PENICILLIN、2021年を締めくくるライ
ブは、HAKUEIの生誕祭。そこは、熱狂
渦巻くカオスとロマンスの世界。
「第九」が流れ出し、次第にノイズが混じり出し「第九」の音楽がプツップツッと途切れ、いつの間にかザーッというホワイトノイズだけが流れていた。
途切れた音から、ヘヴィなバンドサウンドが流れ、ゆっくりと幕の開いたその先には、「Lucifer~光をもたらす者~」を演奏するメンバーの姿があった。華々しいメンバーと妖しさが混ざり合う不思議な気持ちへ導く楽曲だ。歌詞には、大切な人を失う狂おしいほどの悲しみが綴られている。切なさを背負いながらも、光を求めるような優しい声で歌うHAKUEI。だが、楽曲は裏腹にヘヴィさを増し、千聖のギターソロから演奏は激しさとスピードを増してゆく。祈りにも似たHAKUEIの歌声も、曲へ煽られるように抑揚していく。千聖、O-JIRO、サポートBASSのChiyuも、煽るような激しい演奏を描き足しながら、このカンバス(空間)へ、これから色濃く染めるに相応しい土台となる色を塗りだしていた。
HAKUEIの「IT’S SHOWTIME!!」の言葉を合図に、荒ぶるゴリゴリのスラッシュメタルな演奏を突きつけ、観客たちを激しく煽った「Just a kiss on your 3rd eye」。続く「REALXXX」では、サビでHAKUEIと千聖のコーラスが混ざり合う「もっと強く もっと深く 君の中で愛し合えば」美しいメロディが会場に響き渡る。興奮と恍惚にまみれながら一緒に絶頂を求めたい気持ちを、これまで以上に攻撃的な演奏を突きつけながら、観客たちへぶつけていった。
「今日は、そう(誕生日)なんですよね」のHAKUEIの言葉にフロア中から起きる拍手。「このステージに立てたことが幸せだと思います」という言葉に、今の情勢を踏まえながらも、ライブを行えることに喜びを覚えるHAKUEIの思いを実感する。
ハウリングする千聖のギター。その音を合図に、唸る重厚な演奏が身体を浸食してゆく。内へ内へと攻める演奏とは裏腹に、HAKUEIは「飛び込め青い空へ」「はばたけ 毒蛾の羽で」と「Japanese Industrial Students」を歌いながら、会場を埋めつくした人たちを高揚した世界へと導いていった。フロアでも,大勢の人が両手をひらひら揺らし、HAKUEIの歌声へ寄り添うように小さな手の翼をはためかせ、心を青空へ飛ばしていた。
アコギの弦を美しく爪弾きながら、千聖が悲しみを背負う旋律を響かせた。ヒリヒリとしたスリリングな演奏と情熱を抱いた歌声が絡みながらドラマを描きだす、ダウナーだが、とても攻めた表情の「SCREAM」。続く「白髏の舞」でHAKUEIは、今にも壊れそうな歌声を悲悲と響かせ歌っていた。とても切々とした曲たちだ。今宵のPENICILLINは、心に渦巻く嘆きと祈り、救いを乞う物語を、この空間に描いていた。楽曲ごとに、いろんな濃い歌の絵の具を用いながら、PENICILLINはSpotify O-EASTという大きなカンバスの中へ、闇に近い黒系の色と熱情した赤系の色たちを交えた濃密な絵を描いていた。
「誰にも負けないダイヤの翼で いつかきっとはばたける」。この会場を眩しい熱狂で染め上げようと届けたのが、「CRASH」だ。虐げられた環境の中、逆境さえも跳ね返す強い意志を持って羽ばたこうとする思いを、HAKUEIは気持ちを前へ前へと突き動かすように歌っていた。暴れ倒す千聖、楽しそうに叩くO-JIRO、「CRASH」という曲が、メンバーや観客たちの心の背中に大きな翼を授けてゆく。
千聖がクリアなアルペジオを弾き出し、沢山のスポットライトの光を浴びながら、HAKUEIは「SOL」を気持ちの内側から沸き立つ熱情を少しずつ零すように歌っていた。破裂寸前の感情を吐き出し続けるからこそ、サビでその熱い感情が爆発し、太陽(SOL)の光のような歌や演奏が眩しく輝き出す、最高のエナジーを感じながら、さらに感情のペダルを全力で漕ぐように、熱情したロックンロールナンバーの「black buddy」を突きつけた。演奏が進むごとに気持ちの筋肉が躍動。心のペダルを力強く踏み込みながら、PENICILLINが作り出した熱情した風が吹く景色の中へ、観客たちを連れだしていった。
MCでHAKUEIは、今年3月に自転車でこけて怪我したことを題材に、みずからへの戒めとして「black buddy」を作ったことを語っていた。そのうえで、今も自転車を愛用し、移動していることから、なぜかヒートテックなど、身につける肌着の話へ。
煽るHAKUEIから、Chiyuが「Oi!Oi!」と観客たちをさらに煽りだす。本編最後にPENICILLINは、熱情ロックンロールナンバーの「SEX」をぶち込み、観客たちを天国まで昇天させようと、次々と激しい音を突き動かしてゆく。HAKUEIの叫び声に合わせ、フロア中から突き上がる拳。たとえ声は出せなくとも、心は何度だってイケる。一緒に熱へ浸っていれば、覚めない夢に溺れ続けていられる。だから、演奏が終わっても、熱い拍手が鳴りやまなかったわけだ。
アンコールで前に、HAKUEIのバースデーイベントを開催。大きなバースデーケーキの蝋燭を一発で消し、ケーキを囲んでの記念撮影へ。アンコールは、懐かしい90年代の人気曲を二連打。先攻は、「HUMAN DOLL」。気持ちを熱く開放する、ポップハードロックナンバーだ。千聖の弾く、気持ちを大きな世界へと連れ出す美しくも野太い旋律に心が躍る。HAKUEIも、光を携え軽快に走る楽曲に乗せ、沸き立つ思いを解き放つように、モニターに足を乗せ、心弾ませながら歌っていた。心地好く弾むハード&ロックンロール曲に刺激を受け、フロア中の人たちも右手を突き上げ、一緒に眩しい輝きの世界へ飛びこんでいった。
後攻で飛びだしたのが、PENICILLINからの。何より、HAKUEIからの熱情した愛のプレゼント曲の「ロマンス」だ。フロア中でも、大勢の人たちがHAKUEIの歌に合わせて手を揺らし、彼が与えた情熱的な歌の口づけを全身で受け止めては、熱情した思いにして舞台上へ返していた。いや、そんな生ぬるいものじゃない。互いに、愛を確かめあうように、深くて熱いディープな感情を交わしあい、彼らは至福の喜びと興奮を覚えていた。
PENICILLINは、結成30周年を記念し、2022年2月12日と13日に新宿ReNYでワンマン公演を行う。どんな30周年に相応しい公演になるのか、とてもとても楽しみになってきた。
PHOTO:折田琢矢
2月12日(土) 新宿ReNY
2月13日(日) 新宿ReNY
サポートBASS:Chiyu
【FC[QUARTER DOLL]会員先行(抽選)】
【MOBILE FC会員先行(抽選)】
【オフィシャル先行(抽選)】
【一般発売(先着)】
セットリスト
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