L→R KATSU(Key&Gu)、atsuko(Vo)

L→R KATSU(Key&Gu)、atsuko(Vo)

【angela インタビュー】
一曲聴くだけでいろんな世界観を
味わうことのできる曲が作りたかった

最終的に14ジャンル、
10カ国+1惑星の
世界観が入った曲になった

そして、そんな“普通にいい曲”の次に「アロハTraveling」のような“突拍子もない曲”がくるのは、9月に東名阪で開催されるツアーのためですよね。

atsuko
そうです! ツアーのテーマが“旅”なので、とにかくそれを曲に落とし込んでみようと。
KATSU
コロナの影響で3年くらいライヴがまともにできていなくて、こんな状況の中でライヴに出向くのは都民が都内の会場に行くのであっても旅に出る感覚だろうし。どこかに行きたいっていう欲求も、みんなものすごく膨らんでいると思うんですよ。なので、一曲聴くだけで、いろんな世界観を味わうことのできる曲が作れたら面白いよね…っていうのが始まりですね。

結果、いろんな国のイメージや音楽要素が一曲の中に満載になっていますが、タイトルに“アロハ”、つまりハワイを選ばれたのは理由は?

atsuko
私、ハワイって行ったことがないんですけど、みんなハワイのことが好きじゃないですか。
KATSU
以前、キングレコードの海外担当の人に“世界中でどこが一番良かった?”と訊いたら、ハワイって返ってきたんですよ。僕も一回ハワイ島に行ったことがあるんですけど、確かに“死んだらここに来るのかな?”と思うような楽園感はあったんですよね。
atsuko
あるんだ!
KATSU
うん。パッと見える山が富士山よりも高かったり、溶岩だけの真っ黒な世界があったり、なんか不思議な感じがした。海の色も沖縄より青かったし、観たことのない景色が360度広がっていたんで、“楽園=ハワイ”って言われても納得はできる。
atsuko
そういう話も聞いて、よっぽど良いところなんだろうなと。だから、サビの歌詞はほとんどハワイのイメージで乗り切っています。

ただ、同じサビでも出てくるたびに、ハワイアンからサンバ、演歌、ディキシーランドジャズと、いろんな国をイメージした音やアレンジに変わっていきますよね。さらに、その狭間にはアラビアンやスペイン、スイス、沖縄など、さまざまな地域の情景が音でも歌詞でも描かれていて、まさに世界旅行です。

atsuko
今回は特にタイアップがあるわけでもないので、尺も気にせず自由な発想で“旅”を表現できるとなった時、最初に浮かんだのがディズニーランドのイッツ・ア・スモールワールドだったんです。あれってボートに乗るといろんな国の人形たちが出てきて、流れている音楽もメロディーは同じなのに、それぞれの地域っぽい音色に変わっていくんですよね。とはいえ、ずっと同じメロディーでジャンルだけ変えていくのも微妙なので、サビのメロディーだけ同じにして、それ以外を全部変えたんです。要するに、普通ならAメロ、Bメロ、サビになるところを、Aメロ、サビ、Bメロ、サビ、Cメロ、サビ…みたいに全部メロディーを変えて、そこで世界中のジャンルを網羅できたらいいんじゃないかと。それでパートごとに作っていって、ある程度できたところで“これどう思う?”ってKATSUさんに聴かせたら、“もっとこういうジャンルも入れたほうがいい”とか“他に何が残ってる?”ってノリノリになっちゃって!
KATSU
これでも削ったほうなんですよ。ただ、どんどん世界観を変えていかなきゃいけないというのは、やっぱりつなげていくと辻褄が合わなくなってきて難しかった! もう第二弾はやりたくない(笑)。沖縄と演歌を日本、ハワイアンとジャズとディキシーランドジャズをアメリカ一国でカウントして、最終的に14ジャンル、10カ国+1惑星になりました。

1惑星?

