音楽愛に包まれた再スタート!木下百
花が事務所独立後初となるライブをB
illboard Live YOKOHAMAにて開催
2曲目「5秒待ち」、3曲目「グリルパインベーコンブルーチーズアボカド」と奥田がグランドピアノを演奏し、楽曲はいわば“ビルボード仕様”のアレンジに。短いMCの後、4曲目には新曲「とき・めき・馬鹿・みたい」を初披露。岡部のうねるベースラインに吉澤の変則的なドラムビートと、伊東の小気味良いギターカッティングが絡み合う木下流のダンスナンバーだ。これまでと一味違った楽曲のテイストが、再始動までの5ヶ月間の充実ぶりをうかがわせた。
ここからは木下曰く“おしゃれゾーン”。幻想的なバラードの「ひかる」、どこか妖艶で夜を思わせる「悪い友達」と続く。「悪い友達」は去年末にリリースされ、そのミュージックビデオが2週間で150万回再生された、いわば代表曲である。音源では淡々と漂うエレピと洗練されたトラックが印象的であるが、ここでは奥田のエレピを伴奏に、木下がワンコーラスを自分のグルーヴで思いのままに歌い上げるというスペシャルなアレンジで披露。落ち着いた曲調に反比例するかのように、会場の熱量がぐっと上がっていたのが印象的であった。
鳴り止まぬアンコールの拍手の中、再びステージに上がった木下はアンコールのお礼を伝えたのち、ひとりずつバンドメンバーを呼び込む。ゆったりと会場の空気を作った後、アンコールの1曲目に演奏されたのは「SWEET MEMORIES」であった。松田聖子のカバーであるが、これは事前にファンクラブ会員からカバー曲のリクエストを募り、その中から木下がバンドメンバーとともに選曲したものである。普段のライブでは、登場SEとして使用されているこの楽曲を、この公演ではアンコールで自ら歌うというのも、ファンにとっては嬉しい演出だったであろう。続いて、木下と奥田がこの日一緒に音楽を鳴らすきっかけとなった「えっちなこと」を演奏して再始動ライブの幕は閉じられた。
あっという間の70分。それでも「木下百花」というアーティストのこれまでと今が詰まった、そしてこれからの音楽人生を期待させるような、そんな密度の濃いステージであった。木下にとって初めてのBillboard Live公演であったが、ライブが始まるとそんな気負いは全く感じさせなかったし、いつも以上に伸びやかに、そして表情豊かに彼女の音楽を表現していたのではないだろうか。会場がライブハウスであろうが、Billboard Liveであろうが、もしホールであっても、そしてたとえ武道館のステージであったとしても、ぶれずに自分を表現し、会場の空気を自分の輝きで染めていくだろう。木下の、ファンを見る眼差しは、バンドメンバーを見る眼差しは、常に大きな愛で満ちている。だから彼女の歌う姿は美しく輝くのである。そう確信させられた夜であった。
木下百花 撮影:朝岡英輔
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