「”忘れない”を踏み台に”忘れる”のステージへ」 あたらよ「10月無口な君を忘れる」[しゅかしゅんYUNA Urock! 第115回

「”忘れない”を踏み台に”忘れる”のステージへ」 あたらよ「10月無口な君を忘れる」[しゅかしゅんYUNA Urock! 第115回

「”忘れない”を踏み台に”忘れる”
のステージへ」 あたらよ「10月無口
な君を忘れる」[しゅかしゅんYUNA U
rock! 第115回

大阪☆春夏秋冬のYUNA(ユウナ)です。

Urock! 115回目になりました。

Photo by Yoshiki Murata
今年も残り3ヶ月。実感のなさは相変わらずです。
さて今月10月は『芸術の秋』というテーマでお届けしたいと思います。
去年のコラムでは沢山の秋の曲を紐解いてきたので、今年はいろんな芸術を仕事にしている人たちへインタビューさせていただきました。
8月に企画した4週にわたる対談企画がとても好評でして(多分)、私がしゅかしゅんやカメラマンとして現場に入った時、いろんな人に「○○さんとの対談読んだよ!」と声をかけていただくのです。
私自身もすごくやりがいを感じていますし、インタビューしている時や対談を読んでいる時に、知らない世界に飛び込んでいける非現実感が楽しくて楽しくて。
今月は様々なジャンルの方にお話をお聞きしたのでどうぞお楽しみください。
と、言いつつも1週目だけはいつも通りの歌詞解説になりますが!(笑)
あたらよ「10月無口な君を忘れる」
今回紹介するのは、「悲しみをたべて育つバンド」というキャッチコピーを掲げ、2020年11月から東京を中心に活動を始めた4ピースバンド、‟あたらよ”。
作詞作曲・アートワーク・MV・ホームページの字体まで、こだわり抜かれたセルフプロデュース力には圧倒されますし、‟明けるのが惜しいほど美しい夜”という意味の可惜夜(あたらよ)から由来されたグループ名を引き立たせているようにも感じます。
そんなバンドから今回選んだのは、現在YouTubeでは2500万再生を突破している初のオリジナル曲「10月無口な君を忘れる」。
2021年3月にデジタルリリースを開始すると、瞬く間にLINE MUSIC、Spotify、TikTok、AWAでチャート首位獲得。活動開始から1年足らずで『THE FIRST TAKE』出演まで登り詰めたきっかけになったのはどんな曲なのか? 紐解いていきたいと思います。
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
MVの前についた短編映画のような始まり。
この後どんなストーリーが始まるのか? どんな音が鳴るのか? ゾクゾクさせてくれる一方で、曲の雰囲気と登場人物の関係値が浮かび上がってくるという不思議な法則があります。
想像される登場人物は、友達以上の関係で幾度かの日々を共に過ごした2人。
‟おはよ”‟バイバイ”など、挨拶というのは人と人を繋ぐものであり、常識的なものがあります。
しかしここでのセリフは会話にはなっておらず一方的な発信になっているようです。
積極的に話しかける主人公に比べ、相手は普段から会話が少ないのでしょうか?
またはその原因に、好きという感情が影響しているのか。
(ずっと好きでいたい) という願いを込めては寂しさを誤魔化し全てを受け止めてきた主人公ですが、ついに終わりが訪れてしまったようです。
では、これらの言葉にはどんな感情がのっていて、ここからどんなストーリーが展開していくのか?
注目していきたいと思います。
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
今の状態になる事は最初から勘づいていた、と言う主人公。
どうにかこの関係を変えられるかもしれないと希望をもったり、変えてみせると意気込んでは2人の時間を精一杯に過ごしてきたはずです。
精一杯になりつつもここまで相手を好きになれているのは、いつも素っ気ない中でも、時折見せてくれる甘えがあるからなのでしょう。
しかし、そうやって気持ちを大切にしてきたにもかかわらず、終わりは来てしまうのです。
先が見えないのか? 先を見据えているからなのか?
終わってしまう理由も分からず、ただただ涙を流す。それが、今受け止められる最大のキャパシティなのだと感じます。
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
受け止めなくてはいけない現状と、諦めきれないモヤモヤ。
どうせなら素っ気ないままでいてくれよと、胸が苦しくなっている主人公の気持ちがひしひしと伝わってきます。