KATSU
あっちゃん星ですね。後半の演歌あたりから様子がどんどんおかしくなって、サビの歌詞まで《アロハオエ》じゃなく《Hey! Hey! Ho!》になっていったりしたから、“じゃあ、あっちゃん星も入れてしまおう!”と。それで最初は普通にatsukoさんで歌っていたところを、あとからアイドルあっちゃん(事務所の後輩であっちゃん星のオムライス村からやってきた17歳)で歌い直してもらったんです。

歌詞のある部分だけじゃなく、演歌とフランスの間にはチャイナっぽい音があったり、隙間を見つけてはどんどん違うジャンルを入れ込んでいますよね。

atsuko
隙間産業! 「アロハTraveling」って日本人が持っている各国のイメージだけで作ったような曲なんですよね。正直言って行ったことのない国もいっぱいあるし、本当のところは分からないけど、“イメージだとこうだよね?”みたいな。歌詞を書く時もスイスなんてアルプスとチーズとハイジしか浮かばなくて、それだけで乗り切ったという(笑)。
KATSU
その音階を聴くと“この国だ!”ってなるものもあるじゃないですか。例えば、ペンタトニックスケールを聴くだけで日本人は中国だと感じてしまう。スイスパートに入っているヨーデルも一応地域固有の民謡ではあるけれど、イメージしていたのは『アルプスの少女ハイジ』だし。あとは、楽器ですよね。例えば、アコーディオンが入るとセーヌ川が浮かぶとか、このパーカッションが入るとサンバになるとか。そんな日本人の勝手なイメージだけでやってるんで、“曲がいいでしょ?”というような感覚とは違って…
atsuko
うん。“いい曲ができました!”とは言えない(笑)。

でも、楽しい気分にはなれるのは間違いないです。19年のキャリアで培われたものが詰め込まれていて、これはなかなか作れませんよ。

KATSU
『蒼穹のファフナー』の音楽をやっている人には作れないかもしれない!

確かに『ファフナー』しかやっていない人には作れないでしょうね(笑)。

atsuko
この曲を作っていた頃に、ツアーの物販でカスタネットを販売すると決めたので、“じゃあ、ジャンルごとにカスタネットの叩き方をレクチャーする動画をアップして、それを観て練習してから来てもらおう”って話になったんです。そういう客席参加型のものとしてとらえれば、さらに楽しめる曲に落とし込めるのかなって。

つまり、ジャンルによって手拍子のリズムも変わってくると。

atsuko
はい、そうです。
KATSU
手拍子だけでジャンルを表現することって、実はできるんですよ。フラメンコ固有のリズムもあるし、フィンガースナップはアメリカの『ウエスト・サイド・ストーリー』とかの世界観だったり、揉み手をするのも日本だけの文化ですよね。“音楽は世界の共通語”って言いますし、みんなでカスタネットを使って世界の手拍子ができたら面白いんじゃないかと思ったんです。
atsuko
ただ、レコーディングだとパートごとに歌うことができたんですけど、ライヴだと一気に全部歌わないといけないじゃないですか。ヨーデルのところとか、私、ちゃんとできるのかな? 結構不安ですね。
KATSU
いや、レコーディングでもヨーデルのあとに沖縄民謡をつなげて歌ったりしていたし。切り替えて歌うの、わりと得意なんじゃない?
atsuko
あっ、これ、KATSUさんも歌ってるじゃん!

フラメンコのところですね。

atsuko
本当は私が全部歌ってたんですけど、ひとりで勝手にレコーディングしたみたいで、気づいたらKATSUさんの声が入ってて! ソロパートとかもあって“あれ? 何それ?”みたいな。
KATSU
スペインのこういう曲って、急に髭の生えた男の人とかが歌い出すイメージがあったから(笑)。

昔の『みんなのうた』とかにそういう曲ありませんでした?

KATSU
まさにそれです! 『みんなのうた』に出てくるようなイメージっていうのは、ミックスの時もエンジニアさんと話していて、“チープでもいいから分かりやすいフレーズがどんどん聴こえるミックスにしてほしい”と。

ライヴでもKATSUさんの歌声を期待してます! ちなみに9月のツアーは“angela Tourism -aLIVE & MESSAGE-”というタイトルになっていますが、これにはどんな想いが込められているんでしょう?

