MORRIE

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【MORRIE インタビュー】
DEAD ENDに対する
ひとつの区切りでありレクイエム

自分がどこまでできるのかを
試している感じ

MORRIEさんにとってヴォーカリストとしてのターニングポイントは?

特に初期、86年、87年、88年、89年とDEAD ENDのアルバムを毎年1枚ずつ出していましたが、この4枚でもかなり歌い方が変わっているんですよ。DEAD END解散後、ソロになってアルバムを3枚出して、それから10年以上のブランクがありつつも、その時々で自分なりの課題というか、テーマみたいなものがありました。本来的には欲張りというか、ドストエフスキーによるとこういう姿勢が正にデカダンスらしいですが、“ささやきから雄叫びまで、この間を全部埋める!”みたいな、そういう想いでやっていたところが昔はあって、二兎を追う者は一兎をも得ずではないですが、十兎くらい追っていましたね。でも、“三兎くらいは獲得できたかな(笑)。七兎はしょうがないな”という感じです。

今ご自身で課題だと考えていること、挑戦したいことというのは何でしょうか?

やっていると波があったり、スランプがあったりしますよね。僕も何年か前にスランプに陥りまして、ようやく克服してきている感じです。やはりスランプになると、具体的に喉の使い方、舌の使い方、体の使い方を改善しようとする。確かにそれはひとつの方向性なんですが、やはり一番は心の問題が大きいです。理想的なのは、何も考えずに全てが自然発生的に進行していく感じで、分かる人には分かると思うけど、“ここでああしよう、こうしよう”とか思わない。音楽に身を任せて、心を任せて、すべてを任せて、どっぷりと入り込み浸る。“神が降りてくる”とか“無我の境地”とかさまざまな言い方がありますが、本当にそうで、僕の言葉で言うなれば、陶酔とか法悦ですね。僕は音楽に接する時、この陶酔とか法悦の感覚がものすごく重要です。やっている本人がそうならないと伝わらないと思うので。

確かに。それはあると思います。

ただ、その状況に持っていくのが一番の課題なんですよね。昔は音響であるとか、照明であるとか、コンディションであるとか、あらゆる条件が揃わないといけなくて、少しでも気になるところがあったら、気持ちが逸れることが多分にありましたが、最近はコンディションがどうあれ、環境がどうあれ、そのレベルに持っていきたいなと。ただ、それは語弊があるんですよ。作ろうと思って作るものではなく、自然に自ずからなってしまうものなので、その領域です。その時その時の肉体の限界みたいなのがあって、そこと向き合いながらやっています。メンテナンスとかケアはやらざるを得ないし。

それは大事なことだと思います。

“まだできる”という想いがあるんですよ。本当に“どうしてもできない。可能性もない”と思ったら、たぶん辞めると思います。自分がどこまでできるのかを試している感じですね。自分なりのある種、挑戦みたいなものが常にありますし。ここ数年思うのが、“いや、もっといったろ”みたいな。普通に生きていたら、だいたい70歳とか80歳でしょう、こんな歌を歌っていて90歳というのは…いや、歌っていたら面白いと思うんですけど(笑)。100歳とかは現実味がないし。だいたい50歳を超えると、一般的にあと20年、よくできて30年ですか。若い時みたいに漠然と未来がある前向きな感じではなくて、逆に後ろ向きというか、人生を総合する感じに向きが変わってしまう。これは僕に限らず、みんなそうでしょうけれど。だから、もう時間はあまりないなと。本当にやることやっておかないとと思います。と同時に、いつ死んでもいいとも思っていますが。

