J ソロデビュー25周年記念、25年前
のセットリスト完全再現ライブで燃や
したロックンロールの炎

PYROMANIA 2022 -pyromania is back-

2022.7.24 Zepp DiverCity(Tokyo)
LUNA SEAのベーシストであるJが7月24日、東京・Zepp DiverCity(Tokyo)にてソロデビュー25周年を記念して、25年前のライブのセットリストを完全再現するというスペシャルライブ『PYROMANIA 2022 -pyromania is back-』を開催した。
LUNA SEAが一時活動を休止していた1997年。各々がソロ活動をスタートさせるなか、Jは同年6月25日、1stシングル「BURN OUT」をまずは世の中に叩きつけ、それに続いて7月24日、初のソロアルバム『PYROMANIA』をリリースした。
すべては、ここから始まった――。
開演前、フロアからは声なきクラップの「J!」コールが立ち上がる。荘厳なSEが鳴り響く中、炎のアイコンが映し出された紗幕が落下すると、プレーヤーのアンプ、ドラムセットに沿って飾られたイルミネーションライトが目に飛び込んでくる。有松益男(Dr)、溝口和紀(Gt)、masasucks(Gt)に続いて、Jがいつものように駆け足でオンステージ。「東京、飛ばしていくぞ!」という言葉を合図に、ライブは25年前と同様、いまやJの代名詞ともいえる「PYROMANIA」で幕を開ける。
97年、ザ・カルト(THE CULT)やミッション(Mission)などでドラムを叩いていたスコット・ギャレット、後にフー・ファイターズ(Foo Fighters)に加入することとなるギタリスト、フランツ・ストール、DOOMのギタリスト藤田高志を従え、重戦車級の迫力で、タフで骨太なロックンロールを国内のメインストリームで奏でていたのはJぐらいだった。そんなクレイジーなJにこの曲で火をつけられたといわんばかりに、オーディエンスが曲中にライターに着火して、感動的な光景を作り上げるこのナンバー。当時、外タレがバラードを歌うとき、ライターの火を揺らすというのはたまにあったものの、邦楽ロッカーのライブで、25年も前からこの光景をずっと作り続けたJファンも、本当にクレイジーである(笑)。
「PYROMANIA」にはザ・カルトのギターのビリー・ダフィー、続いて披露した「BUT YOU SAID I’ M USELESS」にはガンズ・アンド・ローゼズ(GUNS N' ROSES)のスラッシュがギターソロで参加するなど、自分のルーツとなったミュージシャンとともに、当時から洋楽リスナーをも唸らせるような日本人離れした破壊力あるロックンロールの“炎”や“熱”をとことん追い求めていたJ。「BUT YOU~」のようなリフ主体のどシンプルなロックンロールでも、場内を満場のハンドクラップ空間へと導いていけるのは、シンプルだからこそ浮き上がるJのメロディーメーカーとしての才能が曲の根底にあるからこそ。そのメロディーの効力を極力抑え、ロックンロールの熱を内側へと向かって放出していく「ONE FOR ALL」、「A FIT」は感情の負のスパイラルを、ディープなグルーヴにのせ、いまならではの奥深さを感じさせる表現で届けていく。場内に響き渡るJのボーカルもまた、25年前と比べると力強く伸びやかになったのは明らか。説得力がまるで違う。続けて始まった「LOOP ON BLUE」は、ブルースではないのにJのブルースのような芳醇な匂いが感じられて、25年の年輪を感じさせるヴィンテージナンバーに仕上がっていて、曲が終わるとフロアからはそれを称賛するように大きな拍手が贈られた。
「みんな会いたかったぜ!」。歓声がないなかでも変わらず、いつもようにオーディエンスに声をかけるJがいた。この後、今日のライブの主旨を告げたあと「97年のツアー(PYROMANIA TOUR ‘97)に来た人いる?」と観客に問いかけると、ちらほらどころではない多くの人が手を挙げる。そうして、「今日は当時のぶつけようのない憤り、怒りのエネルギーも曲にのせて」と伝えたあと始まったのは「PUNK FLOYD」だった。ぶつけようのない熱が凝縮し、ディープな音の塊となってうねり、転がりながらフロアをじわじわと制圧していったところは圧巻の一言。ここで会場を包み込む濃度が一層増し、一瞬たりとも気が抜けないような空気を張り巡らしたところに「25年前から何も変わらない思いを」といったあと、いまも大切に歌っているバラード「ACROSS THE NIGHT」をドロップ。ミラーボールが回るなか、完全に歌に聴き入る場内。どこまでも力強く聴き手を音楽で導いていき、すべての闇を一掃していくこのときのJは、太陽のような誇り高き存在。夜明けが広がり、場内がポジティブなエネルギーに満たされていくと、なんともいえない穏やかで優しい気持ちに包まれていく。演奏が終わったあともその余韻に浸っているフロアに対して「俺の嫌いな静寂、止めてくれる?」とすかさず一撃を入れるJ(笑)。「ここからはいつも通りいこうか! いけるか!」と叫び、ライブは「WHAT’ S THAT MEAN?」から後半戦へと突入。これで火がついたフロアは、床が恐ろしいほど激しく揺れだす。
