NOCTURNAL BLOODLUST 新メンバー加
入から2年、ノクブラのサウンドはい
かに進化したのか?

8年ぶりのフルアルバム『ARGOS』を5月4日にリリースしたNOCTURNAL BLOODLUST。“ノクブラ史上最も強力なアルバムに”という意志が込められ、ギリシャ神話に登場する王の名を冠した今作は、Valtz(Gt)とYu-taro(Gt)加入後初のフルアルバムとなる。2人の加入によりノクブラのサウンドはいかに進化したのか? 尋(Vo)、Valtz、Yu-taroに話を訊いた。
――『ARGOS』は現ラインナップでの初のフルアルバムということで、改めて基本的なことから伺います。ValtzさんとYu-taroさんが加入してから、すでに2年になりますが、NOCTURNAL BLOODLUSTとはもともとどのような繋がりがあったんですか?
尋:対バンしてたバンドのメンバーの人たちで、10年ぐらいはずっと知り合いだったんですよ。10年後にこうなるとはわからなかったですけど、もともと交流はあったんですよね。
――お二人はバンドに対して、どんな印象だったんですか?
Yu-taro:NOCTURNAL BLOODLUSTがライブを始めた頃に知り合ってるんですよ。
――新宿アンチノック辺りで出会ったんですか?
Yu-taro:そうですね。自分はもともとメタルコア、ハードコアのバンドと一緒にやってたんで。NOCTURNAL BLOODLUSTは普通に友達で仲良かったんですよね。当時、アンチノック界隈でデスコアって全然いなかったんです。流行ってないどころか、日本で唯一やってたのがNOCTURNAL BLOODLUSTで、結構、話題にはなってたんですよ。
Valtz:僕も対バンで知り合って、音楽性に通ずるものがあったので、わりとすぐに仲良くなって、友達関係みたいになったんですよ。音楽的に好きな方向が同じなのかなと感じたし、いいボーカルのいるバンドだなっていうのが第一印象でしたね。
――現在の編成になってから、一緒に音源制作をしたり、ライブをしたりすることで、尋さんも彼らに関していろんな発見があったと思うんです。
尋:楽曲に関しては、昔のメンバーとは違うものを提供してくれるんですよね。今の自分たちが目指している、行きたい音楽性に通ずるものを求めていくと、この二人が作る楽曲はそこに完璧にハマっていく感じがあって。ボーカルに対しても、自分の声の特性がすごく活かせる楽曲を持ってきてくれてますし。僕も昔よりはラクにできてると思うんですよね、自然体で。
――その“昔”というのは、いつ頃のことですか?
尋:まぁ、人間、やりたくないものってあるじゃないですか。別に声に出しては言わないけど、いろいろ妥協したりとか、それでもどうカッコよく見せるかっていうのはあると思うんですよ。ただ……そこまでしなくていいんじゃないのかなと思う部分もあったんですね。そこら辺を全部取っ払って、いかに自分がカッコよく表現できるか。自然体というのはそういう意味なんだけど、バンドを始めた頃に自分が思い描いていた感じの形にはなってるんじゃないかなと思います。
尋(Vo)
自分が納得できないと……過去のトラウマがあるんで。じっくり考えて歌わないと、すべてが台無しになってしまうから。
――『ARGOS』にも収録されている「Life is Once」「ONLY HUMAN」「Reviver」がシングルとして配信された後にリリースされたミニアルバム『The Wasteland』(2020年12月)は、今、どういった作品に見えるのでしょう?
