娘。物語-序章-塚本舞が語るモーニ
ング娘。のマザーシップとは?

ゼロから始まる青春の物語の、最初の主人公は「安倍なつみ」であった……というのは言い過ぎだろうか?

 娘。物語には、幾度もの戦いがあった。メンバー間のパート割やポジション争い、他アーティストとの順位争いなど、常にシビアな戦いが与えられ、その度に物語は厚みを増してきた。そしてマザーシップの顔として、常に戦いの中心にいた安倍なつみ=なっちは、私のヒロインだった。

シャ乱Q女性ロックヴォーカリストオーディション」では、一発即キープ、絶賛されるなど大本命と目されていたにも関わらず落選。一度は挫折したものの、健気に頑張り続け念願のメジャーデビューを掴んだなっち。室蘭の内気な15歳が一躍全国区のアイドルへ。これぞシンデレラ・ストーリー! デビュー曲の歌割争奪戦では、一度は飯田圭織さんにメインをとられるものの、つんく氏の鶴の一声で奇跡の逆転勝利を果たし(そして名言「昨日に戻りたい」を残した飯田さん……)、その後のシングルでもメインを務めることに。

 3rdシングル『抱いてHOLDONME!』では初のオリコン1位を獲得、日本レコード大賞最優秀新人賞受賞に紅白歌合戦初出場など、物語は順調に進んでゆきます。

 しかしここに来て、また大きな困難が。二枚看板をはってきた福田明日香の卒業に伴い、事実上のなっちワントップ制の娘。が始まったのです。なっち以外はコーラス、ほぼソロシングルである『ふるさと』はASAYAN同期の鈴木あみと同日発売となり、プレッシャーを感じるなっち。結果は鈴木あみの圧倒的大勝利となり、再び敗北を味わうことになりました。(おのれアミーゴ!)

 3期メンバーに後藤真希が加入し、8人となったモーニング娘。が発売したシングル『LOVEマシーン』はミリオンヒットを記録。大ブレークを果たしたその裏では、弱気になっているなっちの姿がテレビに映し出されました。前作の惨敗を引きずり、何かと悪い方向にばかり考えてしまうと涙するなっち……。大丈夫だよ、なっち! 僕らがついてるよ、なっち!

 鈴木あみや後藤真希は、常人離れした度胸と大胆さを持ち合わせたまぎれもない〝天才〟ですが、なっちの人間味や苦悩、孤独は、どちらかと言うと〝こっち側〟の人間なんじゃないか、と思わせる(実際はなっちも天才なのですが)魅力となったのです。

 物語の一人称的存在であり、感情移入や共感の対象となる性格……そう、まさに正統派ヒロイン!

 その後モーニング娘。は説明不要の国民的アイドルとして快進撃を続けていくわけですが、プッチモニがデビュー曲からミリオンを飛ばす影で、NYでパントマイムしていたり、映画『ピンチランナー』でほんとにピンチになったり……色々、色々とあったんですよね。でもその度に、ああもうなっちってば! 放っとけない! すき! って愛は増すばかり。

 屈託のない笑顔、凛とした眼差し、暖かな歌声、時たま覗く弱さ……敗者復活から始まったモーニング娘。だからこそ、その象徴は、どんなメンバーが入っても、安倍なつみであるべきなんですよ!(ごっちんはチートキャラ過ぎて……)

 そんな「なっち推し」から始まった私のヲタ人生、その後も運命をなぞらえるように「放っとけない!」基準でアイドルを推すようになったのです。塚本 舞(つかもと・まい)
1990年9月6日生まれ。聖心女子大学文学部哲学科卒。#グラドル自画撮り部書記。
テレビ東京「ゴッドタン」、ハロショ秋葉原店にて行われたトークショー「ハロショ・デラックス」に出演、「HELLO! PROJECT COMPLETE SINGLE BOOK ~ハロー! プロジェクトの全シングルを完全掲載した決定版~ 」に寄稿するなど、ハロプロ研究家としても活動。ニコニコ生放送『塚本舞のアイなま!~アイドルのアイドルによるアイドルのためのニコ生。~』隔週放送中。
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