ウォルピスカーター

ウォルピスカーター

【ウォルピスカーター
インタビュー】
“分身”がテーマなので、
多種多様な曲が揃っている

主役よりすごい脇役を
目指したい

その他の収録曲もバラエティーに富んでいて、本当にジャンルの幅が広いですね。

毎回そうなんですけど、“ジャンル問わず”なんです。特に今回は“分身”がテーマなので、多種多様な曲が揃っていますね。自分のヴォーカルは歌唱力より、“飛び道具を持っている”というのが特徴だと思っていて。オリジナル曲は4曲ですけど、それぞれ声色が違うし、使ってる技術も違う。そこは聴きどころだと思いますね。

なるほど。「衝動」はブラックミュージック的なグルーブの曲で、これも新機軸なのかなと。

そうですね。「衝動」はNoz.さんの作詞作曲なんですが、デモ音源のヴォーカルのリズムが意図的に崩されていたんですよ。それをやろうとしたら、それこそグルーブ感のある楽曲に慣れ親しんでいないと、単にリズムがずれているように聴こえるだろうなと。そのタイミングを調整するのがすごく難しかったです。

実際に歌うことで新たな表現を得ることもありそうですね。

それは非常に多いです。「衝動」もまさにそうで、最初はゆるく歌っていたんですけど、ちょっとずつブラッシュアップして、最終的にはうねるような歌い方になりました。

もうひとつのオリジナル曲「素っ頓狂な夜が来る」はチップチューン的なテイストの楽曲で、「衝動」とのギャップがすごいですね。

確かにガラッと変わりますね(笑)。「素っ頓狂な夜が来る」は髙木ますさんに手がけていただいたのですが、ピコピコした音のメロディーで、ドラムにはノイズが入っていて、さらに和のテイストもあるという。レトロなゲームミュージックのような雰囲気なんですけど、こういう曲が大好きなんですよ。個性がめちゃくちゃ強いからEPの中での置き場所に困りましたけどね(笑)。

カバー曲の5曲目〜8曲目はボカロ楽曲の“歌ってみた”ですね。

ゆうゆ)はメロディーがとにかく最高で! 一番やってほしいことをやってくれる曲なんですよ。“ここで上がってほしい”とか“ここに来てほしい”というのを全部やってくれて、聴いていて気持ち良さしかない。ゆうゆさん、すごいです。

そして、「Leia」の作詞作曲はゆよゆっぺさん。彼らしいメタリックな楽曲ですね。

高校時代に組んでたバンドでこういうジャンルをやっていたんですよ。弦のチューニングがめちゃくちゃ低くて、ドラムはツインペダルで、ヴォーカルはずっとデスヴォイスでっていう(笑)。「Leia」を歌ってる時、“そうそう、これこれ!”と思いました(笑)。

メタルもルーツなんですね。

そうですね。バンドで言うとChildren of BodomとかSlipknot…Metallicaもやったかな? その後、日本のバンドだとFear, and Loathing in Las Vegasとか、ピコリーモ(スクリーム+電子音)なんて呼ばれるジャンルが出てきて、男性ヴォーカルのキーがグッと上がったんですよね。

「だれかの心臓になれたなら」(作詞作曲:ユリイ・カノン)も高度なヴォーカルテクニックが必要な曲ですよね。

ユリイ・カノンさんとは以前から親交があって、オリジナル曲(「傀儡マイム」「キャスティングミス」など)を一緒に作ったこともあるんですが、「誰かの心臓になれたなら」はとにかく難しくて。ずっと“いつ歌ってくれるのかな?”と催促されていたので(笑)、意を決して録りました。挑戦の一曲だったんですけど…高すぎますね。ユリイ•カノンさんの感想は、まだ怖くて聞いていないです(笑)。

「魔法少女幸福論」(作詞作曲:トーマ)については?

これまでに発表したCDもそうなんですけど、どの作品でもトーマさんの楽曲を歌わせてもらっているんですよ。今回もまず「魔法少女幸福論」を入れることを決めて、この曲の最高音がhihiD#なので収録曲の最後に置いて。「Leia」がhihiA#、「だれかの心臓になれたなら」がhihiCという感じで、少しずつ高くなっていくんです。

そんな設定が! トーマさんの楽曲を必ず歌うのはどうしてなんですか?

単純に好きだからですね。ボカロPの中でも特に尊敬しているし、本当に大好きなので。「魔法少女幸福論」は2013年の曲で再生数もすごいし、めちゃくちゃ有名なんですけど、最近はカバーする人が少なくて。“みんな、この曲知ってる?”みたいな感じで歌いたいし、リブートさせたい…という体で、自分が好きな曲を歌ってます(笑)。

素晴らしいです! 以前は“目標は特になくて、とにかくいろんなことをやれる人になりたい”とおっしゃっていましたが、今はどうですか?

まったく変わっていないですね。いろんな技、いろんな技術を身につけたいし、主役になりたいというより、例えば“あともうひとり呼びたい”という時にお声がかかる存在でいたいんですよ。そのほうが音楽の仕事を長く続けられると思うし、幅広く活動できるんじゃないかなと。主役よりすごい脇役を目指したいです。

取材:森 朋之

EP『分身 -Bunshin-』2022年3月23日発売 日本コロムビア
    • COCP-41735
    • ¥2,750(税込)
ウォルピスカーター プロフィール

ウォルピスカーター:男性歌い手。“高音出したい系男子”の異名を持ち、トレードマークのハイトーンヴォイスを武器にリスナーを魅了し続けている。実直な“高音”へのこだわりを掲げる“ウォルピス社”社長でもある。2015年に投稿した「アスノヨゾラ哨戒班」(作詞/作曲:Orangestar)の歌唱動画は再生数1,600万回超え、18年に投稿した「泥中に咲く」のMVは6,000万回再生を超え、大きな話題に。23年2月に初の全曲ボカロ曲のカバーアルバム『ひとのうた』を発売。ウォルピスカーター オフィシャルHP

「分身」MV

「ニンジャライクニンジャ」MV

2nd EP 『分身 -Bunshin-』
クロスフェード

OKMusic編集部

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