Valtz:バランスを考えた作品ですかね。自分はテクニカルな曲を持ってきがちで、それに対してYu-taroは叙情系ハードコアの曲を持ってくることが多くて、各々がやりたいことをそのままの形で出してきたところはあるんですが、そういった曲を並べたときに、全体のバランスを整えるのがMasaなんですよ。ライブで映える曲だったり、メロディが映えるバラードだったりを後から持ってきてくれて。
Yu-taro:まさにそういう感じですね。最初のシングルを3曲出してから、すごくあっという間にバタバタしているうちに作っていて、手探りみたいなところはあったと思うんですよ。でも、結構聴きやすいサイズ感で、新しい名刺代わりの要素がある、わかりやすい一枚なんじゃないかなとは思うんですけどね。
尋:『The Wasteland』に関しては、復活した後の一枚として、モッシュとかをしまくってた昔のライブハウスの治安の悪い感じ、あの居場所を取り戻そうって意味での一枚を出したかったんですよ。まだコロナが続いていて、いかんせんライブハウスで暴れていないんで、その治安の悪い景色は見れてないですけどね。その意味では、まだ『The Wasteland』できてないって感じですよね。
――確かに。立体像としての完成形が見えないままの状態ですよね。今回の『ARGOS』に関しては、どんなアルバムにしようと考えていたんですか?
Valtz:どんなアルバムにしようって、あまり決めて制作に挑むことはなくて、誰かがまず突破口となる曲を持ってくるところからスタートするんですね。今回はその最初の曲が「Cremation」だったんですけど、そこからまたバランスを取る作業だったり、それを踏まえて、メンバーそれぞれが感じ取ったイメージで制作を進めていく。ただ、レコーディングと制作を同時進行で進めていくような時間でしたね。
――「Cremation」はどんな狙い、気持ちで書いたんですか?
Valtz:サウンド的にまず8弦ギターをフィーチャーしたかったのと……。
――それはどういう意味ですか? 以前から8弦ギターを使用していましたよね。
Valtz:8弦ギターは配信シングルの「Life is Once」から使ってるんですが、実はフレーズ的に、8弦リフをメインにしたパートというのはそこまで多くないんですよ。たとえば、7弦のドロップフレーズだったりをメインリフにして曲がスタートして、その後にブレイクダウンで8弦で落とすみたいなことをやってたんですね。だから、頭からケツまで8弦ギターをフィーチャーしたリフ、そこから始めてみようっていうところで。疾走曲みたいなものは自分の担当ではないと勝手に思ってるところがあるんですけど、縦ノリの曲を作りたいってところで始まって、かつ変拍子やポリリズムのリフが好きなんですよね。なので、それをいい塩梅で、乗れるところと、聴いていて研究したくなる部分とのバランスを考えながらフレーズを作って、ストックをする作業を去年の夏から秋ぐらいまで、ずっと続けてたんですよ。
――尋さんは「Cremation」に関してはどんな印象でした?
尋:極悪だなと思いましたね(笑)。こう来たかと。ただ、歌に関しては、結局、後回しになったんですね。これはちょっと練らないと、なかなか完成しないなと思って。その間に違う曲の作業もしつつ、何となく形になったときに1回確認してもらって、それに対するフィードバックを元にまた作り直して。そんな中で、何か面白いことができないかなと、ゲストボーカルを呼んでみることにしたんですよ。そこで去年、自分たちのイベントに出てもらったときに知り合ったPK(PROMPTS)が面白いんじゃないかなと声を掛けてみて。PK用の歌詞を作ったのはそこからなんですね。今までフィーチャリングってしたことがなかったんで、ちょっと新鮮なものにはなったのかなと思います。
――PKさんが頭に浮かんだのは、何か理由がありました?
尋:単純に声がいい。あの声が好きだったし、呼ぶならPKがいいなって。パンチ力もありますからね。もともとはYu-taroの知り合いだったんですよ。
Yu-taro:自分は今も変わらず、ハードコアとかメタルコアのシーンでやってきてますけど、最近、モッシュコアとかをやってるPROMPTSがいて、一緒にやれたら面白いかなと思って、イベントにも呼んだんですよね。
――この曲に対してはどんな印象でした?
