タイの学園ドラマで脚光を集めたトー
・タナポップが振り返る、『プアン』
の監督の演出方法「自分の完璧主義な
性格を把握した上で、正解を教えてく
れない」

8月5日(金)に公開される映画『プアン/友だちと呼ばせて』で主要キャラをつとめた、トー・タナポップ。同作のなかでトーは、余命宣告を受けた友人の「最後の願い」をえるため、旅に同行するボスを演じている。ただ、ボス自身もさまざまな過去を抱えており、その旅を通して自分の内面と向き合っていく。大ヒット学園ドラマ『Hormones:シリーズ』(2013〜15)などで人気のトーだが、『プアン~』を手がけたバズ・プーンピリヤ監督との仕事はかなり印象的だったという。その経験について話を訊いた。
トー・タナポップ
――今作のバズ・プーンピリヤ監督は『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017年)で世界中に驚きを与えましたね。タイには、トーさんも出演している『マリー・イズ・ハッピー』(2013年)のナワポン・タムロンラタナリット監督、そして世界的に評価されているアピチャッポン・ウィーラセタクン監督などの活躍も目覚ましいです。そういった状況を、俳優としてどのように捉えていますか。
バズ監督は、今まで出会った作り手のなかでもっとも丁寧で、情熱的でした。その一方で、恐ろしさも感じました。妥協がないんです。だからこそ、一緒に仕事をして自分を成長させることができました。撮影中、自分という存在は監督の手のなかにあったのですが、完成した作品を観たとき「いつかまた、この監督の手のなかに戻りたい」と思いました。ナワポン監督については、『マリー・イズ・ハッピー』はほんの少ししか出演していないので、もっと長くご一緒したいですね。なぜなら、その短い期間のお仕事がすごく楽しかったので。タイの監督たちはそれぞれ、映画作りに情熱を持っているのではないでしょうか。
――バズ監督の妥協のなさとは、どういうところですか。
これは今までの取材で話していないことなんですが、バズ監督は役者ごとに接した方が違うんです。俳優の特性をちゃんと見ていらっしゃいます。私は完璧主義な性格なのですが、「何が正しいかを知りたがる」という性格を把握した上で、監督はあえて正解を教えてくれないのです。そうやって教えてくれなければくれないほど、奇跡のような瞬間が撮れていくんです。
トー・タナポップ
――そうやって出来上がった、トーさんが演じるボスというキャラクターのおもしろさはどんなところにあると思いますか。
私自身、ボスというキャラクターをうまく表現できたと考えています。脚本を最初に読んだときは、ボスのことが可哀想に感じたんです。でも世界の真実として、根っからひどい人というのはいないと思っています。それぞれ、生育の違いが人生に影響を及ぼしているはず。ボスはまさにそれがあらわれている。そこに興味を持ちました。
――ボスの場合は過去の恋愛や家族との関係が人格形成に影響していますね。
ただ、それは誰にでも当たり前にあること。どんな愛情関係であっても必ず傷つくことはある。恋愛だけではなく、家族の愛情が足りないことも彼には大きな影響を及ぼしていますね。

トー・タナポップ
――ボスは挫折を経験して以降、なかなか前に進むことができません。ちなみにトーさんは挫折をしたとき、どうやって立ち直っていきますか。

私もガッカリすることはありますが、ただいつまでも引きずったりしないんです。何に対しても根に持つことはせず、自分なりに解決する方法を見つけるように心がけます。
――ボスの生き方をあらわした音楽も注目ですね。
STAMPさんによるエンディングテーマの「Nobody Knows」のことですね。この曲には英語版とタイ語版(と向井太一がフィーチャリングしている日本語版)の3バージョンがあるのですが、タイ語版はボスの気持ちを表現した内容になっています。歌っているのは、物語の重要な鍵を握るプリムを演じた、ヴィオーレット・ウォーティアさんです。彼女は僕の友だちでもあって、「この曲ってボスのことを歌っているんでしょ?」と尋ねたら、「そうですよ」と。物語とともに、「Nobody Knows」も聴いてほしいです。
トー・タナポップ
取材・文=田辺ユウキ

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