ReoNa『Naked』で見せたむき出しの自
分と、ささやかな願い「誰にも孤独に
なって欲しくない」

絶望系アニソンシンガーReoNa。彼女が赤裸々にむき出しの自分と向き合って作り上げたE.P.『Naked』が5月11日にリリースされた。傘村トータが提供した新曲3曲と、代表曲である「ANIMA」のセルフリメイクの全4曲。今までにないポップネスと、日常に転がる軽やかな絶望を歌い上げたReoNaに今の心境を聞いた。そして開催中の『ReoNa Acoustic Concert Tour 2022 "Naked"』で発表された来年開催の武道館公演に至るまで、今のReoNaに耳を傾けてみたい。撮り下ろし写真とともにお送りする。
■「生きてりゃいいのよ」って思えなかった時もあった
――今回の「Naked」ですが、意欲作だなと思いました。新曲となる3曲全部が傘村トータさんの楽曲となっていますが、傘村トータさんにお願いした経緯をまずお伺いできれば。
今回「Naked」っていうひとつのコンセプトに向かって、一曲一曲、制作を走った結果、新曲を全部お願いすることになっていきました。
――コンセプトに沿って作っていく中で、結果、傘村トータさんになったという感じなんですね。タイトルの「Naked」は「裸の」とか「剥き出しの」という意味合いを持つ言葉ですが、なぜこのタイトル、コンセプトになったのかもお聞きしたいです。
ここには二つの意味があるんです。まず、今回新曲はアニメの主題歌ではない楽曲が収録される1枚になる。だから絶望系アニソンシンガーという言葉を掲げてお歌を紡いで来て、その伝えたい想いみたいな物をあらためて1歩深くさらけ出す、赤裸々に紡ぐみたいな意味での「Naked」。そしてもうひとつは音色。今作と同じタイトルの全国ツアー「Naked」はアコースティックバンドツアーになるのですが、“ミュージシャンや私が赤裸々に奏でている音で演奏する「Naked」な音”という意味も含めています。
――今度のツアーはアコースティックツアー、そこに向けての音作りという観点も含まれている、ということですね。
はい、今まで「ふあんぷらぐど」や「ハロー、アンプラグド。」という形でアコースティックライブをお届けしてきましたが、ReoNaにとってのアコースティックって何だろうって思った時に、「Naked」って物凄くしっくりくる言葉だったんです。
――なるほど、改めてEPの話に戻りますね。全体的に感じた事は比較的ポップスに寄ってきた曲たちだな、と思ったんですが、これは意図的なんでしょうか。
今までReoNaがお歌を紡いで来た歴史があるからこそ、今回ポップスと言われる物になったのかな、と感じています。
――絶妙なタイミングの1枚だなと思ったんです。もっと早い段階でもこれをリリースしたら路線変更と思われるかもしれないというか。今やる事によって説得力もあるし違和感も無くこの楽曲達が入ってくる。まずこのEP全体に対する印象を聞ければ。
全曲通して振り返って、この1枚に入る事に物凄く意味のある楽曲が詰まった物になったなと思います。この曲がここにいてくれてよかったなって感じというか。
――そんな楽曲達をひとつずつ聞いてきたいと思います。まずは「ライフ・イズ・ビューティフォー」ですが……。
デビュー以来、ずっと取材して頂いている「SPICE」さんにとって「ライフ・イズ・ビューティフォー」を聴いた感想ってどうでした?
――うわ、逆質問になった!(笑) そうですね……僕は曲の感想メモに一番最初に「笑顔を手に入れたReoNa」って書きました。MVも観させてもらって、「もう笑ってもいいんだな」って思ったんですよね。絶望を伝えるのに悲壮感を出さなくても、伝えられる人になったんだなって。
確かに初期のころの楽曲は仄暗さというか、やっぱり痛いよね、辛いよねっていうのは声音やメロディーに詰まっていたな、とは思います。
――歌詞も傘村トータ節というか、日常をちゃんと描いていると思うんです。この曲が来た時の印象はどうでした?