Yu-taro:何か凄い曲だなと思いました(笑)。でも、デモで最初に聴いた後からオケが入ったりもしたので、印象は結構変わりましたね。最終的にはシネマティックになって。
――このアルバムに向けては、どんな思いがありました?
Yu-taro:シングルのときに書いた「Reviver」の後は、新曲は2曲しか書いてないんですけど、アルバムが全体的に結構ドープな感じになってたんで、キャッチーなものが欲しいなと思って「Straight to the sky」を作ったんですね。僕は結構キャッチーなのも好きなんで。めちゃくちゃ濃いアルバムだなと思いますけどね。
Valtz(Gt)
2021年に十分にやれたかなと思うので、次のフェーズに進んでいきたい気持ちは大きいです。
――「Reviver」は最終的にアルバムの最後に配されていますが、もともとそういう意識で書いたものではなかったんですね。
Yu-taro:そうですね、作る段階では考えてなかったです。でも、曲順は地獄みたいな感じじゃないですか。そこで爽やかな「Reviver」が来て、何か上手いこと終わり感が出たのかなって感じですね。
――その、キャッチーだと言う「Straight to the sky」もLuizaさん(元The Winking Owl)が参加した、フィーチャリング形式でまとめられていますよね。
尋:これはYu-taroのアイディアだったんですよ。女性のボーカルを入れてシャウトに乗せる感じはどうかと。
Yu-taro:そうですね。イメージ的に合うかなと思って。自分はNOCTURNAL BLOODLUSTに入る前からずっとやってるバンドがあって、それもハードコアみたいな音楽なんですね。ほとんどメロディがないんですけども、女性の声をシャウトとかぶせる手法はよく使ってて。今回はこの曲の世界観的に合うかなと思ったんです。
尋:やっぱちゃんとした人がやると(笑)、印象がすごく変わりますね。ずっと前から、自分一人で裏声を使ったりして、女性っぽい声を入れたりしてたんですよね。何とか頑張って、ちょっとセクシーなものをやってみたり(笑)。でも、全然レベルが違いますね。実際にすごくカッコよくなったと思います。サビの広がり感は半端ないし、ただただ叫んでるだけじゃないって感じがあって。
Valtz:ドラマティックですよね。攻撃的だけど、泣ける。「Cremation」とはまた違った方向性で。Yu-taroからは、アルバムの最後に持ってきてもいいんじゃないかってアイディアもあったんですけど、やっぱり新曲なので、最初のほうに持ってきて、サブスクとかでもすぐに聴いてもらえる配置にしたんですよ。ホントにリード曲でもおかしくないぐらいの曲だと思いますね。
――尋さんから見て、こういった楽曲を生み出す二人のコンポーザーとしての個性には、どのような特徴があると思います?
尋:Valtzのほうは、変拍子であったり、複雑なフレーズがすごく多いんですよね。もちろん、そういったバンドの曲を聴いたことはあるんですけど、ボーカルとしては全然体験したことがなかったような曲なんです。だから、それにチャレンジすることで、新しい声の展開も生まれてきますし、何しろ基本的にリズムをしっかり意識しないといけないんですよね。ギターのフレーズ、ドラムのフレーズとかにボーカルを合わせると、こんなにカッチリするんだなって、いろいろ勉強できるところもあって。Yu-taroに関しては、ドラマチックでエモい感じ。そこら辺は昔から知ってる、彼の得意分野ですよね。
――歌詞の世界はどうでしょう? 一時期にまとめて書いてはいないと思いますが、結果的に見えてくる、このアルバムを通してのキーワードのようなものもありますか?
尋:キーワードか……去年だったか、誰かのインタビューで、人間をテーマにって話をしたんですよね。当時はアルバムを作る前、歌詞を書く前だったから、フワッとした感じだったんですけど、結局、人間をテーマにしたものには多分なってはないと思うんです。だから……結構、バラバラですね。すんげえ極悪なやつとか、すんげえ綺麗なやつとか、それぞれの曲の感じに合わせた歌詞にしてるんですよね。
――希望を求めているようなところはないですか?
