7月22日(木)@渋谷Eggman photo by 小松陽祐(odd job)

7月22日(木)@渋谷Eggman photo by  小松陽祐(odd job)

Eins:Vier、
『Side Stories』ツアー最終公演の
レポートが到着

Eins:Vierが7月にツアー『Eins:Vier Short Tour 2021“Side Stories”』を行なった。このツアーは、2021年5月のゴールデンウィークに開催するはずだった延期状態のツアー『Eins:Vier LIVE 2020“three stories”』の追加公演として用意されていたサプライズ・ツアーだった。しかし、ゴールデンウィークの公演が緊急事態宣言下で再延期となり、サプライズという趣向ではなくなってしまった。とはいえ、ファンにとって生のライブが1本でも多く開催されるのは嬉しい限り。

ツアー・ファイナルとなった7月22日(木)の渋谷Eggmanのチケットはソールドアウト。また会場に足を運べない多くのファンに向けて、急遽、生配信も行なわれることになった。

SEが響くなか、笑顔をこぼしながらステージに登場したLuna(Ba)とYoshitsugu(Gu)、そしてサポート・ドラマーの岡本唯史(Apes From Nine)。岡本の叩くリズムに、フィードバックを響かせながらYoshitsuguが絡み、さらにLunaがベースをとどろかせていく。そのバンド・サウンドを全身で浴びながらHirofumiが「お待たせいたしました!」と挨拶しながらステージに姿を表わした。1曲目は「Words for Mary」。過去に何度も演奏してきたナンバーだが、この日、一段と力強さと輝きを増している。というのも今回のツアーは、メンバーにとって有観客ライブ自体が1年半以上ぶりとなる。ミュージシャンにとって曲を届けるべき相手が目の前にいるというのは、最高の喜びのひとつだろう。その思いは一音ずつ、そして歌詞の一言ずつに自然に宿り、曲をどんどん輝かせているのだ。

ファンもまた同じ気持ちだ。今回のツアーは、2018年の『Eins:Vier Tour 2018“Searching For You”』以来、約3年ぶりとなる。前回のツアーは、もともと“ラスト・ツアー”と銘打たれていたもので、ファンにとってバンドが終わってしまう悲しみも常に並走していた。しかし今は違う。Eins:Vierは2020年に結成30周年を記念したミニ・アルバム『five sights』を発表し、再び動き始めた。コロナの影響で予定されていたライブやツアーが延期になっているものの、今はEins:Vierと一緒に未来のストーリーを描いていくことができる。Eins:Vierとファンがほとばしらせる喜びと幸せがガッチリと噛み合いながら、ライブは高揚感で上昇し続ける。

また、ライブ前半には『five sights』からの曲たちも、もちろん披露。ご存じだと思うが、最初はEins:Vierとして21年ぶりに新曲を作るというのはイメージできなかったというメンバー。しかし作曲に取り組んでいったところ、曲となるカケラたちに自分自身が突き動かされ、いつしか自発的にのめり込んでいった。結果、形になったのが『five sights』。背伸びとチャレンジを繰り返した若き日とは違って、メンバー3人とも自然体の自分自身を各楽曲に投影させてもいる。フレーズや音がまとう空気はUKロックに通じる艶っぽさもありながら、生命力に満ち溢れている。

「今日、1回こっきりで配信をやっているんですけど、正直言うと、今、この同じ空間で同じ時間を共有することに、ライブをやる意味があると思うんですよ。配信もどうするか迷ったけど、今、いろんな事情がある人もいると思います。配信では同じ空間を共有できていないかもしれへんけど、同じ時間だけは共有できているから。次々に起こることにうろたえて、去年は俺もおかしくなりそうになったけど、もうここらへんで、俺らはこうやっていくんやってのを心に決めて、芯を一本通して、俺らにとってとても大切な場所があるってことを誇りに思い、ここから先を進んでいけたらと思っています」(Luna)

ライブ中盤にLunaはメンバーを代表して語った。その大切な場所に向けるメンバーそれぞれの熱い気持ちと情熱はライブ・パフォームにも表われている。メロウな曲であっても会場にいるファン一人ひとりと視線を合わせ、あるいは今までのライブだったらコーラスも自然に起こるような場面では、歓声を出せないファンに代わってメンバーがでかい声で口ずさみながら演奏も繰り広げる。その間もずっとファンと表情を確かめ合っている。そして全身を汗で光らせるHirofumiは、客席に飛び込んじゃう一歩手前の勢い。

「今日、今までにないぐらい熱いライブしているよ。こういうとき声援あったらええなと思うけど。また声援出せるときも来るでしょ。でも、この一瞬ってのは二度と訪れるもんでもないからね。“またある”って、ライブに限らず、人生の中からそんな考えは捨て去ったほうが、深く、濃い人生を送れるなと思って。50歳すぎてそう思い始めました」(Hirofumi)

大切に思うからこそ全身全霊を尽くす。その考えが貫かれたライブは、Eins:Vierらしからぬといってはなんだが、ハジけるエネルギーの凄さが常にあった。サプライズという本来の趣向と違うツアーになってしまったが、Eins:Vierが聴かせる音も見せるライブ・パフォームもサプライズばかり。結成から30周年を超えて、さらにバンドとして活性化し続けるEins:Vierを体感した。

また、2度に渡って延期になっていた結成30周年記念ツアーは、9月から開催されることも決まっている。

photo by 小松陽祐(odd job)
text by 長谷川幸信

【セットリスト】
01.Words for Mary
02.メロディー
03.Notice
04.three stories
05.100年の幻想
06.and I'll
07.Not saved yet
08.碧い涙
09.Passion
10.L.e.s.s.o.n
11.after
12.Dear song
<ENCORE>
01.I mean what I say
02.touch or don't touch you know
03.In your dream
04.In a void space

【ライブ情報】

『Eins:Vier Live 2020“three stories”』
9月04日(土) 東京・渋谷WWW X
開場 16:00/ 開演 16:30
9月05日(日) 東京・渋谷WWW X
開場 16:15/開演 17:00
10月02日(土) 大阪・OSAKA MUSE
開場 16:00/開演 16:30
10月03日(日) 大阪・OSAKA MUSE
開場 16:45/開演 17:30
7月22日(木)@渋谷Eggman photo by  小松陽祐(odd job)
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OKMusic編集部

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