傘村トータさんは同じ事務所なのですが、傘村トータさんが書いた新曲として聴かせていただいた時に、一聴してとてもいい曲だなって感じて、その話を傘村トータさんにもしていたんです。そのころ今回「Naked」の制作もしていたタイミングだったので、この曲をReoNaが今作の収録楽曲として歌わせていただいたらどんな風になるのだろう、というお話から、収録させていただく形になりました。
――そうだったんですね。そこにReoNaさん自身が歌を加えるとなると感じ方も変わってきたんじゃないかと思いますが。
そうですね、全然感じ方が変わってきました。私が歌うとポップに軽やかに絶望を紡ぐ歌になる。出来上がった時にどうなるんだろうとは思い、これは挑戦だな、と。
――歌詞も「あーあ、生きてりゃいいのよ」とかある意味達観していると思うんです。色々大変だけど生きてればいいでしょうって、思ったとしても言えるだけのメンタリティがReoNaさん最初の頃には無かった気がするんです。
「生きてりゃいいのよ」って思えなかった時もありました。この「生きてりゃいいのよ」っていう言葉、これって達観でもあるし、肯定でもあると私は思うんです。私にとっても「生きる」って物凄く大変な事で、生きてるだけでえらいよ、っていう思いもありますし。でも、生きてるだけで丸儲けみたいなニュアンスというよりは、生きる事自体が物凄く尊いことだと思うんです。
――そうですよね。
まさにこの楽曲にあるように、毎日順風満帆に生きていける事なんて本当に無くて、傷ついた事が無い人なんていないし。自分の中では頑張っているつもりでも、ついてない日もあるし。理不尽に襲われる事とかもある中で、それでも生きていられる事の尊さというか……そんな意味の「生きてりゃいいのよ」であって欲しいなと思っています。
――この新しい3曲は、今までReoNaさんが紡いできた「痛いよね、辛いよね、逃げてもいいんだよ」という思いに加えて「逃げれなくても、生きていればいいよ」って言っている曲たちだと思ったんです。「とは言え逃げ切れない時もあるじゃん」というか。傘村トータさんの思いを受けているからだと思うんですけど、聴く人との距離感がReoNaさんは本当に上手だなって改めて思いました。
ReoNaの楽曲って誰かだけの想いだけで出来ているっていう事は絶対にないんです。今作だけでも、傘村トータさん、毛蟹さん、荒幡亮平さん、堀江晶太さん、ミュージシャンの皆さん、……一緒に楽曲を作っていくみなさんと想いを共有したり、ReoNaが伝えたい想いを知ってくださってたりする事によって、縁が重なるような。2人分以上の視点が合わさって1つの作品が出来上がっていると思っているんです。
――それは感じますね。
だから、「とは言え逃げれない時だってあるよね」っていう想いを楽曲から感じていただけたんだとしたら、それってきっと私だけじゃなくて傘村トータさんがこの楽曲にいるからだと思います。
――ReoNaさんの目線だけで出てきた言葉では無い。
私は「辛い事とか受け止めきれない物、立ち向かえない物があるなら逃げてもいいよ」って言ってるし、私自身も逃げてきて今があるって言っている。けど、そのReoNaに対して傘村トータさんが重ねてくれた想いが「とは言え逃げれない人もいるよね」だと思うんです。
――そんな思いが乗っている曲のメロディが、今まで歌ってきた中でもポップな一曲だというのが面白いと思っています。ご自身の中では新しさを感じていますか?
ReoNa的にはすごく新しいと感じています、90年代J-POP的というか。今も90年代のカルチャーって凄く愛されている時代だと思うんです。そこに懐かしさを感じる人もいるし、新しさを感じている人もいる。まずReoNaにとって「懐かしい」って凄く大切な言葉なんです。90年代に懐かしさを感じている人がReoNaの楽曲制作のチームの中にもいて、その思い入れがたくさん入っている曲になっていると思いますし、私としては新鮮でした。
――僕らが学生の時にカラオケで歌っていたような懐かしさを感じる楽曲だから、ReoNaさんからしたら「新しい」ですよね。
曲がフェードアウトしてる感じとか、音の響きの残り方とか。ちょっとキラキラしたサウンド感だったりとか、私はその時代に生きていた訳ではないけど、90年代を感じる空気が含まれているのを感じます。
――歌唱してみてどうでしたか?
難しかったです。楽曲がキラキラしていて軽やかなので、私の歌だけが重く沈んでいるのは違うなと思っていて。でも底抜けに明るく歌えばいいかといったらそういう訳でもないし。
――バランスを取らないといけない。
日々の生活の中に落ちている絶望に寄り添いたいという想いがこの「ライフ・イズ・ビューティフォー」にはあるので。まずそもそも楽曲のキーもどれがいいんだろうって凄く悩んだんです。この曲で挑戦した事は沢山ありました。
――それはシンガーとして成長しているという部分でもありますよね。表現できることが増えている。
少し前の私だったらこの「ライフ・イズ・ビューティフォー」は生まれていないのかなって思います。
■「ひとり」だとしても、孤独になって欲しくない
――そして2曲目は「テディ」です。
この曲は傘村トータさんから2年前に頂いた楽曲なんです。
――そうなんですか?