尋:希望を求めてる曲だとしたら、「Life is Once」とか「Reviver」とかですけど、それはずっと活動できてなかった頃に書いたものなんですよね。多分、新曲に関しては、本当に、殺人、サスペンスであったり、フィクションを書いたりもしてるし、たとえば、「Straight to the sky」だったら、これからいろんな世界に飛び出したいって気持ちで書いたりしてますけど、そのときそのときの気持ちを反映したものになってると思いますね。
――最後に書いた歌詞はどれでした?
尋:「Bow Down」ですね。これは自由を……でも、あんまり言いたくないですね。社会的な情勢を書いてはいるんですけど。
――この1~2ヵ月で言えば、昨今のウクライナ/ロシアに係る問題に触発されて歌詞を書いたと話す人はとても多いですね。表現者として書かずにはいられない衝動がやはりあるようで。
尋:まぁ、そうですね。みんな戦争は嫌ですよね。人間って一人ひとり個性があって、自由があるわけじゃないですか。争い合うのって、すごい愚かなことだと思うし、かといって、それをしてしまうのも人間だし。そんなふうにいろいろ思うこと、人間としての自由っていう本質を忘れないようにと思って書いた歌詞ですね。
――Valtzさんは今回のアルバムを作るに当たって、作曲面において刺激されることはありました?
Valtz:去年のライブ活動は少なからず影響したと思っていて。ライブハウスの爆発力みたいなものを実感できた年でしたし、対バン相手から刺激としてもらえたのもありましたし。ただ、やっぱり一貫して変わらないのは、自分が聴きたい曲を作るというのが根幹にあるということですね。青春時代からメタルを聴いてきているわけですけど、オープニングのSEから2曲目に来るキラーチューンで稲妻が落ちる感覚を求めて曲を作るってところは基本的に変わってなくて。今回作った新曲は、リズムだったり、フレーズだったり、違うタイプの曲ではあるんですが、その感覚を求めているという意味では一貫していると思います。
――今回で言えば、1~2曲目に当たる「The Devastated World」と「Red Soil」は、当初から続き物として書いたものだったんですか?
Valtz:いや、最初はSEがない状態でしたね。曲が何となく揃ってきた段階で、まだSEが1曲もない状態だったので、どの曲にSEがハマるかなと考えたときに、自分がもともと持っているアイディアと結びつきそうだったのが、「Red Soil」だったということです。全体的にシネマティックだったり、ドラマ性のあるアルバムになりそうだなと絵面が見えてきた段階で、その方向をより色濃く表現できる、決定づけるSEを作ってしまおうと。そこで仕上げたのが「The Devastated World」ですね。さっき話に出ていた女性ボーカルについても、打ち合わせたわけではないんですけど、トラックリストでまとめてみたときに、なぜか全員、女性ボーカルを入れるってアイディアが多かったんですよ。たまたまそうなったんですけど、その意味では、好きなこととか、見てたところが少なからずメンバー内で一致してた部分はあるんだと思います。
Yu-taro(Gt)
ラウドミュージックという大きな括りで、もっといろんな人に聴いてもらいたい、知ってもらいたい。
――みんなが同じような時期に、要素としての女声に惹かれたのはなぜだったと思います?
