『チームラボボーダレス』が開館以来
初のリニューアル 来館者数ギネス世
界記録(TM)に認定の栄誉も

東京のお台場にある『森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス』(以下、『チームラボボーダレス』)が、7月15日(木)にリニューアルオープンした。
チームラボは、アーティストやプログラマー、エンジニアやCGアニメーター、数学者や建築家など、デジタル社会の多様な分野のスペシャリストから構成される集団だ。『チームラボボーダレス』は、森ビル株式会社とチームラボが共同運営する美術館。「ボーダレス」という言葉には、「人間同士の境界線」、「モノ同士・作品同士の境界線」「人間と世界との境界線」といったすべての境界を曖昧にしていくという意味が込められている。
《重力にあらがう呼応する生命の森》
『チームラボボーダレス』の館内では、触れると色や形が変わるなど、インタラクティブな作品を楽しむことができる。また内容が季節や時間帯などの状況によって変わるため、何度来館しても新鮮な気持ちを味わうことが可能だ。観客は10,000㎡もの広大な空間で身体を使いながらさまよい、探索し、発見し、常に新しい体験を創り出すことになる。
なお、2018年6月21日にオープンした後、1年間で約230万人が来館、米国TIME誌の「World's Greatest Places 2019(世界で最も素晴らしい場所2019年度版)」にも選ばれた、大変人気のある美術館だ。
《光の彫刻空間》
今回は開館以来初のリニューアル。お披露目の内覧会では「単一アート・グループにおいて世界で最も来館者が多い美術館」(Most visited museum (single art group))のギネス世界記録授与式もあわせて実施された。
ギネス世界記録認定式 左:チームラボの松本明耐氏、右:ギネス世界記録公式記録員のジャスティン・パターソン氏
認定式には、ギネス世界記録公式記録員のジャスティン・パターソン氏が登壇、2019年の来館者219万8284人が記録認定された旨を述べ、チームラボの松本明耐氏に認定証を授与した。松本氏は「とても光栄に思っている。たくさんの人に来館いただいて達成できた」と喜びを語り、また「これからもアートを通じ、世界と境界の認識を模索し続けていきたい」と抱負を示した。
ギネス世界記録認定式 チームラボの松本明耐氏
遊びとテクノロジーの組み合わせ
色や音で満ちた空間で五感を研ぎ澄ます、新しい体験
『チームラボボーダレス』は「Borderless World」、「運動の森」、「学ぶ!未来の遊園地」、「ランプの森」、「EN TEA HOUSE 幻花亭」という5つのエリアに分かれており、今回のリニューアルでは「運動の森」に複数の作品が新たに登場した。
カラフルな空間に微生物が漂うのは《インビジブルな世界のバランス飛石》。大小の飛石を踏むと、音が鳴って石の色が変わり、空間全体も変化する。飛石の中には柔らかいものもあるため、五感を研ぎ澄ます必要がある。体験後、自分の感覚が鋭くなっているように感じた。
《インビジブルな世界のバランス飛石》
《弾む水の天才ケンケンパ》は、水上にある三角や四角、丸などの記号を踏んで進む作品。うまく踏むと蝶や鳥が生まれ、空間がカラフルに色づく。踏んだ時に生まれる水の波紋はリアルで美しく、水のきらめきや透明感を再現した映像に思わず見入ってしまうだろう。
《弾む水の天才ケンケンパ》。足が触れたところから波紋が生じる。
暗闇に蛍光色のブランコが浮かんでいるように見えるのは《タイフーンの上のエアリアルクライミング》だ。色とりどりの棒がロープで吊られており、人が乗ると棒同士が影響しあうので、揺れのスリルを味わえる。
《タイフーンの上のエアリアルクライミング》
「運動の森」に従来からあった《重力にあらがう呼応する生命の森》はリニューアルし、光の色合いのバリエーションが増えた。触れると色が変わるというインタラクションは健在なので、曖昧で繊細な色の変化を楽しんでほしい。