atsuko
昨年5月に『Battle & Message』というアルバムを出して、今までだとアルバムのリリース後は必ずツアーに行っていたのが、コロナ禍で叶わなかったんですね。一応、日清パワーステーション[REBOOT]での配信ライヴというかたちでパフォーマンスはできたんですけど、ツアーで何度も歌って曲を育てていくという感覚を得られなかった寂しさはあって。だから、“何年経ってもいいから『Battle & Message』のツアーはやりたいね”って話はずっとしていたんですけど、それからさらに時間が経って新曲も増えた時に、『Battle & Message』だけじゃないよねと。そこで出てきたワードが“ALIVE”…“生きているから、また会えるよ!”ってことだったんです。2019年末のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)2デイズの最後の挨拶で、KATSUさんが“生きろ!”と言っていたから、そういうのも含め。あとは、やっぱりメッセージを伝えたい、歌を届けたいという部分も合わせて、このタイトルにしました。

コロナ禍でしばらくツアーがやれませんでしたから、ようやく会いに行ける感もありますよね。

atsuko
特に名古屋はすっごく久しぶりなんですよ! ずーっと行けてなかったんで、早々にチケットがなくなってしまいました。
KATSU
コロナの状況も日々深刻になっているので、正直言って不安もありますけど。(取材は7月末)
atsuko
私、あんまり不安じゃないんだよね。
KATSU
そう?
atsuko
だって、不安になってもしょうがないじゃん! 万が一中止になってしまったら振替になると思うから。でも、ちゃんとしたライヴツアーが国内だと4年半振りなので、まずは自分が20曲前後やれる体力をつけないとヤバい! 昨年末に『ファフナー』の曲だけ集めたワンマンをやったとはいえ、『ファフナー』の楽曲ってバラードも多いし、やっぱりウワー!と盛り上がるようなライヴとは違うんですよ。なので、ぼちぼち体力作りを始めています。外が暑くて出られないので、家の中でジャンピングスクワットとかドタバタやっていますね(笑)。
KATSU
イベントだと3曲に体力を100パーセント使っちゃう勢いなんで、20曲分のスタミナをつけなきゃいけないなぁと僕も思っています。思っているだけで、特にまだ何もやっていないんですけど。

忙しいですよね。きっとツアーと並行して、制作しなくてはいけない新曲もたくさんあるでしょうし。

atsuko
あります! まずは『ファフナー』の新作スピンオフ『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』の主題歌を担当するので、またファフソンが増えてしまうという。

確か『ファフナー』に関しては昨年末に集大成的なライヴをやった気がするんですが…。

atsuko
集大成は更新されるんですよ(笑)。そういった新曲もありつつ、今から作る来年の曲もあったりするので、制作の日々はまだまだ続きそうですね。もちろん20周年に向けても何かやりたい!
KATSU
来年が結成30年、しかも5月21日はデビュー20周年という節目で、しかも日曜日なんですよね。なので、みんなの予想を裏切るような何かをやりたいなと目論んでいますよ。

取材:清水素子

配信シングル「Alone」2022年7月27日配信 KING RECORDS
    • ※詳細はオフィシャルHP等をチェック
配信シングル「アロハ Traveling」2022年8月20日配信 KING RECORDS
    • ※詳細はオフィシャルHP等をチェック

ライヴ情報

『angela Tourism -aLIVE & Message-』
9/04(日) 大阪・なんばHatch
9/17(土) 愛知・ダイアモンドホール
9/24(土) 東京・豊洲PIT

angela プロフィール

アンジェラ:低音から高音に伸びる独特のヴォーカルセンスを持つatsukoと、ギターやアレンジなどでその世界観を生み出すKATSUによるユニット。2003年にTVアニメ『宇宙のステルヴィア』の主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。以降、『蒼穹のファフナー』など数々のアニメ作品の主題歌を担当。また、海外イベントへも多数出演しており、世界中のアニソンファンの支持を得ている。17年には初の日本武道館単独公演を成功させ、18年にはデビュー15周年を記念したベストアルバム2枚を同時発売、19年3月下旬よりアジアツアーを、21年12月には17年にもわたってシリーズ全ての主題歌・挿入歌・イメージソングを担当したアニメ作品『蒼穹のファフナー』が完結を迎えることを記念した『蒼穹のファフナー FINAL Fes in パシフィコ横浜』のDay 2にて、“angela LIVE -蒼穹作戦-”と題した豪華ライヴを開催した。angela オフィシャルHP

「Alone」Music Clip

「アロハTraveling」
カスタネット教則動画

【そこまでやる!?
世界中の音楽を詰め込んでみた】
angela「アロハTraveling」
レコーディングメイキング映像

OKMusic編集部

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