太田家は、色褪せない「青春」物語の
中へと招き入れ、観ている人たちの心
を10代の自分に着替えさせていた。太
田家主催LIVE「おおた祭り例大祭 レ
ジェンドとおおた!」公演の中から太
田家のライブをレポート!
太田たけちゃんの声を合図に、僕らは14歳の自分に戻り、舞台の上から流れるロックンロールのビートに合わせ、夢中になって飛び跳ねていた。「青春」(↑THE HIGH-LOWS↓ COVER)、何時の間にか僕らは、言葉通りの景色の中にいた。無邪気で、無敵で、でも脆くて、壊れそうで。だけど、やっぱり最強だと思える、真っ直ぐな心で、太田家の演奏や音楽に触れ、あの頃の気持ちのまま夢中になってはしゃいでいた。
次に届けた「赤赤」は、GEEKSのエンドウ.が提供した楽曲。ここでは、エンドウ.がゲストギタリストとして登場。「赤赤」は、太田家ナンバーの中でもとくにアグレッシブさを出した楽曲。荒ぶる感情を、エンドウ.が荒ぶるギター演奏で盛り立てる。太田彩華も、荒々しい演奏に刺激を受け、がなるような声も混ぜ、沸き立つ想いを吐き出すように歌っていた。太田家の、太田彩華の中にあるワイルドな面は、「赤赤」を通して間違いなく増幅していた。
荒ぶる気持ちや勢いを一気に明るく解き放つよう解放感たっぷりに、太田家はメロコアチューンの「じゃぱにーず・いでぃおっと」を演奏。爆走する楽曲の上で、カラッと晴れた気持ちと歌声を太田彩華は走らせていた。彼女の晴れた歌声の熱に引き寄せられるように、フロアでもみんな夢中になってはしゃぎだす。そこには、楽しい祭りの景色が生まれていた。
演奏は止まることなく「クソゲーって言うな!」へ。太田彩華はゲームコントローラー仕様のマイクを用い、舞台の上を右に左に駆けながら、「もっともっとみんなクレイジーになっちゃいなよ」と誘いかけるように声を張り上げ、歌っていた。この曲では、愛らしい面も披露。途中、あまりにもはしゃき過ぎ、マイクのトラブルも発生。そんなアクシデントさえ逆にパワーに変え、太田彩華は舞台の上から絶叫し続けていた。
切々とした太田ひさおくんの奏でるエレピの音色に乗せ、メンバーらが澄み渡る歌声を重ねて届けたのが、卒業ソングとしてお馴染みの「旅たちの日に」。美しい合唱と演奏は、途中から一気に加速。熱情抱いた青春パンクスタイルに進化した。メンバーらの煽りに刺激を受け、拳を突き上げ騒ぐ観客たち。気持ち嬉しく高ぶる歌に触発され、心が騒ぐ。大勢の人たちがこの歌を心の中で歌いながら、背中に授けた翼をはためかせ、心を空に飛ばしていた。
「みんなの明日がもっと強く、もっと優しく輝きますように」。次に歌った「光れ」は、吉崎綾に提供した楽曲。秘めた熱情を駆ける演奏に乗せ解き放つように歌うこの曲は、パッションに満ちた青春パンクをトレードマークにしている太田家にも似合う表情だ。吉崎綾へ送った想いとして記しながらも、ここに綴ったのは、自分たち自身へ言い聞かせ、向きあおうとしてゆく、永遠の夢追い人の太田彩華や太田家らしい意志。熱情を詰め込んだ歌に刺激を受け、気持ちが熱く奮い立つ。熱を抱えた気持ちのまま駆け上がりたい。
止まないアンコールの手拍子を受け、メンバーらはふたたび舞台へ。いろんな人の背中を押すように。一人一人が人生の主人公だからこそ、物語の主人公として輝こうとすることが自分の力や魅力になることを伝えるように、太田家は「シュプレヒコールが眠らない」を歌い、奏でていた。一歩を踏みだせない小さな臆病者たちに向け、小さな心の枷を、この歌は外し、少しだけ前へ踏みだす力をくれる。大きな一歩でなくていい。僅かでも気持ちが前に進んだら、その小さなきっかけが自分を主人公にしてゆく。
最後に太田家は、始まりの歌「名もなき少年の 名もなき青春」を力強く演奏し、青春という眩しい輝きの中で生きることの喜びを伝えてきた。青春の息吹を燃やすように、熱情した気持ちを解き放つよう歌い奏でる姿に、胸が熱くたぎっていた。感情のすべてがぐちゃぐちゃになるくらい、メンバーらと一緒に心の中で声を張り上げて騒ぎたい。何時の間にか光輝いていた”青春”という景色の中へすべての感情をどっぷりと浸らせ、太田家と一緒にその輝きを身体中にまとっている自分がいた。
https://otaya-band.jp/
PHOTO:菊島明梨
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