主謀者翔馬は、闇の先に光があると語
っていた。今の僕らの一寸先にあるの
は熱狂だ。いや、すでにその渦中の中
で理性を壊し、騒いでいた。単独公演
「逆襲の篝火」レポート!
勇壮に、高らかに鳴り響く「解錠」(SE)に乗せ、主謀者翔馬が舞台へ姿を現した。彼は異端な世界から想いをぶつけ、その生き様を王道に変えてやろうと意気込むように「ルサンチマン」を歌い出した。荒ぶる楽曲の上で、彼はロックオペラ歌手となり、渦巻く赤黒い感情を解き放つように歌っていた。揺れ動く気持ちの導くまま、沸き立つ想いのままに歌い上げる。主謀者は、冒頭から表情豊かな舞台劇を、この空間に描き出していった。
「飛べ!!」、主謀者翔馬の声を合図に流れ出した「真贋見据えし我が思想」に合わせ、フロア中の人達が拳を振り上げ、跳ね出した。凛々しく、スリリングな楽曲の上で彼は甘く誘う声で歌っていた。楽曲は身体を刺激するが、彼の歌声は見ている人達の心を引き寄せ、甘いまどろみの虜にしてゆく。何が真実か…その答えはわからない。でも、気持ちや身体が引き寄せることが、今の自分が感じている真贋見極めた答えなんだと思う。それが踊り騒ぐ姿なら、その答えを素直に受け止めよう。
「諸君の心を高ぶらせる」の言葉に相応しい楽曲の登場だ。主謀者翔馬は、次々と言葉を繰り出し「ピグマリオンスピーチ」を説法する。キリッと強い視線でフロアを見つめながら、彼は次々に希望や救いになる言葉をぶつける。あえて凛々しく、力強い言葉を突きつけることで、その言葉へ強い説得力を持たせようとしていた。主謀者翔馬の言葉の煽りに触発され、フロア中から多くの拳が突き上がる。この集会、なんて心を赤黒く染め上げる熱を抱いているのだろう。心がどんどん暴走のモードに染まってゆく。
当たり前が当たり前じゃなくなった、この約2年間。そこで命を落としてしまった人達もいる。「名もなく散っていった英霊達に心からの敬意を」と言葉にしながら、空の彼方へ旅立った英霊達へ敬意を示そうと「名も無き英霊」を歌い始めた。攻めたアグレッシブな楽曲とは裏腹に、彼は胸の内側から沸き立つ気持ちを捧げていた。それが英霊達へ向けた鎮魂の想いだとでも言うように。
「忘れたくない思い出がある 忘れたくない後悔がある 忘れたくない温もりがある 忘れたくない屈辱がある」。忘れたくても、人は忘れることなんて出来やしない。忘れたくないことも、ずっと記憶の中へしまっておきたい。でも……。彼は「忘失」を歌いながら、いろんな思い出の風景へ黒いフィルターをかけてゆく。それでも透き通って見える姿だってある。途中、マイクを外し、生声で熱唱する場面も見せていた。言葉を、言葉の力を信じている彼だからこそ、様々な矛盾を抱えた感情さえ全て肯定するように、消せない想いとして…消したくない想いにしながら歌っていた。
「必ずやってくる終わりに向かって」、主謀者翔馬は「エンドロールが呼んでいる」を歌っていた。終わりの景色に、終わりの物語から感情を遠ざけようとするほどに、終わりを意識してしまうのはどうしてだろう。主謀者翔馬は歌っていた、「聞こえるか 聞こえるか エンドロールが呼んでいる」と。そこへ向かうことへ抗う気持ちを抱きながら、声を荒らげ、抵抗の姿勢を向けていた。
心病んだ祭り人達と共に絶望の宴を楽しむよう、主謀者翔馬は「断頭台」を歌っていた。この宴に集った一人一人が自らの生き恥を晒し、それを皆で宴の肴にしながら、痛みを恍惚に変えるように楽しんでいた。
ライブも終盤へ。絶望の空間へ希望となる光を灯し、その灯火を先に向かう道標へとするように、主謀者翔馬は「灯火」を歌う。この歌は、病んだ闇の世界の中での希望の灯火となる。その灯火になり、いろんな人達を導く道標になっているのは主謀者翔馬自身だ。彼の歌い叫ぶ一つ一つの言葉が、時に救いの言葉として、時に胸を突き刺す刃となって心に響く。彼はいつだって光の中へ手を伸ばしている。掴んだその先から、仲間達へ歌声の手を差し伸べている。それを、あなたは掴めるのか…。灯った明かりを見つけられるのか…。
激しく身体を揺らし、満たされない想いを埋めるように、主謀者翔馬は荒々しい姿で「渇望」を歌っていた。「限界は誰が決めた 限界はキミが決めるんだよ」と主謀者翔馬は歌っていた。まさにその通りだ。気持ちが渇望する限り、限界なんてものは生まれない。主謀者翔馬は、満たされない、物足りない感情へ、足りない感情の欠片を当て嵌めるように熱唱していた。渇望する気持ちへ導かれるままに歌い、煽っていた。
「いつしか俺たちは知るんだろう。この世界の終わりと始まりを それでも叫び続けたいんだ。剥き出しの言葉で」。主謀者翔馬は、高らかに「狼煙を上げよ、其の身を燃して」を歌い出す。「拳をくれ!!」の言葉に気持ちを煽られた観客達が、力強く、天高く拳を突き上げる。たとえそこが絶望に支配された世界でも、生きる意志を示す人達の拳が狼煙のように上がるなら、その拳を集め、この世界に希望というフロンティアを築けばいい。一人一人の小さな声が集まれば、世界を焦がす力に変わる。それを知っているからこそ、主謀者翔馬は感情を剥き出しに歌い続けてゆく。
「飛べ!!」。荒ぶる音が牙を剥いて襲いかかる。凛々しい姿で「暗中模索」を歌い、フロアに熱狂という景色を作り上げる。このまま熱情に身を焦がしながら溺れたい。「一寸先には何がある?」と主謀者翔馬は問いかける。彼は、闇の先に光があると語っていた。今の僕らの一寸先にあるのは熱狂だ。いや、すでにその渦中の中で理性を壊して騒いでいた。
主謀者翔馬は、2024年初頭に東京キネマ倶楽部で行う予定の単独公演を目指し、物語を描き出す。2022年12月17日には、初台DOORSでワンマン公演「ピグマリオンリベレイト-英断か蛮勇か-」を開催。それを足掛かりに、夢へ向かって進み続けてゆく。それが「英断」か「蛮勇」か。今はまだわからない…。
本編最後に主謀者翔馬は、手にした扇子を振り、フロア中で扇子を振る踊り子達と一緒に「英断か蛮勇か」を歌い、自らの未来にエールを送っていた。その決断に勇気の風を吹きつけるように、観客達の視線のその先を…自ら見据えた未来の景色を見るように、気持ちを鼓舞しながら歌っていた。
最後に主謀者翔馬は「死なば諸共」を歌いながら、この空間に赤黒い熱情した色を塗り重ねていった。誰もが心の中で思い思いに叫び、最後の最後まで共に熱狂を貪りながらも分かち合っていた。
少し先の未来へ、いくつかの挑戦という夢を掲げた主謀者翔馬。その景色の先に少しでも興味を示したなら、主謀者翔馬の声に、動きに、その身を、心を寄り添えてくれ。
PHOTO:kanoh
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主謀者翔馬 NEWデジタルシングル音源
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主謀者翔馬
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