【Lyrical Lily インタビュー】
本を読むような感覚で
聴いてもらえるアルバムになった
DJをテーマに、アニメ・ゲーム・声優によるライヴなどを展開するブシロードのメディアミックスプロジェクト『D4DJ』。同作に登場するユニットのLyrical Lilyが1stアルバム『Lyrical Anthology』を発売する。デビュー2周年を迎えてメンバー仲が一気に深まるきっかけとなった“とある一夜”の出来事から、見事な伏線回収まで、ユニットの笑顔あふれる雰囲気が本インタビューから大いに伝わるに違いない。
私たちの楽曲はある種、
小説に挿入されている一章ごとの物語
6月でデビュー2周年を迎えますが、結成当初とは雰囲気が変わりましたよね。
深川
それこそ最初の頃のレッスンなんて、今から考えるとおかしいよね。“あまねさん”とか全員が他人行儀で名前を呼んでいたし、会話の内容も“今日は学校どうだった?”とか、お互いに壁を作っていた気がする。
反田
確かに。本当にこんな砕けた感じになれたのはつい最近で(笑)。それこそ結成タイミングがコロナ禍に重なって、それぞれレッスンやお仕事もある中、プライベートで会う機会もなかなかなかったしね。あの頃があったから、今はこうして一緒にいる時間も長くなったのかな?
渡瀬
みなさんお待たせいたしました! この女子校の部活感が本当のLyrical Lilyです(笑)。
(笑)。ユニットの歴史を語る上で欠かせない出来事はありますか?
渡瀬
それこそ、ここ1カ月くらいの話になるのですが、5月末に出演した『D4DJ D4 FES. LIVE -ALL IN-』初日公演の夜ですかね。その日の反省会をするために、メンバーがはーちゃん(反田の愛称)の部屋に集まったのですが、肝心の反省会がなかなか始まらず、みんなでめちゃくちゃ雑談をしたんですよ。私たちがあんなに長く話したのも、たぶん初めてだったよね?
進藤
うん。全員が自分の人生を語っていた。その結果、今さら衝撃の事実も発覚したり。
進藤
ちなみに肝心の反省会自体は5分足らずで終わりました(笑)。深夜4時近くまで話していたのに。
反田
2日目のMCの確認くらいだったよね。でも、本当にあのイベントが私たちをこうしてしまったんだ…。
砕けた雰囲気が出来上がったということですかね(笑)。では、そんなLyrical Lilyというユニットをひと言で表すならば?
反田
そうだね。私たちキャストもキャラクターも同じくらいに。それこそ第一印象では“可愛い”と思われがちなのですが、オリジナル曲ではカッコ良さや、反対に特別に可愛い表情を引き出すなど、振り幅が大きなユニットだと思います。あと、私たちについて言えば、全員が揃って“自分がこのユニットでもっともまともな人間だ”と考えているところが、最大のぶっ飛びポイントだなと。
この流れですと、その説明を得意げにしている反田さんがもっともぶっ飛んでいる例に当てはまりそうですが。
深川
ゆーちゃん(渡瀬の愛称)も今、“これは私の話じゃないな”って顔をしていたよ。
渡瀬
いや、私は本気でこのメンバーの中では一番の常識人だと思うよ。
進藤
それだよ、それ! だって、反田さんと渡瀬さんの年長ふたり組はついこの間、新幹線に乗り遅れそうになって。この取材前に“あの時はすごかったよね”と、本人に聞こえるくらい大きな声でその話をしていたのに、渡瀬さんが“何が〜? 誰が走っていたの〜?”と、まるで他人の話みたいに質問してきたんですよ!
反田
ゆーちゃんが頼んだひつまぶしが出来上がらなくてあんな感じになったのに!(と言った瞬間に反田のApple Watchから“Apple Musicを再生しますか?”と音が鳴る)。
反田
なんか持ち主がぶっ飛んでいるせいか、Apple Watchまで鳴っちゃったよ…もう。大変失礼しました!
この雰囲気からもメンバー仲の良さが日に日に深まっていることがよく分かりました。そんな好タイミングで、1stアルバム『Lyrical Anthology』が発売となります。こちらのタイトルを聞いた時の印象を教えてください。
進藤
最初に聞いた時は“漫画でも出すのかな?”なんて勘違いをしました。てっきり、いろいろな絵師さんが集まる本なのかなと。
渡瀬
“コミックマーケットで売るのかな?”ってね(笑)。
進藤
でも、そのおかげで“Anthology”という言葉の意味を初めて知りまして…えっと、何だっけ?
