リー“スクラッチ”ペリーebisu LIQUIDROOM公演より photo by グレート・ザ・歌舞伎町

リー“スクラッチ”ペリーebisu LIQUIDROOM公演より photo by グレート・ザ・歌舞伎町

リー“スクラッチ”ペリー、新たな名
作と共に圧巻のパフォーマンス

リー・ペリーのスタジオ作品としては“近年希に見ぬ出来”と言われている最新作『The Mighty Upsetter』の好評判、そして昨年の“爆音”という表現が相応しい苗場フジロックでの極上のパフォーマンスの噂を聞きつけた人もいるであろう、会場のebisu LIQUIDROOMは、すし詰め状態の盛況ぶりだった1日だけのリー“スクラッチ”ペリー来日公演。
ホーン、ギター、キーボード、リズムセクションの“音の壁”がオーディエンスに向かってくるライヴ・セットによるダブ演奏は獰猛そのもの、後方には先ほど自身のDJセットを終えたばかりの汗だくのエイドリアン・シャーウッドがPA席からリバーブやエコーをピンポイント操りながら演奏全体の空気を微調整する姿が象徴的だ。

新旧織り交ぜたセットリストの楽曲からもまざまざと読み取れた事だが、彼の最高潮期と誰もが認める70年代の作品群の臭いを残しつつ「Zion Blood」から「Rockhead」、「Fever」から「Yellow Tongue」といったようにコラージュ的な手法でクラシックスをモダンに再構築したトラックではオーディエンスもさらにドッと沸き返る。そんな客の反応を見るだけでも今回のエイドリアン・シャーウッドとのコラボの意義を改めてライヴで体現した訳だが、迫力に満ちた演奏に対し、お馴染みのペリー節と言葉遊び的に随所に「ジャパン」というフレーズが散りばめるスタイルのワンパターン振りも益々映えてみえた。
御大が変わらずとも周りが読み取り、最先端の音が築かれる様を目の当たりすると、間違い無くキャリア後半の中で再び輝きを放っている現在、そして次作での更なる発展にも俄然期待が膨らむ。

正直な所リー・ペリーのパフォーマンスには当たりハズレがある。過去には単調に退屈な時間が流れ失望させられる事もあったが、この日に関しては大当たり。凶暴なまでの音圧にさらされながら、緩やかで至福に溢れたリズムの中でとてつもなく濃厚な時間が過ぎ去って行った。


【Lee 'Scratch' Perry2009-06-07 (sun)Setlist】

Medley (Intro)
Heathen
Introducing (short version)
Bucky Skank (International Broadcaster)
Secret Laboratory
To Be A Lover
Kilimanjaro
Rockhead (Zion Blood)
Yellow Tongue (Fever)
Everything Start From
Scratch
Pum Pum
Godsmiled
Open Door

【ENCORE】
Roast Fish & Cornbread
Exodus (Outro)

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