ここから、容赦なくアッパーチューンを畳み掛けていくJ。「CALL ME」とタイトルを叫んで始まったこの曲はブロンディー(Blondie)のカバー。「LIE-LIE-LIE」では「東京、そんなもんじゃねぇだろう」といいながらステージフロントを何度も往復してフロアを激しく挑発。「1、2、1234」と声にかえて指でカウントアップするオーディエンスたちにもっと火をつけようと、Jがいきなりベースを床に投げる。ベースを外したJは手のつけようがないのは当時から。昔はそこからフロアに降りたり、飛び込んだりして大暴れしていたJはこの日、上手のスピーカーを登りだした。そこからいまにもダイブしそうな体勢で、フロアを覗き込む。焦ったスタッフがすぐさまスピーカーの裏に駆けつけ、引っ張り下ろそうとするのだが、本人はそんなことお構いなしに楽しんでいる。この後もさらに遊びはエスカレート。ステージに戻ってきたJは、フロアライトを肩に担ぎ、客席を照らそうとするも照明がつかない。そのライトを勢いよく床に投げ捨て、また違うライトを持ち上げるのだが、それも照明がつかずポイ捨て(笑)。当時と同じパフォーマンスで照明チームに「何年ライブやってんだよ!」と笑顔でブチ切れる。こういう姿が、実にロックンローラーとしていまでも絵になる。
そんな永遠なるやんちゃ男、Jを思いっきり発動したあとは、当時から彼のライブにはずっと欠かせない曲「BURN OUT」へ。もう最高だ! 本来ならモッシュ、ダイブ、OIコールが途切れないこの曲から「CHAMPAGNE GOLD SUPERMARKET」(この曲でベースを置いて、当時はよく大暴れしていた!)へとつなげると、フロア後方に“Wake up! Mother Fucker”とペイントされた超大昔のフラッグまで現れ、場内には誰にも止められない熱狂の渦が広がっていく。「何年経っても何年経っても変わらねぇものがあるって、今夜みんなで証明しねぇか?」とフロアを煽るJ。こういうグッとくるフレーズでオーディエンスの胸底を震わせ、観客たちが自分のなかから熱く燃え出てきたエネルギーを衝動として吐き出す。それが、昔から変わらないJのライブのあり方。いまから25年前、Jは初っ端のツアーからLUNA SEAでは見られないようなモッシュやダイブがどんどん沸き起こるエキサイティングな熱狂空間を、オーディエンスとともに作り出してみせた。それは、誰の目にも衝撃的なものだった。この日は、大暴れできない替わりに、観客たちは親指と中指を勢いよく突き出し《DOWN DOWN UP & DOWN》を一丸となって指で歌ってみせ、それを見て笑顔を浮かべるJと心を一つにして、この日もっとも白熱した瞬間を作り上げて見せた。そうして、本編はあっという間にフィニッシュ。
クラップのアンコールに呼ばれ、ステージに現れたJはこの25年前に出した『PYROMANIA』という作品について思いを馳せ「俺にとっては過去のものではなく、いつもここにある。そんな不思議なアルバム」と伝え、「これからもその当時思い描いていたもの、自分の強い意思を絶対に忘れず、とことん突っ走っていこうと思うのでよろしくお願いします」と続けた。そうして、バンドメンバー各々の25年前の姿を振り返ったあと、Jは「みんなの25年にも、ものすごいドラマがあったと思います。そんななかで一つの音楽でこうして愛し合い、高め合っていけるって本当に最高だよね?」とフロアに語りかけたのだ。
「音楽に感謝だよ。そして、みんなにも感謝。そんな人生に出会わせてくれたROCKに感謝」と、感慨深そうに語ったJは「OK! 97年、あの頃もこの曲のカバーをやらせてもらいました」といって、Jの音楽ルーツ形成に欠かせないダムド(The Damned)の「NEW ROSE」とシド・ヴィシャスバージョンの「MY WAY」を溌剌とした表情でカバー。みんなで大いに盛り上がり、大団円のなかこの日のライブは終了した。
しかし、こうしてライブが終わっても、Jを呼ぶ手拍子はどんどん大きくなるばかり(これも当時からの光景)。オーディエンスのパワーに圧倒され、最後に再びJが登壇。呼び続けてくれた観客に向けて深々と頭を下げたJは「また会おうぜ!」と言い残して、ステージを去った。
ライブ中には、この日のライブは映像作品として発売になること、さらに、8月12日に開催する毎年恒例のバースデーライブを急遽ストリーミング配信することも発表した。
今回の記念すべき『PYROMANIA』のツアー再現ライブを通して、25年前とライブ環境が激変しても、こうして変わらないものが自分たちのなかにはちゃんとあることを直に確認しあったJとオーディエンス。これを持ち続けたまま、この先へと進んでいけばいい。そんな未来の光をみんなでつかんだライブでもあった。
Jの放つロックンロールの炎は、まだまだこの先も途切れない――。

取材・文=東條祥恵 撮影=KEIKO TANABE

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