進藤
そうそう!(笑) Lyrical Lilyの楽曲はいろいろな物語をオマージュして作っているので、そうした作品が集まるものなのだなと。
反田
とても文学的で、Lyrical Lilyらしいタイトルだよね。
では、作品としての印象は?
渡瀬
私たちの楽曲はある種、小説に挿入されている一章ごとの物語みたいな曲だから、それこそ短編集のような本を読む感覚で聴いてもらえるアルバムになったんじゃないかと。
深川
ジャケットのイラストもメンバーがゲーム『D4DJ Groovy Mix(グルミク)』第2章の新衣装を着ていてすっごく可愛いよね。
反田
うんうん。『グルミク』にはみんなが読んだ本からオリジナル曲の歌詞を考えるなんてストーリーもあるので、そうしたシーンを描いているのかもしれない。
渡瀬
みんなでまた新しい楽曲を作っているんだろうね!
新曲「ライム畑でつかまえて」はキッチュなシンセの音が特徴的なニューウェイブテイストに仕上がっていますが、この楽曲を歌ってみての感想は?
進藤
途中にファルセットだけで歌うパートがあるのですが、私はレコーディング時の最初の2テイクほどをチェストヴォイス(地声)で歌ってしまって。楽曲を制作してくださったステキミュージックさんから“こ・こ・は! ファルセットで! 歌ってほしいんだ!”とアツく語られました。実はスタッフさんが以前のレコーディング時にみんなにファルセットで出せる音域を尋ね回っていたんです。“何をするのだろう?”と思っていたのですが、まさかこんな素敵な楽曲になるとは。ディグラーさん(ファンの呼称)でファルセットの練習をしたい方は、この歌をぜひ(笑)。
この楽曲で大々的にファルセットを取り入れた理由は聞いていますか?
進藤
ファルセットの歌声を通して、今回のアルバムで“新しいLyrical Lilyを表現したいから”とのことでした。私たちとしても、本当に新たな挑戦をするレコーディングだったと感じています。
反田
実は、私もその部分を最初はチェストヴォイスで歌っていたんですよね。もともと、Lyrical Lilyの楽曲は楽しそうに、明るく元気に歌うことを心がけてきて。“あえて上手に歌わないでほしい”と何度も言われてきたんです。そんな中、「ライム畑でつかまえて」は、むしろやさしく、きれいでさわやかにといった印象が強く、ステキミュージックさんからも“みんなを包み込むように、心を込めてやさしく歌ってほしい”と伝えられて。記念すべき1stアルバムに相応しい一曲になったんじゃないかな?
深川
ちなみに、私は声量的にファルセットが苦手だからか、チェストヴォイスとファルセットを半分ずつ使ったテイクが採用されていました。
渡瀬
両方のいいとこ取りですごく素敵! でも、みんなは最初にチェストヴォイスで歌い始めたんだね。事前にファルセットを使った楽曲を作るお話を耳にしていたから、私は空気を読んだよ。なぜなら、このユニットでもっとも常識のある人間だから(笑)。
反田
またそうやって“ぶっ飛びネタ”を挟んできてさ!(笑) そう言えば、Lyrical Lilyの中でも、瑠華ちゃんの歌声はすごく特徴的で、台詞のような歌詞も多いこのユニットだからこそ、ひときわ目立たせたいフレーズは決まって瑠華ちゃんのソロパートになっていると思う。今回も他3人のファルセットに瑠華ちゃんのチェストヴォイスが重なることで、すごく安心感を得ていたんだよね。
深川
そう思われていたんだ! 意外だな〜。普段はわりとイジられることが多いから(笑)。
進藤
あと、読者の中で絶対に理解してくれる方がいると思うのですが…私自身は「ライム畑でつかまえて」を聴くと、柔らかいティッシュに包まれた感覚を覚えます(笑)。
進藤
うん。タオルじゃなくて、ティッシュ。フワッとしている感覚があって。
渡瀬
この記事の見出しに“ティッシュの曲”って書かれたらどうするよ(笑)。