Valtz:今の時期だからっていうのではなく、もともと好きだったんだと思うんですよ。Masaもデモ音源に女性ボーカル的なフレーズを入れてきがちなんですけど、やっぱ、声の帯域の広さですよね。男性では絶対出せないところを出せる。オーケストラで言うところのヴァイオリン的な役割になると思うんですけど、たとえば、キーの高いメロディを作ろうとするときに、これ以上は上が出ないから下のメロディにせざるを得ないという場合もあるんですよ。でも、それでは曲としてもったいないと思うときがあって。そういった部分で制限なく作ろうと思うと、女性ボーカルを採り入れたほうがいい。あとから思うと、そういう感じですね。
――そういった意味でも、音源を作るたびにNOCTURNAL BLOODLUSTの音はより重層化してきてますね。
Valtz:今回のアルバムはそれが顕著だったと思うんですね。わかりやすい曲を作るメンバーと、自分みたいに何回か聴かないと理解できないみたいな曲を作るメンバーが混在しているからこそ、バラエティに富んだアルバムができてる。なかなか珍しいバンドなんじゃないかなと思います。
――「Red Soil」もそういった多彩さを担う一つの要素であり、必ずしもアルバムの冒頭に置くイメージで書いていたわけではなかったんですね。
Valtz:作曲の段階ではイメージしてなかったんですが、曲が完成した段階では、1曲目になるんだろうなって感覚はあって。その後にメンバーと話して、“やっぱりそうだよね”って答え合わせしたというところですね。
Yu-taro:冒頭にすごく似合う曲だと思うんですけど……演奏は難しいです(笑)。パーッとは聴けるんですけど、よく聴くと複雑で。そういうギミックがある曲ですね。
尋:「Red Soil」は、多分めちゃくちゃ(進行が)早かったんですよ。ボーカルラインをすぐに作って。仮歌ができたのは……1週間ぐらい?
Valtz:いや、デモを渡してから2~3日で最初の仮歌を持ってきてた。
尋:いろいろ曲が溜まり過ぎてて、どれも手つかずでみたいなときにこの曲が来たんですけど、“これはいけるわ!”と思って取り組んでみたら、普通にいろいろ降ってきて。すごく作りやすかった印象ですね。
Valtz:“神が降臨した”って言ってましたね。
尋:ただ、ラストのサビだけは、一番最後にできたんですよね。
――クリーンボーカルのパートですね。
尋:そう。めちゃくちゃ時間がかかりました。そこ以外はもうガンガン、ガンガン録っていって。
Valtz:シャウトをハメる作業は、息をするかのごとく、すぐにアイディアを持ってくるところはさすがだなと思います。
尋:クリーンに関しては、やっぱ練りたいっていうのもあるし、その前後のシャウトとかと掛け合わせて、違和感がないものを持ってこないといけないと思ってるんですよ。その直前まで悪魔みたいな声を出してたのに、いきなり普通の声になるわけですよね。そこでの温度を絶対に一緒にしないといけない。デビュー当時とかに歌ってたような感じだと、今になって聴くと、差がありすぎて違和感しかないんですよ。だから、結構、時間がかかりましたね。
――その違和感をドラマティックさだと言い切ることも可能だと思いますが、そうではないということですね。
尋:やっぱり自分が納得できないと……その過去のそのトラウマがあるんで、余計に気を遣うところですね。じっくり考えて歌わないと、そこですべてが台無しになってしまいますから。だから細心の注意を払ってましたね。それができないままレコーディングして、音源として世に出てしまった場合、多分、俺自身が聴きたくなくなっちゃうんで。
――特にこの部分は、エンディングのより重要なパートでもありますしね。
Valtz:尋が言ってたマインドには、すごく共感するところがあって。ああすればよかった、みたいな後悔があると、自信を持って“みんな聴いてくれ!”って言えなくなる。何なら自分でもその曲を一生聴かなくなる。そうならないために、100%の理想は無理かもしれないけど、なるべくそれに近づける、限界まで納得のいくものを作りたいですから。
Masa(Ba)
――作り終えたときは完璧だと思ってても、後々、“あそこはこうしておけばよかった”みたいなものが出てくることがありますよね。それとはまた違うわけですね。
