【花澤香菜 インタビュー】
最初に曲を聴いた時、
“再出発な感じがするなぁ”と
感慨深くなった
やっぱり自分の曲を
中国語で歌いたい!
後半に台詞が出てくるのもポイントですね。
はい。北川さんのデモの時から台詞パートはあって、どういう内容にするかを自分で考えたんですけど結構悩みましたね。今までも台詞の入った曲はあって、例えば1stアルバム『claire』(2013年2月発表)に収録している「Just The Way You Are」には《好きです!》というストレートな台詞があったり。
今回は思わずドキッとするような大人の台詞ですね。
そうですね。めっちゃ照れますけど(笑)。これも韓国ドラマからの影響が多分にあると思います。
《ドキッ》というフレーズもいろんなニュアンスがあって、これも聴きどころのひとつですね。
北川さんの作るコーラスはいつも面白くて、印象的に出てくるものがたくさんあるんですよ。《ドキッ》も曲のあちこちでいろいろなバージョンが使われているので聴き比べてほしいです。でも、サビの《ドキドキ》が一番難しかったです。一度はOKが出たんですけど、自分で“もう少しいい感じで、耳に心地よく響くようにできると思うんですよ。でも、もう今日はできません!”と言って(笑)、後日録り直してもらいました。
ドラマのタイトル“お耳に合いましたら”じゃないですが、耳心地の良さを追求したという。やさしい口溶け…みたいな。
そんな感じです(笑)。でも、その加減がすごく難しかったんですよー。
無条件で笑顔になれる曲だと思いましたが、花澤さん的には聴いてくれる人にどんな気持ちになってほしいですか?
この曲を聴いてくれる人にはときめくことをいっぱい見つけてほしいし、心も元気でいてほしいとすごく思ったので、そういう想いを込めています。
MVではバズりそうな振り付けも披露していて。
キュンポーズがいっぱい出てきます(笑)。真似したくなるにはちょっと難しいくらいがちょうどいいらしくて、思わず真似したくなるような動きを意識したって振り付けの先生が言っていました。
そして、カップリング「港の見える丘」は花澤さんご自身で作詞を手がけられていて。
今回は表題曲とカップリング曲の中国語バージョンも収録されるのですが、「港の見える丘」は中国語を先にレコーディングしたんですね。中国語の歌詞と私が書く歌詞は内容が一致していなくてもいいと言われていて…だから、「Moonlight Magic」の中国語バージョンも恋愛の歌詞ではあるけど、まったく同じではないんです。その上で「港の見える丘」の中国語の歌詞を読むと、シチュエーション的には言葉のとおり“港の見える丘”なんですけど、会えなくなった人のことを思いながら嘆き悲しんでいるような結構悲しめな内容だったんですね。それを踏まえ、私が書くならどういうものにするかなと考えて、ちょうどレーベルを移籍して再出発のタイミングだし、コロナ禍でもいろんな人のお世話になって別れも経験したし、それなら別れをテーマにしても不自然ではないなと。でも、“お互い笑顔で頑張ろうね!”という前向きなものにしたいと思ったので、こういう感じの歌詞になりました。
なるほど。花澤さんにとっての“港の見える丘”はきっと原点に戻れるような場所なのかもしれないですね。
はい。その丘できれいな景色を見ながら大切な人を思っている…という感じです。
花澤さんの中でそういう気持ちになれたり、大事にしている場所はありますか?
井の頭公園はそうかもしれないです。大学時代はその近辺でよく友達と遊んで、今もよく行くので。思い出がいっぱいあって素に戻れる場所ですね。
井の頭公園の近くにある焼き鳥屋さんが有名ですよね。
そうそう。それに冬はホットワインを売っているお店もあって、飲みながら公園を歩くのが好きでした。寒い中で飲むホットワインが最高なんですよ〜(笑)。
でも、今回はどうして中国語バージョンを入れることになったのですか?
千石撫子として歌ったアニメ『化物語』のOPテーマ「恋愛サーキュレーション」がSNSを通して海外でバズっていることが理由のひとつにあります。あと、コロナの前は中国の会社のアプリで声をあてさせていただいたり、中国の歌番組に出させてもらったり、ライヴをしに行ったりと、中国にはよく行っていたんです。コロナになっていなければ今頃はきっと中国でプロモーションをいっぱいしていただろうと思うので、日本にいながら発信できることで頑張ろうということから中国語バージョンを入れることになりました。
世の中の状況が落ち着いて、また中国でライヴができるようになったらいいですね。
「当にその日が楽しみです。以前に中国の歌番組に出させていただいた時、ジェイ・チョウさんの「告白氣球」という曲をカバーさせていただいたんですけど、やっぱり自分の曲を中国語で歌いたいじゃないですか!
確かに。そして、11月21日にはライヴ『HANAZAWA KANA Showcase Live 2021 “Moonlight Magic”』を開催するとのことでが。
はい。有観客ライヴは約2年振りになるのですごく楽しみです。今回のシングルをメインに未発表曲も歌う予定だし、中国でも同時配信する予定なのでMCでちょっとだけ中国語もしゃべっちゃいます! ぜひ楽しみにしていてください。
では、最後にレーベルを移籍されて一枚目ということで、改めて何か目標はありますか?
7月に移籍を発表してからの期間で本当にいろいろなことをさせていただいていて、まだ言えませんけど、いろいろ楽しみなことが進行中なので、まずはそれをみなさんに早くお届けしたいです。そして、ゆくゆくはまた武道館に行けたらいいなって。そのためにも応援よろしくお願いします!
取材:榑林史章