その時はまだアルバム「unknown」でしかご一緒していなかったのですが、あらためて歌詞を読んでみたら、ReoNa自身に寄り添ってくれている曲だったんです。今この「Naked」をリリースするにあたって、今度はこの楽曲を私自身が誰かに届けたいと思って。今作に収録されることによって、私が歌う楽曲としてお届けする形になりましたが、まず誰よりもReoNa自身に寄り添ってくれた楽曲です。
――ReoNaさんが言われて嬉しかった言葉を、今度はファンにギフトしていくっていう立場になったわけですね。でもご自身へ寄り添ってくれている曲を公開していくというのはどういう気持ちなんでしょうか?
本当に剥き出しだなって思いました。この楽曲は「Naked」に相応しいと思いました。
――なんとなくこれを聴いて「本質は変わってない」って感じたんです。歌い方もそうだし、ReoNaっていうアーティスト自身も変化しているけど、ReoNaの本質は変わってないんだなって直感的に感じたんです。
まずReoNaにとって、「手を引かない」「背を押さない」って凄く凄く大切な言葉なんです。ReoNaっていうアーティストが生まれた時からずっと掲げてきて、でも決して押し付けたい言葉ではないんです。凄く優しいメロディだけど、その思いを載せた強い意志のある楽曲になっています。
――編曲も素朴でいいですよね。今回1曲目は荒幡亮平さん、2、3曲目は堀江翔太さんが担当されています。
共通してお二方ともプレイヤーさんであり、アレンジもされる方です。今回の「Naked」はステージで演奏する事を想像しながら作った1枚になったので、そういう意味では凄くイメージしやすかったです。
――では3曲目「Someday」。最初に聞かなくちゃいけないのは、冒頭から出てくる「タテカワユカ」って誰なんだろう? ってことですね。
この楽曲の主人公であり、誰でもない誰かであり。この「タテカワユカ」は傘村トータさんの優しさでもあると思っています。
――優しさですか。
この楽曲の主人公である誰かの過去を他人に報告する曲にはしたくなくて。誰かを傷つけたい訳でもないし、ただこの歌詞の主人公の過去や想いを楽曲にする事で、寄り添える誰かがいるなら……という想いはあって。
――はい。
今回この「Someday」に関しては、こういう形で楽曲にする事によって、きっとまた誰かが自分を重ねてくれるんだろうなって思っていて。そんないろいろな思いが詰まったのが「タテカワユカ」ですね。
――3曲まとめてお話を聞きつつリフレインすると、傘村トータさんの作りたい物と、ReoNaさんの作りたい物が混ざって出来たものが「Naked」なんだと思いました。ReoNa的でもあり傘村トータ的でもあるというか、聴いていて「そうだよね!」って言える場所が凄く多い。
それがReoNaの根っこだと思うんです。誰かの想いを代弁するような歌が歌いたいし、誰かに共感してほしい。今回「Naked」っていうタイトルが付いているように、赤裸々で剥き出しな楽曲たち。なので、そう言ってもらえるのはやりたかった事がってる実感があります。
――「Someday」では、「朝焼けが綺麗だって震えた事は 結局一度もなかったけど」っていう歌詞がすごく印象的でした。
人って基本「ひとり」だと思っていて。でも「ひとり」だとしても、孤独になって欲しくないんです。私も孤独になりたくないし、誰にも孤独になって欲しくないっていう想いが、今回全ての楽曲通してあると思っています。
――ひとりだとしても、孤独になって欲しくない。
きっと朝焼けを綺麗だと思えない人って凄く孤独だと思うんです。そんな誰かと違うあなたでも、置いていかないよ、というか……そんな人にも寄り添えていたらいいなと思います。
――この3曲の中で、「Someday」は曲に込められた想いが濃い印象がありました。
誰かに届いて欲しいと思える言葉が凄く詰まっていて。ひとりで死んじゃうんだって思ってたし、助けてって言えなかったし、そんな事を感じる事が多かった人生の中で、逃げてきたからこそ今があって。色んな人と出逢えて、お歌がお届け出来ていて、ライブが出来ていて……そんな私が「Someday」で「いつか逃げて逢おうね」って歌えてる。これは過去の私に向けた歌でもあるし、今まさに逃げたい誰かに送る歌でもあると思うんです。私の心の本当に芯のところにある「誰かに伝えたい言葉」みたいなものがこもった一曲です。
■ただ受け取りたいだけの歌。それだけで立ち直れることだってあると思う
――今回の中で一番ReoNa的な楽曲ではある気がします。今お話うかがっていて思ったのは、ReoNaさんの大事なワードである「誰の背も押さない 手を引かない」を凝縮している一曲だなと。このワードがあるから不特定多数の人の傍にいれるんだろうなと。