《重力にあらがう呼応する生命の森》
《重力にあらがう呼応する生命の森》。球体に触ると色が変わる。
どこまでも伸びる空書や幻想的な没入空間
パワーアップしたボーダレスな体験を堪能
今回のリニューアルでは「Borderless World」にも新しい作品が追加された。
《反転無分別、境界を越えて描かれる》は、空書(チームラボが設立以来書き続けている、空間に描かれる書のこと)が空間に描かれる作品だ。ディスプレイに収まっていた空書は、枠をはみ出して一筆が伸びていく。
《反転無分別、境界を越えて描かれる》
《反転無分別、境界を越えて描かれる》で、空書がディスプレイの枠を越えていく。
一筆は、他の作品の花々を散らすなど、さまざまな影響を与えながら進む。動くタイミングや進行方向などが毎回異なり、まったく予想がつかないため、その時の出会いが一期一会であることを強く実感できる作品だ。
《反転無分別、境界を越えて描かれる》の一筆。動きはかなりスピードがある。
《光の彫刻空間 or Light Sculpture》は、光の線が集合して空間を再構成したり、立体を作り出したりするダイナミックな空間。今回は新たに「Chromatic Light Wall」、「Nucleus of Life」、「Revolving Tunnel」、「Aurora Lights II」、「Polyhedron」の5作品が加わった。多彩な作品が生み出す、幻想的な光と強烈な没入感を堪能してほしい。
《光の彫刻空間》
《光の彫刻空間》
描いた絵が作品空間に登場し、グッズになる
アートがさまざまな境界を越えることを体感
《グラフィティネイチャー》や《世界とつながったお絵かき水族館》では、生きものが描かれた紙にお絵かきをしてスキャンすると、自分の絵を作品空間に登場させることができる。
《グラフィティネイチャー》で描かれた生きものたちがいる空間。
《グラフィティネイチャー》では、広い空間に自分の描いた絵が現れ、生態系の中で活動をはじめる。足で触れると反応があるので、動き回って確かめてみよう。
《世界とつながったお絵かき水族館》では、描いた魚が水族館で泳ぎまわる。中でもマグロは、他国の《お絵かき水族館》や《スケッチオーシャン》まで泳いでいくことが可能だ。内覧会の日も、上海にある『チームラボボーダレス』の《スケッチオーシャン》から来たと思しきマグロがいた。
《世界とつながったお絵かき水族館》
『チームラボボーダレス』が世界中に広がれば、各国の《お絵かき水族館》からマグロが来るのだろう。アートやテクノロジーが国境を越えるということを実体験できる、貴重な機会である。
※内覧会後の7/24からは、サンフランシスコからもマグロが泳いできている。
《世界とつながったお絵かき水族館》。「from shanghai」と書かれた旗を持つマグロがいる。
《グラフィティネイチャー》や《世界とつながったお絵かき水族館》で描いた絵は、《お絵かきファクトリー》にて缶バッジやタオル、Tシャツ等のグッズにすることができる。2枚までの絵を選択することもできるので、友人や家族の絵を組み込んだデザインにすることも可能だ。
《グラフィティネイチャー》で色塗りを行った花の絵。輪郭が描かれた絵に色をつける。
《グラフィティネイチャー》で描いた花の絵に、別スタッフの描いたトカゲを組み合わせて缶バッジに。なお、イラストのデザインはどれも素敵なので、絵に自信がなくてもまったく問題ない。
『チームラボボーダレス』は、足を踏み入れた瞬間に日常を忘れて没入することができる、アートとテクノロジーの粋が結実した美術館だ。また今回のリニューアルで「ボーダレス」というコンセプトが一層明確になり、作品全体の強度が更に増したように思った。来館するたびに違う楽しみ方が可能であり、この夏更なる進化を遂げた『チームラボボーダレス』、ぜひ体験してほしい。

文・写真=中野昭子

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