Valtz:はい、それとはまた別の話なんですよ。作っている段階での、もっとこうすればいいんじゃないかとか、本当はこうしたかったのに、みたいな後悔ですね。そこは絶対になくしたいんです。
――今回のレコーディングでも、その辺りはものすごく根詰めて制作していたことが窺えますね。
Valtz:そうですね。事前の準備がすべてだと、つくづく思います。個人的にですけど、レコーディングが始まる前から、エンジニア(STUDIO PRISONERのHiro)に、たとえば、ギターサウンドはこのイメージでというリファレンスも送っておいたんですね。「Cremation」に関しても、オーケストラを入れる構想ができてたので、ミックスも大変になると思いますが、ちょっと覚悟しといてくださいみたいなことは伝えつつ(笑)。前もって言ってあったというのが、よかったなと思いますね。作業量的にトラック数が膨大だったので、ギリギリだったら作り込めなかったと思うんですよ。
――ええ。これはレコーディングの現場を知らない人には伝わりづらいかもしれませんが、それ相応の準備が必要ですからね。
Valtz:そう。「Cremation」のMVは、その時点での超ラフなバージョンを使用して撮影したんですね。でも、まだ理想の半分にも届いていないようなサウンドだったんですよ。だから、このままだとヤバいんじゃないかという思いもあったんですけど、エンジニアからは、“これはまだラフのバージョンですらない、バージョン1ですらないから、ここで判断しないでくれ”と言われてたんですね。だから、ちょっと不安と期待が混ざりつつの心境だったんですけど、その後に上がったラフミックスの一発目を聴いたときに、100%安心に変わったというか。詰めておいてよかったなと思いました。
――「THE ARGOS」というインストゥルメンタルも収録されていますが、アルバムタイトルを“ARGOS”(100の目を持つという、ギリシャ神話に登場する巨人)にしたのは?
尋:これはNatsuのアイディアからですね。
Valtz:最後にアルバムタイトルのアイディアをみんなで持ち寄るんですけど、ズラッと並べた中で、一番色が合うものが“ARGOS”だったということですね。死角なしのアルバムなので、意味合い的にもいいなと。
Natsu(Dr)
――さて、5月7日から本作を引っ提げた国内ツアーが始まりますね。
Yu-taro:初日と二日目は去年も一緒にやったバンドではあるんですけど、名古屋、大阪、東京は初めて対バンするバンドなんですよね。ラウドミュージックという大きな括りで、もっといろんな人に聴いてもらいたい、知ってもらいたい思いがあって、今回のツアーのブッキングを考えたんです。きっと響くものがあるだろうと思うので、それをちゃんとこの先に繋げていけたらなと思ってます。
尋:アルバムを引っ提げてのツアーなんで、まずは新曲たちをいかに料理していくか、どう浸透させていくのかが第一だと思うんですけど、初めましての対バン相手の人たちも多いので、どんな化学反応を起こせるかっていう楽しみがありますし、お互いにすごくプラスになるツアーにしていきたいですね。
――名古屋のヒステリックパニック、大阪のそこに鳴るという共演陣は意表を突くところですね。
Valtz:そこに鳴るは気になってたバンドさんだったので、この機会にぜひと。メタルコアをベースにやってる僕らですけど、だからといって、メタルコア系のバンドだけで対バンを集めようって考えはメンバーみんな思ってなくて、満遍なく広げていきたいんですよね。
Yu-taro:ヒステリックパニックは友達なんですけど、音楽的にヘヴィな一面もあるし、一緒にやれたら面白いんじゃないかなって思ったんですよね。
――『ARGOS』の音をライブで再現……というより、再構築していくことは、バンドとしても楽しみでしょうね。
Valtz:楽曲にしてもサウンドにしてもそうですけど、今回からバンドが一新される感覚はありますね。『ARGOS』の前にリリースした曲をお客さんに伝えるライブは、2021年に十分にやれたかなと思うので、次のフェーズに進んでいきたい気持ちは大きいですし、そういう位置づけのツアーになると思ってます。
取材・文=土屋京輔

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