色んなお手紙とか、SNSとかで人の心に触れる場所って物凄くたくさんあって。私はお手紙って内緒話だと思ってるんですけど、その内緒話だからこそ打ち明けられる、家族や友達にも話した事ないんだろうなって思える話がReoNaに届いたりもするんです。でも私が出来るのはお歌を紡ぐ事しかないから、あらためて責任を持って届けなければいけないと感じます。
――アーティストとしての責任ですね。
ReoNaとして紡いだ言葉やお歌が誰かの心に残る。想いを受け取っても、その人に直接「頑張れ」と背中を押す事は出来ない。その人が逃げたい時は、ライブっていう場所だったり新しいお歌だったりを届け続けていきたいな、と思っています。
――本当に手を引こうと思ったらReoNaさんがパンクしちゃいますよね。
きっとその人は求めてないんです、実際に手を引かれる事を。
――それはReoNaさんがそうだったからでしょうか。
親でも友達でも無い、顔も知らない一方的に話を聞いてくれる人にだからこそ打ち明けられる事があると思うんです。それにリアクションが返って来ちゃうと、「そういう事じゃないんだよ」っていう事もきっとあって、ただ吐き出したいだけの場所。ただ受け取りたいだけの歌。それだけで立ち直れることだってあると思うんです。
――それはそうかもしれないですね。居てくれるだけで幸せって人っていますし。
そうですね。
――そんな3曲続いて最後にやってくるのが「ANIMA-Naked Style.」なんですが、まずこのアイディアはどこから生まれたのかを聞きたいと思います。
元々色んな形でアコースティックライブをやらせていただいてきて、その中で「ANIMA」も「THE FIRST TAKE」を始めとして色んなアレンジをやってきたんですが、その中で、エリック・クラプトンの「いとしのレイラ」(原題:Layla)を聴いた時に、MTVアンプラグドバージョンと原曲で、どっちも凄くかっこいいし素敵な曲で、全然違う曲みたいに聴こえてくるのを聴いて、凄く素敵だなと思ったんです。
――まさかのクラプトンからのインスパイアなんですか…!
今回「ANIMA」でそれが出来るのか私自身もドキドキしてました。ただ今回はレコーディングと全く同じメンバーでツアーが回れるので、ライブに向けても新しい形で「ANIMA」を演奏できる。「ANIMA」は沢山の方に聴いてもらえた楽曲ですし、色んな所で思い出を作ってきた楽曲。なので、全く違う表情で表現することに今回挑戦してみよう、というところからスタートしました。
――これは編曲はNaked Bandってなっていますけど、セッション的に作っていったということなんですか。
そうです。何も決めずスタジオに入って、それこそベースの二村学さんはウッドベースにするのか、フレットレスにするのか? とか。本当に色んな機材を持ち込んでもらって、キーもテンポも決めない、本当に何も決まってない状態からスタートしました。
――「ANIMA」はReoNaさんの曲なんですけど、やっぱり『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld編(以下SAO)』の楽曲という印象が強いじゃないですか。そこがいい意味で脱色されて、純粋なReoNaさんのための楽曲になった印象でした。
原曲の「ANIMA」はサウンドも歌詞もアレンジも音色もメロディも全部が『SAO』の最終章に寄り添いきった楽曲で。今回は、私やミュージシャンの想いを詰め込んだ、今じゃないと出来ない「Naked」な「ANIMA」です。
――フェイクの部分とかもあえて作ってなくて、例え声がしゃがれててもそのまま歌いきってらっしゃいますよね。生のReoNaそのままというか。
本当に「Naked」なReoNaです。
■「ANIMA-Naked Style.」の収録は凄く“バンド”させてもらった時間
――歌唱もこのセッションの流れの中で生まれたものだったんでしょうか。
この楽曲と一緒に長く過ごして来たからこそ、何も意識せず、背伸びするでもなくやれたというか。ミュージシャンのみなさんが方向を示して音色を作ってくださったからこそ、歌もそれに順応していった感じが凄くあります。
――リズムも16分で刻んだり、結構ファンキーなフレーズもありますよね。
今まで私が過ごしてきた時間の、何かが欠けていても今に至れてないなって思います。カントリーが好きだったから「あしたはハレルヤ」みたいな楽曲が生まれたし、「These Days」ツアーをこのメンバーで回って、一緒に過ごしてきた時間があるからこそ今回の「ANIMA」が生まれたし。今回スタジオに丸2日間入って、その中で話し合って試行錯誤しながらアレンジを作っていったんですけど、それも一緒に作ってきた関係値があって、ReoNaっていう存在を理解してくださってるからこそ出来たのかなって。
――その2日間の中で印象的なエピソードって何かありますか?