謝って欲しいわけではないし、優しい言葉なんていらないのに、埋まっていく幸福感があるからこそ余計に辛くなってしまうのかもしれません。
1人になった瞬間に思い出として蘇ってくるのって優しさばかりなのは、どうしてなんですかね?
好きという気持ちが続いているならば、10の苦しさよりも1の嬉しさで、満たされるのかもしれません。
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
例え無口だったとしても人間誰しも感情を抱いています。
君も顔には出てしまっているようですね。
間違いは分かりやすいけれど正解が分かりにくいって凄く大変だと思います。
あなたに合う正解を探しては、あなたに当てはまる人になろうとしていたのでしょう。
いくら好きだとしても、人の心を読んでは行動して反応をダイレクトに受けていると、疲れてしまうのも当然です。
しかし、2番から男性のハモリが入ってくる事を意味深く捉えるならば、主人公だけではなく双方の思いが歌詞になっているのではないかな? と感じました。
この後のパートではどうなるのでしょう?
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
ここでは女性のハモリに変わっています。
先程の男性の淡々とした感情に比べて、感情的な女性が前面に出ているのかもしれません。
別れた後、今までの歌詞にあったように君との日々を思い出していた主人公。
別れてから少しの間は、思っていたよりも簡単に忘れることが出来たけど、時間が経てば経つほど、またあなたにすがりたくなってしまうのでしょう。
新しい恋を始めようとしても、環境を変えようとしても、君への気持ちや、自分に馴染んだ君の仕草も何一つ変えられないという未練が詰め込まれています。
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
ここでは1人称が僕になっています。女性が歌い女性がハモリ、そしてMVでは主人公が女性なのでついついその関係ではめ込んでしまいがちです。
しかし捉え方は自由。
こうやって性にとらわれず歌われる事で、多くの共感が生まれていくのかもしれません。
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
1行目は女性が歌い、2行目は男性が歌い、3行目は一緒に歌うという構成。
お互いがお互いのせいにしているようですが、そこにはきっと沢山の愛があるはずです。
とても純粋な失恋の歌。
言葉無しに抱きしめあっているかのようなブレイクを経てクライマックスへと流れ込んでいきます。
10月無口な君を忘れる 歌詞 「あたらよ」
https://utaten.com/lyric/mi21011826
最後のサビでは、女性のリードに男性のハモリという形で歌われています。
メロディや歌詞のストーリーだけでなく、男女混合のバンドだからこそできる奥行も感じられますね。
忘れたくないものが多いようですが、後悔したり、受け止めては行動してきた全てに、きっと間違いなんてなかったのです。
辛さや痛みはあるものの、一緒に居られた時間はとても大切なものとして残っていることがわかります。
LINEのトークを見返しては今更スクショしたり、2人の写真を見返したり、忘れられないことばかりなのです。
この曲が凄まじいスピードで多くの共感を生んだということは、こんなふうに同じ思いの悲しみを抱えてる人が沢山いるんですよね。
コロナのせいで今までとは大きく環境が変化してしまったというのも関係あるでしょう。
しかし、こうして悲しみを食べてくれるバンドが現れた事で多くの人が救われたはずです。
‟無口な君を忘れる”
これはきっと次に進むための応援歌なのです。
‟忘れない”を踏み台に‟忘れる”へ進み出した始まりの歌。
また新たな日々に出会えるその楽しみへと歩んでいきましょう。
どうでしたでしょうか?
10月4日に配信になった、あたらよのEP『夜明け前』には、この曲のアンサーソング「嘘つき」も収録されています。是非あわせて聴いてみて下さい。
よかったら是非、皆様の共感もレビューで聞かせてください。そして来週からの対談企画もお楽しみに!
ではまた。
You rock!!
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この記事を書いた人
YUNA(ユウナ)

1999年5月26日生まれ(双子座 /A型/一人っ子)
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