちでしたか?
『スクルージ』は繰り返し上演されている作品です。その中に僕は初めて加わることになるので、新たな風を送り込めたらいいなと。同時に、7年ぶりに市村(正親)さんとご一緒できることがすごく嬉しいです。作品の中でしっかりと責任を果たしていけたらなと思います。
――相葉さんは、ハリーと若き日のスクルージという対照的な2役を演じられます。
1つの作品の中で2役を演じるというのは、これまであまりなかったかもしれないです。対照的な役だからこそしっかりコントラストをつけてパキッと演じ分けることで、2役の違いが生まれてくるのかなと思います。特に若き日のスクルージという役は、スクルージにとっての闇の部分を担うことになります。そこは物語全体としての核の部分になってくるんじゃないかなと。
――稽古に向けてどんな準備をしていきたいと考えていますか?
共演者のみなさんは何度も出演されている方々なので、やれることは事前にやってから稽古場に臨みたいなと思います。まずは台本を読み込んで、なぜこうなったのかというところを考えていかないといけないですよね。『スクルージ』という作品そのものをもっと理解しないといけないなとも思います。楽曲もありますし、事前にやることはいくらでもあります。自分自身どうやって役作りに取り組むかというのはまだ先のことですけれど、稽古場で試せることは何でも試して、役を掘り下げながら作っていきたいです。
>(NEXT)『ラ・カージュ・オ・フォール』共演者との再会
――市村さんとは2度目の共演となりますが、初めて共演された『ラ・カージュ・オ・フォール』(2015年)はいかがでしたか?
『ラ・カージュ・オ・フォール』は僕にとって初めてのグランドミュージカルだったんです。そのときも歴史ある作品に僕がポツンと一人で加わる形だったので、ずっと緊張していました。今回も状況は一緒なので、きっと緊張するんだろうなあと思います。けれどあれから7年が経っていますし、出来ることも増えているんじゃないかなという自分への期待もあるんです。市村さんの現場での居方を見ることができるのが楽しみですし、今回もたくさん学びたいと思います。
――市村さんから今回はどんなことを学びたいですか?
お芝居はもちろんそうなんですけど、やっぱり“俳優としての姿勢”ですね。あれ程のキャリアを持って第一線で活躍し続けている方なのに、決して「これぐらいでいいや」という及第点で終わらせないところ。表現を探求し続けるという、俳優としてのあるべき姿を体現されているのが市村さんなのだと思います。前回共演させていただいたときは自分のことでいっぱいいっぱいで余裕がなかったので、感じ取れない部分もあったかもしれません。もちろん一緒にお芝居や歌を歌うことを通して、市村さんの優しさ、器の広さ、愛情は感じていました。でも、今の僕だったら当時見えなかったものも見えるのかなあなんて思います。
――他にも特に共演が楽しみな方はいらっしゃいますか?
愛原実花さんとは、『ラ・カージュ・オ・フォール』でジャンミッシェルとアンヌとしてペアを組んでいたので楽しみですね。今回、愛原さんはクラチット夫人と過去の精霊という役なので、ガッツリお芝居で絡みがあるわけではないんですけれど。女優さんとしてとても素晴らしい方であると同時に、友人としてもめちゃくちゃ面白い人なんですよ。『グレイト・ギャツビー』の現場でもご一緒だったのですが、「僕と同じ匂いを感じるなあ」って(笑)。戦友としても信頼しているので、またご一緒できるのは嬉しいですし、頼りにしています。
>(NEXT)相葉裕樹のクリスマスの過ごし方は?
――本作は精霊に連れられたスクルージが過去・現在・未来へ心の旅をするというお話ですが、相葉さんが精霊に連れて行ってもらえるならどこへ行きたいですか?
過去ですね。未来は現在の延長線上にあるけれど、過去って普通は行けないじゃないですか。過去の自分が見てこなかった闇の部分や弱さ、そういう蓋をしてきた部分を改め直すには、やっぱり過去を見ないといけないなと思います。 過去を見ずになんとなく生活をしたり仕事をしたりすることはできてしまうけれど、そうすると本当の意味での人間的な成長が止まってしまうような気がするんです。人間って、できればいい部分だけを見ていたいものですが、ちゃんと立ち止まって後ろを振り返る時間も必要だと思うんです。過去と向き合うことで未来を変えることもできると思うので、そのチャンスをもらえるならば、僕は精霊さんに過去へ連れて行ってもらいたいですね。
――『スクルージ』はクリスマスシーズンにぴったりな作品ですよね。相葉さんにとってクリスマスの思い出といえば?
クリスマスは、朝起きたらちゃんと枕元にプレゼントが置いてありましたね。ゲームソフトとか戦隊モノのロボットとか。それがすごく嬉しかったです。小学校低学年くらいまではサンタさんを信じていたんじゃないかなあ。
――今年のクリスマスは『スクルージ』の大千穐楽になりますが、その後はどう過ごしたいですか?
う〜ん、難しい! そのときの自分はどう感じているんだろう? 「あ〜楽しかった! みんなとクリスマスを過ごせてよかったな」と、そしてそのままお正月を迎えるのかなあ。僕、お正月は大事にしたいんです。いつも実家に帰って地元の友達と会うのですが、みんな結婚したり家庭の事情があったりするので「あと何回こうやって会えるんだろう」と考えちゃって。だから、地元に帰省してみんなと会う時間を大事にしています。仕事もプライベートも、結局はその瞬間、瞬間で生きるしかなくて、今与えられているものに対してどれだけ全力で臨めるかということが、次に繋がっていくのかなと思います。楽しく過ごしたいですね!
――2022年最後の舞台に向けて、意気込みをお願いします。
クリスマスシーズンをみなさんと劇場で一緒に過ごせることがとても楽しみです。『スクルージ』は過去に何度も上演されている歴史ある作品なので、しっかり準備をして僕自身も楽しめるラインまで持っていけるように頑張ります。ぜひ、日生劇場に遊びに来てください! みなさんと素敵なクリスマスを過ごせたらいいなと思います。
取材・文=松村 蘭(らんねえ) 撮影=池上夢貢

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