印象的な事だらけだったんですけど。例えばピアノの荒幡亮平さん。今回アレンジのベーシックになったのがピアノで、荒幡さんに「ANIMAを全く違うイメージで弾いていただけませんか」って無茶振りしてみたら、本当に全く違うプレイングをしてくださって。それも今回のこの新しい「ANIMA」が生まれたきっかけのひとつだったりします。
――荒幡さんの荒ぶるプレイはライブでも見どころのひとつですもんね。
そもそも「魂の色は 何色ですか」から歌に入るか? という部分も最後までみんなで悩んでいたんです。今回はドラムの比田井修さんのカウントから始まってるんですけど、比田井修さんの声が録音に入る事も今まで無かったし。
――終わった後メンバーの歓声も入ってますもんね。
制作中はみんな指が痛くなるまで弾いてます。1回じゃ全然詰めきれなくて、この方向でいけるかなってベーシックを作って、持ち帰ってみんなで練り直したりとか。歌い方も試行錯誤して固めて行って。凄く“バンド”させてもらった時間でした。
――このアプローチで「ANIMA」やってもいいんだ! って驚きがありました。
そうですね、私もこんなに自由でいいんだ! って思いました。
――発売の翌日、5月12日からツアーが始まっていきますが、これはライブで聴きたいですね。
きっとここから本番を迎えるまでにまた変わっていく物も沢山あるし、みんな二度として同じ演奏をする事はないんだろうなって感じてます。「ANIMA」のNakedバージョンを聴いてから会場に来る方もいれば、聴かずに来る方もいると思うんです。そんな人に「これよく聴いたら「ANIMA」じゃない?」って驚いてもらえたらいいな。
――単純に「ReoNa」をコンテンツとして捉えたら、ここまで自由にやってもいいんだって驚きもありますね。
今回を期にReoNaに出逢ってくださる方も沢山いると思いますし、逆に今までReoNaを凄く沢山長くずっと聴いてくださってた方にも、新しい発見をしてもらえるライブになると思っています。私自身にも新しい発見が凄く待ってるツアーになるんだろうな。
■逃げ続けた先にたどり着いた”日本武道館”
――そして、このインタビューが出るときには発表されていますが、来年の春に遂に武道館公演『ReoNa ONE-MAN Concert 2023 "ピルグリム" at 日本武道館~3.6day 逃げて逢おうね~』が決定しました。
走り始めた時から考えると、凄く遠くまで来たんだなっていう感じもありながら、ここからまた加速度を持って走り始められたらいいなっていう……。凄いところまで逃げて来ちゃいました。
――最初、武道館決まりましたって聞いた時どうでした?
現実味を持てなかったです。ただそれを聞いた後に、『リスアニ!LIVE 2022』の日本武道館の舞台に立たせてもらったので、その時に「私、ここにワンマンライブで帰ってくるんだな」って感じました。武道館って物凄く大きい場所なんですけど、お客さんとの距離が凄く近いんです。
――特別な一夜になると思いますし、あの空間にReoNaさんのお歌がどう響くか今から気になりますね。
今までも全部大事なライブだったんですけど、やっぱりひとつの大きな日になると思うんです。「3.6day」、Somedayというタイトル。ReoNaとしてお歌を紡いできたこの3年間があって、今ReoNaのお歌を愛してくださっている、ライブに足を運んでくれる人、CDという形で受け取ってくれる人、日常の中で受け取ってくれる人、ひとりひとりみんなが大切に過ごす1日1日を、3月6日に分けてもらえるように。誰かがあらためてこのお歌を”自分の歌”にしてくれる日にできたらいいなと思います。
――絶望を紡いできたReoNaさんですが、こんなに色んな事が決まってしまったら、絶対に死ねないですね。
そうですね、絶望することもあると思うんです、でも死ねないですね。生きていきます。
取材・文:加東岳史 撮影:大塚正明

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