【この2.5次元がすごい】アニメの世
界が目の前に広がる衝撃 舞台「千と
千尋の神隠し」

千尋:橋本環奈 「千と千尋の神隠し」はいまさら説明する必要もない、スタジオジブリによる日本を代表するアニメーション映画です。世界中で愛される名作が、東宝の創立90周年を記念し舞台化されました。舞台化が決まったときも各国で取りあげられ、実際に開幕してからも大きな話題になっている「舞台『千と千尋の神隠し』」。このコラムでは2.5次元舞台を取りあげているので少し普段とは違いますが、観劇前の期待感を大きく上回る満足度を与えてくれた思いを残したく、千尋が迷い込んだ不思議な町を紹介します。
誰もが知っているキャラクターと出会える驚き
 主演の千尋は橋本環奈さんと上白石萌音さんがWキャストを務めるほか、ハク役は醍醐虎汰朗さんと三浦宏規さん、カオナシ役は菅原小春さんと辻本知彦さん、湯婆婆/銭婆役は夏木マリさんと朴璐美さんがそれぞれWキャストで演じています。私は千尋を橋本さんが、ハクを三浦さんが演じた回を観劇しました。
 橋本さんは今回が初舞台。どんな千尋を見せてくれるのか楽しみでした。千尋にしては美人すぎるのではないかと思いながら劇場に向かいましたが、舞台の上にいたのはまさに千尋! 少しどんくさいけれど、素直でまっすぐな千尋の強さから目が離せませんでした。印象的だったのがカオナシとの向き合い方です。油屋の従業員がお金に目がくらんでカオナシをもてなすなか、千尋だけが欲しいものはそこにはないと断ります。そんな千尋の姿に従業員たちも心を動かされていく……クライマックスに向けての重要なシーンです。
ハク:三浦宏規 また、原作でも高い人気があるのがハクです。千尋に寄りそう凛とした美少年に心を奪われた人は、世界中に一体どれだけいるのでしょうか。三浦さんが演じるハクは人間離れした空気をまとい、たしかに神であると納得できるよう。龍の姿になるシーンでは、美しく回転し舞台で舞う、三浦さんにしかできないハクを見せてくれます。他の役者さんはどう演じるのだろうと、違う組み合わせも観たくなるのがWキャストの面白いところですよね。魅力的な役者さんばかりの、豪華な舞台だとあらためて確認できました。
舞台らしい演出で作りあげられる完成度の高い不思議な世界
千尋:上白石萌音、ハク:三浦宏規 「千と千尋の神隠し」の舞台化を知って思ったのが、あの世界をどうやって再現するのか? ということ。「レ・ミゼラブル」など名作を手がけているジョン・ケアードさんが演出を手がける本作では、舞台上で回転するセットを中心にパペットや音楽を使って世界が作りあげられていました。舞台のためにスタジオジブリが制作した映像がオープニングとエンディングで象徴的に使われていましたが、それ以外は映像に頼らない演出はさすがのひとことです。
 千尋とハクが空を飛ぶシーンではワイヤーなどは使わず、アンサンブルキャストによるリフトで2人の身体が浮き上がります。他にも湯婆婆が怒って顔が大きくなるアニメ的なシーンですら人の手によって表現されているなど、舞台ならではの面白さであの世界観を盛り上げているのがわかります。
 アニメだからこそ描くことができたと思っていた世界が、目の前に広がっているという衝撃。才能あふれる役者とスタッフが集結し、原作を大切にしながら作りあげているんだと感じました。「舞台『千と千尋の神隠し』」は3月29日まで東京・帝国劇場で上演され、その後は全国公演も予定されています。

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