『カムカムエヴリバディ』の脚本の素
晴らしさを語らせて!:ドラァグクイー
ン・エスムラルダ連載389

エスムラルダの「勝手にワイドショー！」

第389回　『カムカムエヴリバディ』の脚本の素晴らしさを語らせて！　11月1日にスタートした、NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』（以下、『カムカム』）、みなさん、ご覧になっているかしら？

　最初にタイトルや内容（NHKのラジオ英語講座と共に生きた、3世代のヒロインの物語）を聞いたときは、あまりピンとこなかったアタシだけど、スタート直前に脚本が藤本有紀先生だと知って、いきなり期待度が急上昇。
なんせ藤本先生は、朝ドラマニアのアタシが、「21世紀の朝ドラの中で、5本の指に入る名作」だと思っている『ちりとてちん』（あとの4作品は『ちゅらさん』『カーネーション』『あまちゃん』『あさが来た』）の作者。藤本先生の作品って、作り込みが素晴らしすぎて（視聴者の予想をいい具合に裏切っていく展開とか、細かく散りばめた伏線の回収の仕方とか）、「軽く観る」のに向いていないせいか、視聴率はイマイチふるわないことが多いんだけど、ドラマ好きからの評価はかなり高いのよ……！

　そして、放送が始まって3週間ほどが過ぎたけど、『カムカム』、すでに名作になりそうな予感がしまくっているわ！
まず、緩急のつけ方が見事。3世代のヒロインの100年におよぶ物語を半年でやるわけだから、単純に計算すると、一ヒロインあたりの持ち（放送）時間はたったの2か月。最近の朝ドラにありがちな「どうでもいいシーンやエピソードでの時間稼ぎ」はなさそうだけど、下手すると「ただただ、あらすじを追うだけのドラマ」になってしまうおそれも。でも、『カムカム』の場合、初代ヒロインの子ども時代をたったの一日で終わらせるとか（前代未聞）、もちろん展開は早いものの、ナレーションが少なく、ポイントポイントで登場人物の心情を丁寧に描いているので、めちゃくちゃ感情移入できちゃうの！

中でも秀逸だったのが、第6話。1話分まるまる、ヒロイン・安子（上白石萌音）と、安子が想いを寄せる稔（松村北斗）の往復書簡だけで構成しつつ、きっちり1年半という時間の経過と、徐々に戦時色が濃くなっていく様子を描き、さらに視聴者にせつなさや哀しみを感じさせるという、まさに「神回」としか言いようのない出来栄えだったわ……。

さらに『カムカム』、映像も音楽も美しいし、萌音ちゃんはじめ、キャストのみなさんもいい仕事をしていらっしゃる。ちなみにアタシは現在、北斗くんに夢中。今までは「江口洋介によく似た子」くらいの印象しかなかったけど（おい）、稔を演じる北斗くんがあまりにも素敵すぎて、一気に心を奪われちまったわ。つい最近まで「シックストーンズ」だと思い込んでいた「SixTONES」のことも、これからガンガン応援する！

というわけで、まだ『カムカム』を観ていないという方は、今からでも遅くないので、ぜひチェックしてみて！

＜水曜連載＞※今回木曜更新

画像：「カムカムエヴリバディ」番組ロゴ

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【エスムラルダ：プロフィール】

えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」（ポット出版、共著）
twitter：@esmralda001

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