橋田公平を演じる稲葉友 (C)エンタメOVO

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【インタビュー】映画『ずっと独身で
いるつもり?』稲葉友 一見、いい男
風な彼氏役に「どこかでうらやましい
と思う気持ちもあります」

 田中みな実主演、ふくだももこ監督の、映画『ずっと独身でいるつもり?』が11月19日から上映される。本作は、おかざき真里のコミックを原作に、立ちはだかる現実に苦しみ、揺れる4人の女性の姿を描く。田中が演じる主人公・本田まみの彼氏・橋田公平を演じた稲葉友に、自身の役柄についてや、本作の見どころを聞いた。
-稲葉さんが演じた公平は、まみより年下ですが、一見申し分のない、いい男風の彼氏です。しかし、物語が進んでいくと、絶妙な駄目さが露見してきます。稲葉さんから見て、公平はどんな人物だと捉えて演じましたか。
 誰から見ても、良くない部分のある男だとは思います。ただ、「良くないこと言ってるな」と思わずに演じようとは思っていました。育ってきた環境があって、公平には公平の思いや考えがあった上で、あれらの発言になっている。しかも、公平には悪気はない。まあ、だからこそタチが悪いという意見ももちろんあると思いますが、僕が敵になってしまってはいけないと思ったので、公平のいいところを探して演じました。
-稲葉さんが感じた公平のいいところというのは、例えばどんなところですか。
 多趣味で友達も多いし、自分の楽しませ方も自分自身の機嫌の取り方も分かっている。それから、好きな人に対して自分から行動することもできる。そうやって並べていくと、割といい男なんですよ。劇中では、確かに公平の至らない部分も見えていますが、それも含めて人間らしいとも思います。いい部分だけの人間なんていませんから。それに、そういう公平をどこかでうらやましいと思う気持ちもあります。こんなふうに生きられたら、きっともっと楽で、楽しいと思えることが増えるんじゃないかなと思いました。
-公平の部屋を訪れたまみにカレーを振る舞うシーンは、良くも悪くも公平のキャラクターをよく表したシーンでしたね。
 象徴的ですよね。一つ一つのエピソードが、公平をうまくかたどっているので、役を作り過ぎなくてもよかった。(それらのエピソードが)公平を後押ししてくれていたと思います。
-田中さんとは初共演ということですが、田中さんの印象は?
 とてもかっこいい人でした。今回は、恋人役だったので、どれだけフラットに入り込めるかが大事だと思っていたのですが、(休憩中も)自然と会話ができるように持っていってくださったので、ありがたかったです。器が大きく、すごい人だと改めて感じました。
-劇中には、田中さんが演じたまみ以外にも、人生に悩む女性が出てきます。稲葉さんから見て、一番、理解しやすい女性キャラクターは誰ですか。
 僕にとっては、等しくみんな遠かったような気がします。ですが、市川実和子さんが演じた由紀乃と、徳永えりさんが演じた彩佳は、胸に刺さるところがありました。自分の中で勝手に感じていた、「結婚して、子どもが生まれたら幸せ」というイメージにメスが入れられた気がしています。ふくだ監督もご結婚されて、お子さんが生まれた後にこの作品を作られたそうなので、リアルを知っているからこそ繊細に、よりリアルに描かれていると思います。
-この作品をきっかけに、結婚観や恋愛観に変化はありましたか。
 よく聞かれるのですが、特に変化はなかったんですね(笑)。僕にとっては、「生きねば!」という思いにさせられた作品だったので、あまり結婚観や恋愛観については考えなかったのかもしれません。ただ、きちんと自分の足で立って、人と関わって歩いていくことが大切なんだというのはすごく感じました。愛する人と巡り合って、子どもを授かり、人と支え合って生きるとなっても、お互いに自分の足で立っていることで、人生も少しは歩きやすくなるんじゃないかなと、僕は思いました。それから、孤独を感じる瞬間は、生きていればいくらでもありますが、でも、そういうときは、自分の視界をシャットダウンしていることが多いんだなということにも気付かされました。この作品を見て、少し視界が開けた気がするので、見てくださる方にもそう感じていただけたらいいなと思います。
―劇中でまみは、自分の信念を貫くか、世間一般でいわれる幸せを追求するのか、思い悩む姿が描かれていますが、稲葉さんはどんな信念を持っていますか。
 僕は「この信念に基づいて生きています」と胸を張って言えるような信念はないです。ですが、逆に、ないからこそ、いつでもどんなものにも適応できるのかもしれないとも思います。だからこそ、崩れることを恐れない自分でいられる。その中で確立されていくものもきっとあるんだと思います。俳優という仕事は、周りの人が持つイメージで、勝手に“自分”が固められていくものなので、自分自身が「このイメージだ」と決めなくてもいいんじゃないかなとも思います。それは成り行き任せという意味でなく、どんな人物にもなれるように、その準備を常にしておくことが大事なんだと思っています。
-改めて、作品の見どころや楽しみにしているファンの方々にメッセージを。
 本作のキャッチコピーにもありましたが、「さみしくてしんどい夜に生き抜くための賛歌」という言葉がぴったりな作品です。どんな年齢でも、どんな環境に生きていても、きっとどんな人にも、どこかで何かが刺さる映画だと思います。前を向かせてくれたり、深く息ができるようになる作品だと思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただけるとうれしいです。
(取材・文・写真/嶋田真己)
  映画『ずっと独身でいるつもり?』は11月19日から公開。
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