アルバムの最後を飾る「冥合」の原曲は宇宙を感じる壮大なナンバーですが、今回は本当に削ぎ落とされて、パーソナルな感じを受けました。

この曲は僕がDEAD ENDの全曲の中で、ある意味一番思い入れがあるんです。だから、どうしても入れたかった。2009年に20年振りに復活して、その年の11月に『METAMORPHOSIS』を出したんですが、「冥合」はそのアルバムの最後の曲なんです。『GHOST OF ROMANCE』(1987年9月発表のアルバム)の最後に「SONG OF A LUNATIC」という壮大な曲が入っていまして、2009年に『METAMORPHOSIS』を作っている時、僕はYOUちゃんに“「SONG OF A LUNATICパート2」みたいな曲を作ってくれない?”とリクエストをしたんですよ。普段はそんなことをしないんですけど、それでできたのがこれで。デモテープを聴いた時から“すごい曲だな”と思いましたね。曲自体が持っているパワーというか、ツボみたいなものがあって、そこが来たらダメですね。そういうところってあるじゃないですか。“この曲のここが来たら、もう泣いてしまう”みたいな(笑)。鳥肌が立つとかね。DEAD ENDの何曲かにそのようなポイントがあって、「冥合」はある個所が来ると、ものすごく震撼させられるんです。持っていかれてしまう。曲もすごいんですが、プレイも『METAMORPHOSIS』はドラムがMINATO(DEAD ENDの旧メンバー・湊 雅史)で、あれは彼にしか叩けないと思います。「冥合」は潜在的な可能性をものすごく秘めているので、機会があれば挑んでみたいと考えていて、ソロのバンドで一回やりましたし、弾き語りでも何度かやりました。今回はアレンジを頼んでみて、これはこれでより曲の純粋さを引き出した感じに仕上がったと思います。

MORRIEさんの声も、まるで隣にいるような体温を感じる印象でした。

アコギもほとんど一本で朴訥とした感じで始まって、他の曲ではあまりやってないんですが、サビとかも普通のストロークで非常にシンプルな感じです。僕は基本的に歌う時はある対象がいて、それをいろいろなフィルターを通しつつ、抽象的にまとめ上げるので、あからさまな歌詞は書かないんですけれども、その人に向かって歌うことが多くて。この曲も明確に対象がいるわけですが、そういう意味ではパーソナルで隣にいるみたいというのは、まさしくそんな感じかもしれません。

ちなみに今作のタイトル“Ballad D”にはどういう意味を込めているのでしょうか?

最初からこれだったんですよ。“DEAD END”の“D”。そして、“バラード”じゃなくて“バラッド”。いわゆるバラードというしっとりと静謐なイメージのある曲のことを言っているのではなく、バラッドは本来、物語や寓意性のある歌ということで、“物語を歌い聴かせる”みたいなニュアンスですね。

『Ballad D』という作品はMORRIEさんとってどんな意味を持つアルバムになったと思われますか?

最初のほうで言いましたが、足立"YOU"祐二が亡くなったがゆえに踏みきって作ったところがあるので、やはり僕の中でDEAD ENDに対するひとつの区切りではありますよね。彼に対するレクイエムみたいな部分はすごくありますし。これは岡野さんも言っておられましたけれど、録っている間中、ずっと足立 "YOU" 祐二のことが念頭にあったし、作るにあたって何十年か振りにDEAD ENDの全てのアルバムを通して聴いたりしていると、どうしても追憶的になるというか。ギターにしても、あれだけのギタリストですから並大抵なプレイヤーは呼べないじゃないですか。もちろん岡野さんが最高のおふたりを呼んでくれましたけれどね。SUGIZOにしても、咲人(NIGHTMARE、SEESAW)にしても、ヘザーにしても、足立さんに対するリスペクトは深いので。全てを含めて、何かひとつのけじめ的なものは作れたかなという気はしますね。

取材:キャベトンコ

アルバム『Ballad D』2022年9月7日発売 little HEARTS.Music
    • 【Regular Edition】(CD)
    • LHMH-2019
    • ¥3,500(税込)
    • 【Special Edition】(CD+DVD+フォトブック)
    • LHMH-2020
    • ¥10,780(税込)
MORRIE プロフィール

モーリー:1980年代、伝説のロックバンド・DEAD ENDのシンガーとしてシーンに登場。インディーズシーンで数々の記録を塗り替え、鳴り物入りで87年にメジャーデビュー。4枚のオリジナルアルバムをリリースし、90年1月の活動停止後、本格的にソロプロジェクトを始動。精力的にライヴを展開し、さまざまな音楽性をちりばめたサウンドを発表した。92年にニューヨークに拠点を移し、95年1月の3rdアルバム『影の饗宴』リリース以来、活動をストップしていたが、05年12月にCreature Creature名義でシーンに復帰。09年にはDEAD ENDを再始動する。以降はソロとバンドを並行して活動し、14年1月に20年振りの4thアルバム『HARD CORE REVERIE』を発表。19年4月には5thアルバム『光る曠野』を発表し、ソロ30周年のアニバーサリーを経て、22年9月にはMORRIE自身初となるDEAD ENDセルフカバーアルバム『Ballad D』をリリース。MORRIE オフィシャルHP

「Serafine」Full Version

OKMusic編集部

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