和楽器×オーケストラ×舞踊×歌唱に
よる、新たな和洋コラボの出発点 和
×洋コラボレーション・コンサート『
ワブヨウネ』公演レポート
さて、和を奏でるのは尺八とオークラウロの大河内淳矢、洋はストリングスと管楽器、パーカッション、そしてKOHKIのギター。コンサートは、この編成による『和舞洋音プレリュード』から始まった。和と洋の融合なのに“秋の調べ”という言葉が自然に浮かんでくる。
辻博之とコンサートマスター・佐藤恵梨奈(左手前)によるピッチカートについての紹介
たとえば、大河内淳矢が作曲した『悠久の天地』の後は、尺八の歴史を簡潔に紹介しつつ、さらに伝統的な竹製の尺八とメタル製の尺八の音比べするのだが、その違いが意外にもよくわからない。また、尺八とフルートの聴き比べもしたが、同じではないことはわかる。尺八は、首を振る横ユリによって独特のビブラートを奏でるので、そこに大きな違いはあるけれど、音色は似ている。これが心地好い戸惑いなのか。でも、似ているからこそ思うのは国や文化は違っても求めた音色は、そう違わなかったということ。そんな勝手な想像にうれしくなってくる。
大河内淳矢による尺八についての紹介
その一方で、雅楽『平調調子(ひょうぢょうのちょうし)』で笙と篳篥が登場すると、楽器の存在、それぞれ奏でる音色の意味などは知っていても、平安時代の楽器は、全く異次元の世界にあるものとの認識を新たにする。と同時にあらためて私達は、もっと知るべき音世界なのだと思う。雅楽は、男性ばかりで組織された宮内庁式部職楽部のイメージがあるので、今回演奏するのが笙は東田はる奈、篳篥は國本淑恵と、女性2人であることも新鮮に感じられる。
『Rhapsody in Innovation』
その模様が配信されると聞いた。配信の映像の良さは、演奏の手元や口元がはっきり見えること。それによりトークの内容がより深く理解できるはずだ。それを私も楽しみにしている。
文=服部のり子 撮影=SHINGO Yoshizawa
SPICE
SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。