中川大志「観る方をエネルギッシュで
きらびやかな昭和歌謡界にタイムスリ
ップさせたい」~『歌妖曲~中川大志
之丞変化~』インタビュー

明治座、東宝、ヴィレッヂという三社の同年齢の男性プロデューサー三名によって立ち上げられた“三銃士企画”。第一弾は2020年、漫画家・岡野玲子による『両国花錦闘士』を上演した。そして2022年11月6日(日)より、『リチャード三世』と昭和歌謡界をマリアージュした第二弾・音楽劇『歌妖曲~中川大志之丞変化~』が上演される。新作は音楽と笑いとお涙頂戴揃い踏み。作・演出/倉持裕、主演・中川大志というタッグに加え、松井玲奈、福本雄樹、浅利陽介、中村中、山内圭哉、池田成志ら、幅広いジャンルで活躍するキャスト陣が集結した。多くの歌い手が舞台に立ってきた明治座での新たな挑戦に向け、初座長・主演を務める中川大志に話を聞いた。
人を驚かせたり笑わせたりするのが好きなんだと思う
ーーまずは今回の脚本を読んで感じた魅力を教えていただけますか。
今回はシェイクスピアのリチャード三世というハードでディープな作品をベースに、舞台を昭和芸能界に移して作られています。僕の世代からすると、昭和30年代はすごくエネルギッシュで色鮮やかで新鮮なんです。そこに当時の芸能界の仕組みや裏の部分が復讐劇と共に描かれる。光と闇が、僕の演じる鳴尾定/桜木輝彦の役の軸にもなっていくと思います。華やかな世界に血生臭さもあり、脚本からも大きなエネルギーを感じました。人間の内面の深い部分に触れるような残酷さも持ち合わせた作品ですね。
中川大志
ーー念願っての舞台出演ということです。舞台に挑戦したいと思った理由、舞台に感じる魅力を教えてください。
元々ダンスをやっていて、3歳の頃から年に1~2回は舞台に立つ機会がありました。当時はただ楽しくてやっていただけでしたが、幼いながらに舞台上で照明を浴びてお客さんからアクションをもらう経験がすごく鮮明に自分の中に残っていることを、この世界に入って改めて気づきました。やっぱり人を驚かせたり笑わせたりするのが好きなんだと思います。そして、生の舞台はお客さんの前に立つその瞬間に色々なものが凝縮されている。子供の頃から自分の真ん中にある経験だと思います。芝居を始めてからも演劇を見るのはすごく好きで。演劇の先輩方からは「舞台をやるなら早いうちの方がいいよ」とずっと言われていました。今回このような機会を頂けて、本当にありがたいです。
ーー本格的な舞台は初ということで、明治座という歴史ある劇場で座長を務めることに対する思いを教えてください。
先日、取材やこの作品のプロモーションで明治座に行き、改めてエネルギーのある空間だと感じました。明治座は来年100周年を迎えるということで、そこに立たせていただくのはすごいことだと思います。まだ事の重大さを理解しきれていないと思いますが、先人の皆さんに恥じないよう真摯に向き合わなければいけないと思っています。
一緒に作り上げていく時間が今から楽しみ
ーー今年、2作品ほど倉持さんの作品を観られたそうですが、ご覧になった感想や今作で楽しみにしていることなどを教えてください。
僕が『LIFE!~人生に捧げるコント~』で倉持さんの作品に参加させていただいたときも感じましたが、やはり笑いの要素がすごくツボです。今回は復讐劇という大きな軸がある中でどこに笑いのエッセンスが入るのかすごく楽しみですね。リチャード三世から受けるイメージって、悲劇的で残酷で苦しい時間も多いですが、稽古を積み重ねていく中で思いもよらないシーンが笑えたり、その逆だったり、可能性が広がっていくと思います。倉持さんの舞台が好きだからこそ、役やシーンをどんなふうに作り上げて行くのかすごく楽しみです。
中川大志
ーー今回、舞台や映像、歌など様々なジャンルで活躍するキャスト陣が揃っています。皆さんとの共演で楽しみなこと、学びたいことがあれば教えてください。
演劇の先輩がたくさんいらっしゃるので、一緒に芝居できるというただそれだけで純粋に嬉しいです。製作発表会見で皆さんと並んで改めて実感が沸きました。それぞれが向き合っている役は違うけれど、同じスタートラインに立ち、稽古で一緒に作り上げていく時間をこのメンバーと共有できるんだと思うと本当にワクワクします。
ーー今回は福岡と大阪での公演もあります。地方公演で楽しみにしていることはありますか?
劇場が全然違うので、同じ内容でも景色がまた違って見えるのかなと思います。お客さんの熱量やリアクションもまた変わってくるのかなとか、それぞれの場所で感じれるものがあると思うので、すごく楽しみにしています。
未知の経験だからこそのワクワクとドキドキ
ーー今回は音楽劇で、且つ昭和歌謡。歌唱についてはいかがでしょうか。
音楽劇で昭和の歌謡界を舞台にしているので、音楽という要素はすごく大きな柱となります。1年ほど前からボイストレーニングをしていますが、初めての経験なのでまだ分からないことだらけ。共演者の皆さんと話をして、週に9公演やることもあるのはかなりヘビーだと聞きました。48ステージ芝居して歌を歌うという経験がないので、自分の身体がどういう状態になるか読めず、最後まで安心はできないのかなと思います。最終的には歌を通して感情を伝えないといけませんが、まずは身体を鍛えようと思っています。感情があっても身体がついてこないことになるのが一番悔しいので。昭和歌謡については、僕自身昭和の音楽はすごく好きです。この時代の歌い手の方って、ご本人のドラマやステージに立つ姿、人生、背負っているものを含めて音楽として完成している気がします。今回の桜木輝彦もまさにそういうスターなので、光を浴びてマイクの前に立つまでに彼が過ごした時間の積み重ねを音楽にのせられたらいいなと考えています。
中川大志
ーーちなみに、チラシに「中川大志と愉快な仲間達が、唄い踊りまくる音楽劇」とあります。ダンスも多いんでしょうか?
どうなんでしょう(笑)。そこは乞うご期待という感じですね。ただ、楽曲は出来上がってきていまして、詞も曲もものすごく格好良いです。これを生バンドと一緒に奏でることができるのが僕自身すごく楽しみですね。音楽の力も一緒に受け取ってもらえるような作品になると思います。
ーー相関図を見ても個性豊かなキャラクターが揃っています。台本を読んで、共感できたりする登場人物はいましたか?
昭和の芸能界が舞台ということで、ザ・芸能界みたいなキャラが出てくるシーンがあるんです。その時代背景を含めて面白いと思いました。現代とは違う芸能界の仕組みやエネルギーがあって、皆さんキャラが強い。今は昔よりも色々なことが発展した分、生きづらくなった部分もある。でもそこで縮こまってしまうと面白くないのかなと思わされました。根っこにはそれぞれ抱えている闇があるけど、のし上がるための我の強さ、わがままさや自由な感じのエネルギーを持っている。もちろん良いことも悪いこともあるけど、自分たちもそうでなければいけないのかなと思いました。
ーー最後に、楽しみにされている皆さんへのメッセージをお願いします。
僕自身も幕が開いた時、どんな状態で立てているのか今からすごく楽しみにしているしドキドキもしています。素敵な音楽もあり、人間の深い部分を抉るような血生臭さもあり、昭和の芸能界のきらびやかさもありの賑やかで華やかな世界にお客さんをタイムスリップさせたいと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

中川大志

取材・文=吉田沙奈    撮影=荒川 潤

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